上 下
308 / 490
女装と復讐 -街華編-

page.297

しおりを挟む
今の詩織の一言が彩乃の感情を逆撫で、不愉快にさせるのに十分だったことを見て知って、詩織はとても気分良さそう。

僕にニコッと笑って見せた。


『…けどね、彩乃ちゃん。あなたが本気で怒るより先に…あなたの《皮肉った一言》が私たちを先に怒らせたんだってこと!理解しなさい!』


そして詩織は再び、彩乃を見据えてキツく睨み付ける。


『私の皮肉った一言?ふーん。そうなんだ…?』


彩乃は解ってないフリをしているのか、それとも本当に解ってないのか…。


『あなた、私たちのことを《害虫》って言ったでしょ?…まさか忘れたなんて言わないよね?』

『あー。それは《皮肉》じゃなくて《事実》ですから』


しばらく睨み合ってた詩織と彩乃。そして詩織が視線を外し、余裕あり気な笑みを彩乃に見せた。


『あーそう。でも鈴お姉さまのとかに《寄生虫》してるあなたに、《害虫》呼ばわりなんてされたくないわ!!』

『はーぁぁ!?お姉ちゃんに《寄生虫》してるってどういう意味よ!!』

『そのままの意味でしょ!何でも人に訊くんじゃなくて、その悪い頭も少しは使って自分で考えなさいよ!!』

『六条大学なんかに通ってる詩織ちゃんなんかより、もっと偏差値の高い良い大学に通ってる私のほうが、ずっと頭がいいわよ!それでも私の頭が悪いとか言えるの!』


…なんだか口喧嘩が、ただの《罵り合い》に発展しはじめた、詩織と彩乃…。


『まぁ…私があれこれ言ってたよって、また隠れてコソコソとお姉ちゃんに告げ口しようとか…《卑怯者》って噂も、まんざら嘘でもなさそうね…』


彩乃は、今まで冷静に黙ってその様子を見てた僕にふと気付き、今度は僕を冷たく睨んだ。


『ねーぇ。金魚ちゃんも、関係ない第三者みたいな顔して見てないで、何か言ったらどうなのよ!』

『…。』


彩乃は今度は、今まで黙ってた僕を挑発しだした。


『言うと彩乃ちゃんに言い返されて負けるから言いませーん…って、いつも詩織ちゃんと一緒に居るから《卑怯者》なところが伝染っちゃったのかな…あははは』


バカ笑いしてる彩乃。


『ねぇ、詩織って…どう卑怯なの?』


僕は堪らなく我慢ができなくなって、それを彩乃に訊いた。


『はぁ?知らないわよ。だって私は、詩織ちゃんって卑怯者だよねーって、ただそんな《ネット書き込みの噂》をちらっと見ただけだから』


嘘つけ!お前が《カラフル》を利用して、書き込みまくって言いふらしてたんだろが!


『なんだか聞いた噂では《G.F.》のスカウトデビューをとばして、モデルデビューしたから卑怯者だとか…でも事実なんでしょ?違う?』

『!!』


僕は体中を小さな震えが走り、頭皮が逆立つ感覚と頭の中がカッと熱くなってくるを感じた…。


『彩乃ちゃん。それって…卑怯なの?』

『えっ?なに言ってんの?この金魚。この子も頭悪いの?楽してモデルデビューしたんだから、それは卑怯以外の何物でもないでしょ』


僕の問いにそう答えた彩乃。


『彩乃ちゃん…何も解ってない』

『解ってないのはあなたでしょ』


僕は呆れたような、残念そうな顔で彩乃を見た。


『なによ!私が何を解ってないって言うのよ!?』


僕を更にキツく睨み付ける彩乃。


『…。』

『なに黙ってんの!言いなさいよ!…私が何を解ってないのか説明しなさいよ!!金魚!!』


詩織も黙って僕を見てる…。
僕は初めて詩織と口喧嘩した日のことを思い出してた…。

もしかして…詩織もあの日のこと思い出してたり…しないか。たぶん。

僕はあの口喧嘩した日から、詩織を卑怯者だとか言う奴は、絶対に許さないって心に決めてたんだ…。


『…スカウトデビューをはぶかれてモデルデビューするのって…全然楽なんかじゃない。ほんとは凄く辛いことなのに…』


























しおりを挟む
感想 224

あなたにおすすめの小説

ママと中学生の僕

キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。

〈社会人百合〉アキとハル

みなはらつかさ
恋愛
 女の子拾いました――。  ある朝起きたら、隣にネイキッドな女の子が寝ていた!?  主人公・紅(くれない)アキは、どういったことかと問いただすと、酔っ払った勢いで、彼女・葵(あおい)ハルと一夜をともにしたらしい。  しかも、ハルは失踪中の大企業令嬢で……? 絵:Novel AI

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

ちょっと大人な体験談はこちらです

神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない ちょっと大人な体験談です。 日常に突然訪れる刺激的な体験。 少し非日常を覗いてみませんか? あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ? ※本作品ではPixai.artで作成した生成AI画像ならびに  Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。 ※不定期更新です。 ※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。

バーチャル女子高生

廣瀬純一
大衆娯楽
バーチャルの世界で女子高生になるサラリーマンの話

女豹の恩讐『死闘!兄と妹。禁断のシュートマッチ』

コバひろ
大衆娯楽
前作 “雌蛇の罠『異性異種格闘技戦』男と女、宿命のシュートマッチ” (全20話)の続編。 https://www.alphapolis.co.jp/novel/329235482/129667563/episode/6150211 男子キックボクサーを倒したNOZOMIのその後は? そんな女子格闘家NOZOMIに敗れ命まで落とした父の仇を討つべく、兄と娘の青春、家族愛。 格闘技を通して、ジェンダーフリー、ジェンダーレスとは?を描きたいと思います。

家政婦さんは同級生のメイド女子高生

coche
青春
祖母から習った家事で主婦力抜群の女子高生、彩香(さいか)。高校入学と同時に小説家の家で家政婦のアルバイトを始めた。実はその家は・・・彩香たちの成長を描く青春ラブコメです。

クラスメイトの美少女と無人島に流された件

桜井正宗
青春
 修学旅行で離島へ向かう最中――悪天候に見舞われ、台風が直撃。船が沈没した。  高校二年の早坂 啓(はやさか てつ)は、気づくと砂浜で寝ていた。周囲を見渡すとクラスメイトで美少女の天音 愛(あまね まな)が隣に倒れていた。  どうやら、漂流して流されていたようだった。  帰ろうにも島は『無人島』。  しばらくは島で生きていくしかなくなった。天音と共に無人島サバイバルをしていくのだが……クラスの女子が次々に見つかり、やがてハーレムに。  男一人と女子十五人で……取り合いに発展!?

処理中です...