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女装と復讐 -街華編-
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詩織は振り返って、僕に手のひらを差し出す。
『ねぇ金魚、メモした紙出して』
『あ、うん』
僕は今日穿いてきたオレンジ色のショートパンツのポケットから、小さく折り畳んだメモ用紙を取り出し、詩織の手のひらに乗せた。
それを開いて見る詩織。
『えっと…あー。はいはい』
メモは秋良さん達の働く事務所に一度も行ったことのない僕らのために、アンナさんが書いてくれたもの。
そして詩織が駅構内の通路の先を指差した。
『あっち。ではこれから《地下鉄・梯木原線》に乗って、駅4つ先の《二ツ矢駅》で降ります』
今の詩織の説明で、僕はなんとか解ったけど、都内から来た歩美さんにとっては、何のことだかさっぱり解らなかったことだろうと思う。
『じゃあ、そういうことで。行きましょう』
僕らはメモ用紙に従い、地下鉄の梯木原線の電車に乗って、約11分…指示どおり駅4つ先の二ツ矢駅で降りた。
いつものように改札口を通り抜け…《2番出口》と掲げられた、街の地上へと出る階段を3人で探し…階段を上がって…外へと出たところで詩織が電話。
『もっしもーし。あっ…もしもし?秋良くん?…うん。着いたよぉ…えっ?うぅん。今ね、地下鉄の《2番出口》って階段の前…うん。そうそう。外出たとこ…』
最後に『はーい。待ってまーす♪早く来てねー♪』と言い、詩織は電話を切った。
…そして待つこと約10分。僕らの目の前に見覚えのある白色の、ちょっと古めの軽自動車が停まった。
降りてきたのは…もちろん、春華さん。
『あの…ちょっと。お取り込み中ごめんなさい。この男の子たち…詩織ちゃん達のお友だち?』
『はぁ?誰こいつ』
サングラスを掛けた春華さん…振り返った男子高校生の2人組に睨まれた。
詩織は詩織で、春華さんの問い掛けに首をブンブンと激しく横に振って見せ、『お友だち?』に対して全力で否定。
…そう。詩織が電話を切ったすぐあとに、地下鉄の階段をひょいひょいと軽快に上がってきた、この男子高校生2人が…。
『おっ?えーっ!?…天使発見』
『おぉほーっ!なんでこんなとこに3人も、可愛い子が居んの!?』
『やべーぇ!凄ぇー!3人ともマジで超可愛えぇー!!』
…つまり、早瀬ヶ池と何も変わらず…ここでもナンパされてました…。
『私は、この子たちの《保護者》です!…待って。うーん…お姉ちゃんかな…?』
『…あ?』
『ってか!何でもいいけど、ナンパなら余所でやって!』
男子高校生らに有無も言わせず、春華さんは僕らを車に乗せて、強引に走り出した…。
『ねぇ金魚、メモした紙出して』
『あ、うん』
僕は今日穿いてきたオレンジ色のショートパンツのポケットから、小さく折り畳んだメモ用紙を取り出し、詩織の手のひらに乗せた。
それを開いて見る詩織。
『えっと…あー。はいはい』
メモは秋良さん達の働く事務所に一度も行ったことのない僕らのために、アンナさんが書いてくれたもの。
そして詩織が駅構内の通路の先を指差した。
『あっち。ではこれから《地下鉄・梯木原線》に乗って、駅4つ先の《二ツ矢駅》で降ります』
今の詩織の説明で、僕はなんとか解ったけど、都内から来た歩美さんにとっては、何のことだかさっぱり解らなかったことだろうと思う。
『じゃあ、そういうことで。行きましょう』
僕らはメモ用紙に従い、地下鉄の梯木原線の電車に乗って、約11分…指示どおり駅4つ先の二ツ矢駅で降りた。
いつものように改札口を通り抜け…《2番出口》と掲げられた、街の地上へと出る階段を3人で探し…階段を上がって…外へと出たところで詩織が電話。
『もっしもーし。あっ…もしもし?秋良くん?…うん。着いたよぉ…えっ?うぅん。今ね、地下鉄の《2番出口》って階段の前…うん。そうそう。外出たとこ…』
最後に『はーい。待ってまーす♪早く来てねー♪』と言い、詩織は電話を切った。
…そして待つこと約10分。僕らの目の前に見覚えのある白色の、ちょっと古めの軽自動車が停まった。
降りてきたのは…もちろん、春華さん。
『あの…ちょっと。お取り込み中ごめんなさい。この男の子たち…詩織ちゃん達のお友だち?』
『はぁ?誰こいつ』
サングラスを掛けた春華さん…振り返った男子高校生の2人組に睨まれた。
詩織は詩織で、春華さんの問い掛けに首をブンブンと激しく横に振って見せ、『お友だち?』に対して全力で否定。
…そう。詩織が電話を切ったすぐあとに、地下鉄の階段をひょいひょいと軽快に上がってきた、この男子高校生2人が…。
『おっ?えーっ!?…天使発見』
『おぉほーっ!なんでこんなとこに3人も、可愛い子が居んの!?』
『やべーぇ!凄ぇー!3人ともマジで超可愛えぇー!!』
…つまり、早瀬ヶ池と何も変わらず…ここでもナンパされてました…。
『私は、この子たちの《保護者》です!…待って。うーん…お姉ちゃんかな…?』
『…あ?』
『ってか!何でもいいけど、ナンパなら余所でやって!』
男子高校生らに有無も言わせず、春華さんは僕らを車に乗せて、強引に走り出した…。
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