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女装と復讐 -完結編-
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僕は自分が放った言葉に引け目を感じ、俯いたまま恐る恐る冴嶋社長を見た…。
『すみません…でも、やっぱり《女装男子》なんて、この国の《一般常識》や《社会的世論》という観点から見たら…まだまだ《変な人》《頭のおかしな奴》だと受け取られ、そう思われてしまうものだと思うんです…』
僕みたいなのが芸能界で活動なんてして、もし全国に…日本中で有名にでもなったら、それはただの《笑われ者の対象》にしかならないと思う…。
それと僕が一番恐れているのは…僕の両親や親戚の叔父さんや叔母さんのこと…。
僕が《宮端学院大学》の何巻試験に合格し、入学したとき…叔父さんや叔母さん、それに他の親戚の人たちも、僕のことを《自慢の身内の子》だと言って、僕を褒めてくれたんだ…。
そんな僕が1年ほどして《女装男子》になっていて、それを親戚のみんなが知って…そのうえ、その姿を全国に晒すようなことになったら…。
僕は《自慢の子》から一転…《身内の恥晒し》《馬鹿で愚かな子》だと言われ、嫌われるようになって…。
…そうなるかもしれない。それが一番、僕は恐い…。
『…信吾くん。顔を上げて』
冴嶋社長の、掛けてくれたその優しそうな声に…僕はゆっくりと顔を上げて社長を見た。
『あなたのことを…本当に全国のみんなが馬鹿にして笑うかしら?』
『…。』
その優し気な表情の冴嶋社長に、僕は《はい。笑うと思います》なんて…そう思ってても言えない。絶対。
『あなたは女装…というよりメイクの技術を、今日まで同年代の女の子たちの誰よりも、人一倍努力して、磨いてきた…そうでしょ?』
『…はい』
『私は、その《無尽の努力》と《メイク技術》を…信吾くんのその《天与の資》を、誇りに思ってほしい…自信を持って堂々と世に知らせてほしい…そう、あなたに言いたい』
『私も、詩織ちゃんもアンナさんも思ってる。信吾くん…こんなに頑張って、上手にメイクができるようになった男の子なんて…なんか凄くカッコいいなって』
鈴ちゃんはそう言って、僕に大きく頷いて見せてくれた。僕も鈴ちゃんに頷いて見せる。
詩織もアンナさんも、僕に『自信を持って!』と僕にエールを送るように、優しく微笑んでくれていた。
『信吾くん。《ニューハーフタレント》や《女装タレント》が…』
おっと!
僕は慌てて振り返って、再び語りはじめた冴嶋社長を見た。
『…今や芸能界では《ひとつのカテゴリー》として世間から認められ、確立を成していることも、芸能界の歴史の一つとして覚えておいて』
へぇ…そうなんだ。僕はあまりテレビを見ないから…判らないけど。
とりあえず今は…。
『はい』
…そう答えて返すしかなかった。
『信吾くんは、もちろん自分の《女装メイク顔》は、毎日自分でメイクしてるんだから…十分解ってるはずよね?』
『えっ?あ…』
冴嶋社長は、にこりと笑った。
『あなたの《女の子メイク》した顔は《本物の女の子以上に、女の子らしい可愛らしい顔》よね』
『…よね』って言われても、さすがに『はい。そうなんです』なんて大馬鹿な、そんな珍返答は僕はしない。
『私は、ここではっきりと断言させてもらうわ』
…なにを断言されるんだろう…。
僕は静かに息を呑んだ…。
『あなたは…女装した信吾くんの姿《池川金魚ちゃん》は…その存在の全てが《常識をも凌駕した非常識なる奇跡》そのものよ』
…えっ?
『すみません…でも、やっぱり《女装男子》なんて、この国の《一般常識》や《社会的世論》という観点から見たら…まだまだ《変な人》《頭のおかしな奴》だと受け取られ、そう思われてしまうものだと思うんです…』
僕みたいなのが芸能界で活動なんてして、もし全国に…日本中で有名にでもなったら、それはただの《笑われ者の対象》にしかならないと思う…。
それと僕が一番恐れているのは…僕の両親や親戚の叔父さんや叔母さんのこと…。
僕が《宮端学院大学》の何巻試験に合格し、入学したとき…叔父さんや叔母さん、それに他の親戚の人たちも、僕のことを《自慢の身内の子》だと言って、僕を褒めてくれたんだ…。
そんな僕が1年ほどして《女装男子》になっていて、それを親戚のみんなが知って…そのうえ、その姿を全国に晒すようなことになったら…。
僕は《自慢の子》から一転…《身内の恥晒し》《馬鹿で愚かな子》だと言われ、嫌われるようになって…。
…そうなるかもしれない。それが一番、僕は恐い…。
『…信吾くん。顔を上げて』
冴嶋社長の、掛けてくれたその優しそうな声に…僕はゆっくりと顔を上げて社長を見た。
『あなたのことを…本当に全国のみんなが馬鹿にして笑うかしら?』
『…。』
その優し気な表情の冴嶋社長に、僕は《はい。笑うと思います》なんて…そう思ってても言えない。絶対。
『あなたは女装…というよりメイクの技術を、今日まで同年代の女の子たちの誰よりも、人一倍努力して、磨いてきた…そうでしょ?』
『…はい』
『私は、その《無尽の努力》と《メイク技術》を…信吾くんのその《天与の資》を、誇りに思ってほしい…自信を持って堂々と世に知らせてほしい…そう、あなたに言いたい』
『私も、詩織ちゃんもアンナさんも思ってる。信吾くん…こんなに頑張って、上手にメイクができるようになった男の子なんて…なんか凄くカッコいいなって』
鈴ちゃんはそう言って、僕に大きく頷いて見せてくれた。僕も鈴ちゃんに頷いて見せる。
詩織もアンナさんも、僕に『自信を持って!』と僕にエールを送るように、優しく微笑んでくれていた。
『信吾くん。《ニューハーフタレント》や《女装タレント》が…』
おっと!
僕は慌てて振り返って、再び語りはじめた冴嶋社長を見た。
『…今や芸能界では《ひとつのカテゴリー》として世間から認められ、確立を成していることも、芸能界の歴史の一つとして覚えておいて』
へぇ…そうなんだ。僕はあまりテレビを見ないから…判らないけど。
とりあえず今は…。
『はい』
…そう答えて返すしかなかった。
『信吾くんは、もちろん自分の《女装メイク顔》は、毎日自分でメイクしてるんだから…十分解ってるはずよね?』
『えっ?あ…』
冴嶋社長は、にこりと笑った。
『あなたの《女の子メイク》した顔は《本物の女の子以上に、女の子らしい可愛らしい顔》よね』
『…よね』って言われても、さすがに『はい。そうなんです』なんて大馬鹿な、そんな珍返答は僕はしない。
『私は、ここではっきりと断言させてもらうわ』
…なにを断言されるんだろう…。
僕は静かに息を呑んだ…。
『あなたは…女装した信吾くんの姿《池川金魚ちゃん》は…その存在の全てが《常識をも凌駕した非常識なる奇跡》そのものよ』
…えっ?
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