女装と復讐は街の華

木乃伊(元 ISAM-t)

文字の大きさ
上 下
307 / 490
女装と復讐 -街華編-

page.296

しおりを挟む
純白な花嫁衣装の姿の彩乃が、しゃなりしゃなりと僕らの方へと一歩…また一歩と近づいてくる。


対して僕らも二歩前進し、接近して互いに立ち止まって睨み合った。


彩乃が軽く両腕を組み、先に話しだす。


『ねぇ詩織ちゃん、さっき…』

『…なに?』

『私に《何をしに来たの?》って訊いてたよね…?』

『言ったけど。それがなに?』


彩乃が鋭い目つきで僕らを見据える。


『あなた達…私の許可も得ず、コソコソとお姉ちゃんと仲良くしてるみたいだけど…』


…コソコソ?なんてしてないし!


『あのね!なんで鈴ちゃんと仲良くするのに、あなたの許可なんか要るわけ!?』

『私はお姉ちゃんの、実の妹だからよ!!』


彩乃が声を張り上げて怒鳴る。
周りの女の子たちも、急な怒鳴り声に寄り添いあって、驚いて縮こまってる。


『私は、お姉ちゃんのことが心配なの!それ以上の理由や説明なんて必要ないでしょ!!』


心配だから、姉と仲良くするのなら妹の許可が要る…?
そんな理由じゃ説明が足りないって…。

足りないってより…そもそも説明にもなってないけど。


『今までも、大したことない普通の女の子が、お姉ちゃんと友達になりたいって何度か近付いてきたわ…』


彩乃は組んでいた両腕を解いた。そして左手を腰に…右手は人差し指で僕らを指差した。


『あなた達も、私がお姉ちゃんを守るために、近付いてくる害虫を駆除する私の《苦労》も考えてみなさいよ!』

『はぁ?害虫!?』

『そうよ。当然あなた達も害虫でしょ』


彩乃を今度はキツく睨み付ける詩織。僕は間髪入れる間もなく訊いた。


『駆除って…どういうこと?』


『駆除って言ったら駆除よ。お姉ちゃんに近付いてきた子たちに、お姉ちゃんには分からないように、二度とお姉ちゃんに近付かないように警告して、別れさせてきたの』


『!?』
『!!』


『あなた達みたいなね、何でもない一般素人が、ちょろちょろとお姉ちゃんにちょっかい出して仲良くされたらね、お姉ちゃんの芸能人としての輝きが鈍ってけがれてくの!そんなことぐらい、お馬鹿なあなた達でも解るでしょ!』


鈴ちゃんは…地元の友達がほしいって、一生懸命に頑張ってきてたのに…それを裏でぶち壊してたのか…彩乃!

…こいつ…絶対に許せない!!


『…そういうことだから。もう二度とお姉ちゃんには近付かないでよね!』


一瞬言葉に詰まり、すぐには反論できない詩織。

他の女の子たちには、このには気付けていないだろう。
いつも詩織と一緒にいる僕だからこそ…僕だけが分かる詩織の感情変化…。



…すぐに反論できないくらい、こんなにブチ切れた詩織を見るの…初めて…!!




『なに黙ってるの?詩織ちゃん。分かったんだったら…返事ぐらいしたらどうなの?ねぇ…詩織ちゃん!』


『…えぇ。よぉく分かったわ。うん、分かった…。じゃあ《妹の彩乃ちゃんに、そう言われました》って…《彩乃ちゃんに別れろって言われたから、もう会えません》《ごめんなさい。さようなら》って、鈴ちゃんに電話して伝えておくね…』


詩織のその一言に、目ん玉をひんむいて激怒した表情を見せる彩乃。


『…そんなこと言ったら…やっぱり悲しむよね…鈴ちゃん』

『詩織ちゃん…ねぇ…私を本気で怒らせていいの…!?』

『きゃははははは。どうぞどうぞ♪』

























しおりを挟む
1 / 4

この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!

美しい弟

BL / 連載中 24h.ポイント:63pt お気に入り:15

Two seam

恋愛 / 連載中 24h.ポイント:92pt お気に入り:12

少年女体化監禁事件

恋愛 / 完結 24h.ポイント:35pt お気に入り:21

入社した会社でぼくがあたしになる話

青春 / 連載中 24h.ポイント:1,732pt お気に入り:67

転職してOLになった僕。

大衆娯楽 / 連載中 24h.ポイント:1,050pt お気に入り:38

あざといが過ぎる!

BL / 連載中 24h.ポイント:7pt お気に入り:26

セクシャルメイド!~女装は彼女攻略の第一歩!?~

キャラ文芸 / 完結 24h.ポイント:63pt お気に入り:20

処理中です...