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騎士と派閥と学園生活と
第156話-逆手の案-
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「例えばですけど勧誘をした方が逆に断ると考えたのではありませんか?」
アンではなくユリィが何気なく言った。
「その通りですわユリィ」
「分かりますわね。あれをしろ、これをしろって言われた方がなんだか逆にやりたくならない事ありますものね」
それは確かに心当たりがある事が多い。そう言えばそんな現象を聞いたことがある。ブーメラン効果って言うんだっけ。
「フランソワ様は特に自主性が強い方なので、反発すると読んだのかもしれません」
「なるほどね。だから、総長側と違って過度な勧誘はなし、あくまで真ん中にいる様に持って行こうとしたわけね」
「恐らく……ですが。私は自分が聞いたことから想定しただけですのでなんとも確信はありませんが」
「それだけの事を知られてるなんてアン様は凄いですわ」
アリスからの賞賛の言葉にアンは笑顔を隠せずに照れている。
私も流れに乗ってアンにお礼と賞賛を送るとアリスの時以上に照れてくれた。
「御二方の狙いはフランソワ様がどっち付かずになり、今後の選挙を勢力図で勝負がつく事を避けたかったのだと私は考えます」
照れている状態からさっきまでのアンに戻って言った。
「でも私としては、私がそこまで左右する様な人間じゃないって思うのが正直な所なのよ。みんなはそう言ってくれるけど、誇張なしで考えたらどうかなって思うのよ」
「さっきフランソワ様が自分で言われたではないですか」
「えっ?」
私は私が重要人物である事を認める様な事を言っただろうか。そうだとしたらとても恥ずかしい。
「『自然と大きい方についちゃいそう』と言っていたではないですか。フランソワ様は噂の人物として注目されています。それは認知されているのですよ。だからこそ、私達一年生は投票などで迷った場合に同じ一年生であるフランソワ様に寄って行くと考えられませんか?」
なるほど。言いたいことは分かった。つまり、総長、エルンさん、ジェフさんのどれでも良いと思った浮動票が私の傾向に寄ると言いたいらしい。もちろん全ての人間ではないだろうけど、少しはそんな人物もいるだろうと言った所だろう。
「でもそれならまずは総長側へと入れるんじゃないかしら。今の総長の後釜なら有名どころだろうし……いや、違うわね……」
自分の言葉を自分で否定した。言っている最中になぜそうならないかを思いついた。さっきまでのアンの言葉からまたしても言いたい事が分かって来た。
「『私が総長側に付かなかった』って言う事実があるって言う事よね?」
「その通りです。フランソワ様が中立にいれば、それは嘘ではなく事実です。仮に敵対候補の誰かが噂を流しても印象は悪くなりません。そうすれば無所属の票がフランソワ様に寄るのであれば、恐らく総長以外の方へと流れるでしょう」
「だから、私を中立、無所属にしたかったって事ね」
そう言われると確かに納得できる。既に次の選挙は行われているんだ。
ただ、内心面倒くさいなとは思う。私なんかそっちのけで好きにやって置いて欲しいのに。
「そうなると、今の意見を踏まえて今後どうするのかを考えないとダメなのよね」
「私のは所詮推測なので、あまり信用されても困りますが……」
「大丈夫。しっくり来てるから、この件に関しては貴方の意見が一番参考になったわ」
嘘じゃない本音だ。アンが居なかったら勢力情勢も分からないまま答えを出していた。噂好きのアンには感謝しかない。
答えを出すまでにまだ足りてない所がある、次はそれを明らかにしないと話は進められない。
アンではなくユリィが何気なく言った。
「その通りですわユリィ」
「分かりますわね。あれをしろ、これをしろって言われた方がなんだか逆にやりたくならない事ありますものね」
それは確かに心当たりがある事が多い。そう言えばそんな現象を聞いたことがある。ブーメラン効果って言うんだっけ。
「フランソワ様は特に自主性が強い方なので、反発すると読んだのかもしれません」
「なるほどね。だから、総長側と違って過度な勧誘はなし、あくまで真ん中にいる様に持って行こうとしたわけね」
「恐らく……ですが。私は自分が聞いたことから想定しただけですのでなんとも確信はありませんが」
「それだけの事を知られてるなんてアン様は凄いですわ」
アリスからの賞賛の言葉にアンは笑顔を隠せずに照れている。
私も流れに乗ってアンにお礼と賞賛を送るとアリスの時以上に照れてくれた。
「御二方の狙いはフランソワ様がどっち付かずになり、今後の選挙を勢力図で勝負がつく事を避けたかったのだと私は考えます」
照れている状態からさっきまでのアンに戻って言った。
「でも私としては、私がそこまで左右する様な人間じゃないって思うのが正直な所なのよ。みんなはそう言ってくれるけど、誇張なしで考えたらどうかなって思うのよ」
「さっきフランソワ様が自分で言われたではないですか」
「えっ?」
私は私が重要人物である事を認める様な事を言っただろうか。そうだとしたらとても恥ずかしい。
「『自然と大きい方についちゃいそう』と言っていたではないですか。フランソワ様は噂の人物として注目されています。それは認知されているのですよ。だからこそ、私達一年生は投票などで迷った場合に同じ一年生であるフランソワ様に寄って行くと考えられませんか?」
なるほど。言いたいことは分かった。つまり、総長、エルンさん、ジェフさんのどれでも良いと思った浮動票が私の傾向に寄ると言いたいらしい。もちろん全ての人間ではないだろうけど、少しはそんな人物もいるだろうと言った所だろう。
「でもそれならまずは総長側へと入れるんじゃないかしら。今の総長の後釜なら有名どころだろうし……いや、違うわね……」
自分の言葉を自分で否定した。言っている最中になぜそうならないかを思いついた。さっきまでのアンの言葉からまたしても言いたい事が分かって来た。
「『私が総長側に付かなかった』って言う事実があるって言う事よね?」
「その通りです。フランソワ様が中立にいれば、それは嘘ではなく事実です。仮に敵対候補の誰かが噂を流しても印象は悪くなりません。そうすれば無所属の票がフランソワ様に寄るのであれば、恐らく総長以外の方へと流れるでしょう」
「だから、私を中立、無所属にしたかったって事ね」
そう言われると確かに納得できる。既に次の選挙は行われているんだ。
ただ、内心面倒くさいなとは思う。私なんかそっちのけで好きにやって置いて欲しいのに。
「そうなると、今の意見を踏まえて今後どうするのかを考えないとダメなのよね」
「私のは所詮推測なので、あまり信用されても困りますが……」
「大丈夫。しっくり来てるから、この件に関しては貴方の意見が一番参考になったわ」
嘘じゃない本音だ。アンが居なかったら勢力情勢も分からないまま答えを出していた。噂好きのアンには感謝しかない。
答えを出すまでにまだ足りてない所がある、次はそれを明らかにしないと話は進められない。
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