女装と復讐は街の華

女装と復讐 -街華編-

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【Posi-Stylish/Japan】という、秋良さんの個人経営する事務所へと向かう車内は、久し振りに会えた春華さんと詩織の歓喜の叫びで、もう騒がしいというか煩いというか…なんというか…。

これを初めて見る歩美さんは、黙り込んで…ちょっと引き気味？


『私、ほんと春華さんに会いたかったから、今日春華さんに会えてほんとに…もう超嬉しーい♪』

『もーぉ。詩織ちゃんったらぁ！そんなもぅ嬉しいこと言ってくれちゃってー。あとで車を降りたら、ガバッと襲って抱き締めちゃって、チュウしちゃうぞー♪』

『えぇ…。あ、あの。それはちょっと…』






春華さんの運転する軽自動車は、雑居ビルに挟まれ囲まれた、狭苦しい月極駐車場に入り、《５番》に駐車。

車を降り、先頭を歩く春華さんの案内で、秋良さんの事務所のあるビルへと向かう。


『…それにしても…鮎美ちゃんだっけ？ほんとにそっくりだねー。金魚ちゃんに』

『はい。ですね』

『あ！そうだ…ねぇ、詩織ちゃん！』

『ん？』


一旦立ち止まり、振り返った春華さん。詩織と視線が交わる。


『秋良くんと啓介くんを、ちょっと驚かせてみよっか！』

『えっ？』

『私に、２人を驚かせるいいアイデアがあるんだけど…♪』

『きゃははははは。面白そーう！やろやろっ♪』






そして、やっと着いた目的のビル。３階建てと、周りのビルに比べたら少し低くて小さいけど、この辺りでは一番新しく見える。

ビルの前の道路の両脇には、あっちからこっちまで、青々とした街路樹が植えられ、綺麗に並んでいて…そんなに煩くないし、周辺環境はとても良さそう…気持ちがいいくらい。




僕らはビルの入り口のガラス扉を開けて入り、目の前の階段をそーっと上がって…２階へ。

向かうそのあいだも、詩織と春華さんは声を押し殺しながら、クスクスと笑っている。

歩美さんは…というと、小声で笑う詩織と春華さんを交互に、黙ったままキョロキョロと見ている。






【Posi-Stylish/Japan】

白い壁に貼られた、お洒落なアルミ製の表札に、確かにそう彫られている。

間違いない。ここが秋良さんの事務所らしい。


「じゃあ金魚…鮎美ちゃんのダンボール箱、代わりに持ってあげてて…」

「うん」


あれ？…このダンボール箱…持ってみると、思ってたより軽い…？


「それじゃあ金魚ちゃん…ちょっと待っててね…クスクス♪」

「はい…春華さん、いってらっしゃい…」


事務所の玄関の、黒い金属製の扉を開け、春華さんと詩織と歩美さんは、事務所へと入っていく…。


『ただいまー！』


扉は静かに閉まった。