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女装と復讐 -街華編-
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『ねぇ信…あ、ごめん金魚。もうちょっと…ちゃんとこっち向いて。私に完成したメイクを見せて』
『もうちょっ、ちゃんと…ってなに?』
僕はそう独り言のように言いながら、横目でちらりと詩織を見て…座り直して上体ごと捻って、詩織に顔を向けた。
その僕の顔を、ぐいっと近づいて覗き込む詩織。
『はぁ…ほんとだ。こんなに近くで見ても…凄く丁寧に、綺麗にメイクできてる。確かに上手…』
詩織の体がぐいぐいと…顔がどんどん僕に近付いてくる…!
『ちょ…詩織!顔…近過ぎだって!』
『あ、きゃはははは。ごめんね』
詩織のぱっちりキラキラした瞳やうるうるピンクの唇を、こんなにもの凄く間近で、直に見たのは初めてだ。
『あの…金魚ぉ…1こだけ私のお願…やっぱ2こ!…聞いてくれない?』
『私のお願い?』
『うん。私のお願い。2こ』
…なんだろう…詩織のお願いって。
アンナさんが見てるからか、詩織の唇が僕の耳元へと近づいてきて…そっと小声で僕に言った。
「先週…アンナさんとナオさんが、金魚をお化粧するの…取り合って喧嘩してたでしょ?」
『あー…うん』
「まず私の1こ目のお願いは…金魚のお化粧、私もやってみたいの」
あー。そういうことか。
「アンナさん達が…あんな取り合いの喧嘩をするくらい…ほんとに金魚をお化粧するのって、気持ちいいのか…どうなのかなぁ?…って」
『…。』
…あぁ…そっちだったか…。
『…って、どうせ聞こえてたんでしょ?アンナさん…ダメ?』
一応…アンナさんにお伺いしてみる詩織。
『別にいいわよ』
『やったぁ』
『詩織、僕へのもう1つのお願いってのは…?』
『あ、そうそう…えぇっと…』
詩織は、少し躊躇しながらそれを言い始めた。
『私も自分のお化粧は、毎日もちろん自分でやってるんだけど…』
うんうん。
『…綺麗にお化粧してるように見えるけど…実は私、お化粧が下手っぴーで…意外と大雑把で…面倒くさがり屋で、ちょっといい加減だったり適当だったりするのね…』
大雑把…面倒…いい加減…適当…。どれも似たような意味なんだけど。
『…だっ、だから…もし、金魚が私にお化粧をしてくれたら、どんな感じになるのかな…やっぱり出来上がりは違うのかなぁ…もっと可愛くなれたりするのかなぁ…って。あはは…』
ふむふむ。なるほど。
『だから!…いい?ダメ?ねぇ金魚…』
『うん…いいよ』
詩織のキラキラ瞳が、更にキラキラと輝きだした。
『ほーんとにー!?やったぁ!ありがとう金魚!』
ぱっと明るい笑顔に変わって、可愛らしく喜んでみせる詩織。
『じゃあじゃあ…来週、私のお化粧道具持ってくるね!』
『あの…別に持ってこなくてもいいんじゃない…?』
『えっ?…あー。そっか…きゃはははは』
『もうちょっ、ちゃんと…ってなに?』
僕はそう独り言のように言いながら、横目でちらりと詩織を見て…座り直して上体ごと捻って、詩織に顔を向けた。
その僕の顔を、ぐいっと近づいて覗き込む詩織。
『はぁ…ほんとだ。こんなに近くで見ても…凄く丁寧に、綺麗にメイクできてる。確かに上手…』
詩織の体がぐいぐいと…顔がどんどん僕に近付いてくる…!
『ちょ…詩織!顔…近過ぎだって!』
『あ、きゃはははは。ごめんね』
詩織のぱっちりキラキラした瞳やうるうるピンクの唇を、こんなにもの凄く間近で、直に見たのは初めてだ。
『あの…金魚ぉ…1こだけ私のお願…やっぱ2こ!…聞いてくれない?』
『私のお願い?』
『うん。私のお願い。2こ』
…なんだろう…詩織のお願いって。
アンナさんが見てるからか、詩織の唇が僕の耳元へと近づいてきて…そっと小声で僕に言った。
「先週…アンナさんとナオさんが、金魚をお化粧するの…取り合って喧嘩してたでしょ?」
『あー…うん』
「まず私の1こ目のお願いは…金魚のお化粧、私もやってみたいの」
あー。そういうことか。
「アンナさん達が…あんな取り合いの喧嘩をするくらい…ほんとに金魚をお化粧するのって、気持ちいいのか…どうなのかなぁ?…って」
『…。』
…あぁ…そっちだったか…。
『…って、どうせ聞こえてたんでしょ?アンナさん…ダメ?』
一応…アンナさんにお伺いしてみる詩織。
『別にいいわよ』
『やったぁ』
『詩織、僕へのもう1つのお願いってのは…?』
『あ、そうそう…えぇっと…』
詩織は、少し躊躇しながらそれを言い始めた。
『私も自分のお化粧は、毎日もちろん自分でやってるんだけど…』
うんうん。
『…綺麗にお化粧してるように見えるけど…実は私、お化粧が下手っぴーで…意外と大雑把で…面倒くさがり屋で、ちょっといい加減だったり適当だったりするのね…』
大雑把…面倒…いい加減…適当…。どれも似たような意味なんだけど。
『…だっ、だから…もし、金魚が私にお化粧をしてくれたら、どんな感じになるのかな…やっぱり出来上がりは違うのかなぁ…もっと可愛くなれたりするのかなぁ…って。あはは…』
ふむふむ。なるほど。
『だから!…いい?ダメ?ねぇ金魚…』
『うん…いいよ』
詩織のキラキラ瞳が、更にキラキラと輝きだした。
『ほーんとにー!?やったぁ!ありがとう金魚!』
ぱっと明るい笑顔に変わって、可愛らしく喜んでみせる詩織。
『じゃあじゃあ…来週、私のお化粧道具持ってくるね!』
『あの…別に持ってこなくてもいいんじゃない…?』
『えっ?…あー。そっか…きゃはははは』
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