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女装と復讐 -完結編-
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なんだか、ややこしい言葉が色々出てきて、頭ん中でぐちゃぐちゃになってしまいそうだけど…冴嶋社長の言いたいことは、ちゃんと解った。
『社長…私も思います。こんな奇跡は、そんな簡単に起こせるものじゃないって』
…鈴ちゃん。
『それを起こすには、生まれ持った《感性》や《センス》、それに信吾くんの《努力》があったからこそだけど…そんな奇跡が生まれるための《偶然》や、人との出会いの《幸運》とかも…』
…そうだ!
去年、偶然にも菊江さんと出会って…そこからアンナさんを紹介され、詩織や秋良さん達と繋がって…菊江さんを通じて岡ちゃんと出会って…岡ちゃんのお陰で鈴ちゃんと友達になれたのも…。
僕が女装を始めたことで、金魚にそっくりな歩美さんとも出会い、秋良さんや啓介さんと歩美さんが繋がるきっかけにもなれたのも…。
アンナさんを通じてナオさんと知り合い…今、ナオさんの化粧品店でメイクの修行をさせてもらえてるのも…。
今までの全てが、一つに連なった《偶然》であり《幸運》じゃないか…!
『…ねぇ金魚…うぅん。信吾』
僕は呼ばれて詩織を見た。
『もう十分解ったんじゃない?誰もあなたのことを笑わないよ…って』
詩織は今みたいに、いつも僕に柔らかな微笑みや笑顔を見せてくれてた…そう。
『私、一つも忘れてないよ…全部覚えてる。金魚が…信吾が頑張ってきた今までのこと。だってもう1年近くも、ずっとずっと金魚と一緒だったんだもん…』
…小悪魔詩織のとき以外は。
あ…小悪魔のときもニコニコと、愛くるしい魔性の笑みを見せてたけど。
いつもありがとう…詩織。
『…あなたが勇気を振り絞って、初めて2人で歩いた天郷大通りのあの日のことも…あなたが黒ぶち眼鏡をやめてコンタクトに変えて…太かったゲジゲジ眉毛を細く整えて…左耳たぶにピアス穴を開けて…髪を女の子っぽく短くカットして…』
…そうなんだ。僕は今まで詩織と、ずっと週末土曜日は一緒だった。
今までのことを振り返れば、いっしょに観に行った《G.F.アワード》とか…みんなで岸鉾神社に初詣に行ったこととか…《藤浦市スプリングフェスタ》の、あの特設ステージに一緒に立って、いっぱい歌ったこととか…。
『…信吾くん。もう一度訊いてもいいかしら…』
僕は冴嶋社長を見た。
『あなたのその可愛らしい女装姿は、決して恥ずかしいものじゃないわ。それにきっとあなたなら、芸能界に大革新を巻き起こせるって思う。だから是非、うちの芸能事務所と専属契約をして、うちのタレントとして頑張ってほしいの』
『あの…少し考える時間をください…』
冴嶋社長は僕をじっと見た。
今すぐはやっぱり、即答はできない…恐くて。
『考える時間…そうね。どれくらいあればいいかしら?』
『一週間ぐらい…』
冴嶋社長は少し考えて…。
『分かったわ。ただ、これだけは覚えておいて』
…?
冴嶋社長は立ちあがった。
『私も無理を強引に突き通すつもりはないわ。けど、あなたの全てを私に委ねてもらえるなら…あなたを納得させるだけの安定した収入と、仕事の提供を約束するわ』
『社長…私も思います。こんな奇跡は、そんな簡単に起こせるものじゃないって』
…鈴ちゃん。
『それを起こすには、生まれ持った《感性》や《センス》、それに信吾くんの《努力》があったからこそだけど…そんな奇跡が生まれるための《偶然》や、人との出会いの《幸運》とかも…』
…そうだ!
去年、偶然にも菊江さんと出会って…そこからアンナさんを紹介され、詩織や秋良さん達と繋がって…菊江さんを通じて岡ちゃんと出会って…岡ちゃんのお陰で鈴ちゃんと友達になれたのも…。
僕が女装を始めたことで、金魚にそっくりな歩美さんとも出会い、秋良さんや啓介さんと歩美さんが繋がるきっかけにもなれたのも…。
アンナさんを通じてナオさんと知り合い…今、ナオさんの化粧品店でメイクの修行をさせてもらえてるのも…。
今までの全てが、一つに連なった《偶然》であり《幸運》じゃないか…!
『…ねぇ金魚…うぅん。信吾』
僕は呼ばれて詩織を見た。
『もう十分解ったんじゃない?誰もあなたのことを笑わないよ…って』
詩織は今みたいに、いつも僕に柔らかな微笑みや笑顔を見せてくれてた…そう。
『私、一つも忘れてないよ…全部覚えてる。金魚が…信吾が頑張ってきた今までのこと。だってもう1年近くも、ずっとずっと金魚と一緒だったんだもん…』
…小悪魔詩織のとき以外は。
あ…小悪魔のときもニコニコと、愛くるしい魔性の笑みを見せてたけど。
いつもありがとう…詩織。
『…あなたが勇気を振り絞って、初めて2人で歩いた天郷大通りのあの日のことも…あなたが黒ぶち眼鏡をやめてコンタクトに変えて…太かったゲジゲジ眉毛を細く整えて…左耳たぶにピアス穴を開けて…髪を女の子っぽく短くカットして…』
…そうなんだ。僕は今まで詩織と、ずっと週末土曜日は一緒だった。
今までのことを振り返れば、いっしょに観に行った《G.F.アワード》とか…みんなで岸鉾神社に初詣に行ったこととか…《藤浦市スプリングフェスタ》の、あの特設ステージに一緒に立って、いっぱい歌ったこととか…。
『…信吾くん。もう一度訊いてもいいかしら…』
僕は冴嶋社長を見た。
『あなたのその可愛らしい女装姿は、決して恥ずかしいものじゃないわ。それにきっとあなたなら、芸能界に大革新を巻き起こせるって思う。だから是非、うちの芸能事務所と専属契約をして、うちのタレントとして頑張ってほしいの』
『あの…少し考える時間をください…』
冴嶋社長は僕をじっと見た。
今すぐはやっぱり、即答はできない…恐くて。
『考える時間…そうね。どれくらいあればいいかしら?』
『一週間ぐらい…』
冴嶋社長は少し考えて…。
『分かったわ。ただ、これだけは覚えておいて』
…?
冴嶋社長は立ちあがった。
『私も無理を強引に突き通すつもりはないわ。けど、あなたの全てを私に委ねてもらえるなら…あなたを納得させるだけの安定した収入と、仕事の提供を約束するわ』
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