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女装と復讐 -躍動編-
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…そして、また日は過ぎて…今日は4月の第2土曜日。
つまり…僕と詩織が待ちに待った、初めて《伊藤鈴ちゃん》と会う日。
鈴ちゃんは午前9時から10時55分までの約2時間、《藤浦FM》でのラジオ生放送…つまり仕事だとか。
僕らも今日は午前10時頃、ナオさんから情報のあった瀬ヶ池の東隣の《新井区宗祇町》というところで、約1時間の鵜鷹目探し。
…って言っても、鵜鷹目は別に腕章とか何か目立つものを身に付けてるわけでもなくて、情報だけを頼りにこの広いエリアの中から、更に目の前の何百人の中の《鵜鷹目っぽい2人》を探すっていうんだから…偶然に頼るとか運任せとか神様のお導き…っていう、まるでただの《半分ギャンブル》って感じ。
だけど、詩織は美容院を出掛ける前から…それと《おばタク》の車内でも、いつもより気分が舞い上がってた。
『今日は鈴ちゃんと初めて会う日よね。詩織ちゃんも金魚ちゃんも、頑張ってね』
『うん。ありがとう。岡ちゃん』
『私も正午頃、鈴ちゃんを乗せて新井早瀬駅の前へ向かう予定よ』
『うん!お願いね!』
そう、岡ちゃんと会話してた、詩織の瞳がキラキラキラキラ…眩しすぎ。
『はーぁ…金魚。今日も鵜鷹目と遭遇できなかったね…』
『…うん』
ただ今、午前11時8分。
鵜鷹目の出没活動時間は、視察員に選任された2名から製作委員会編集部への《事前自己申告》であり、その申告に強制力はない…らしい。
あくまでも《従事希望時間》だとか。だから活動時間が大きく前後することだってあるし、活動場所の急な変更とかもある…本当に難しい…。
『…仕方ないよね。また来週頑張ろう…詩織』
…でも、なんとなく…詩織の意識はもう《鵜鷹目》よりも《もうすぐ鈴ちゃんに会える…♪》ってほうに飛んじゃってるっぽい。だからといって、それで詩織を責める気はないし。
ただ『今日はこんな特別な日なんだから…仕方ないかぁ』って思うだけ。
けど本当に、僕らには時間が無いんだ。
それはナオさんのお店《BlossoM.》の専属素人モデルを務めていた長谷雅美さんの挙式・披露宴の行われる7月が迫っているからだ。
6月の《G.F.》モデル撮影日に間に合わせるためには、4月か5月…つまり今月か来月のうちに鵜鷹目と遭遇しスカウトされ、5月刊…ギリギリ遅くても6月刊で《G.F.》デビューを果たさなければ間に合わない…。
ほんとに超ギリギリ…。
『ちょっと!金魚ちゃん!鈴ちゃんを待たせちゃダメでしょ。早く行きましょう♪』
『…。』
詩織が《金魚ちゃん》なんて呼ぶの…初めて聞いた…。
『ねぇ金魚…まだ岡ちゃんと鈴ちゃん、来ないね…』
『うん』
僕らは新井早瀬駅の前で、鈴ちゃんを乗せた《おばタク》が来るのを待っている。
iPhoneを胸元に、左手でぎゅっと握って待つ詩織。
そして、いつの間にか僕らの周りは、野次馬の女の子だらけ…囲まれてた。
僕はカルティエの腕時計で時刻を確認…午後0時23分。もう40分以上も待ってるんだけど…。
《…♪♪~♪~…》
『あっ!電話きた!!』
詩織が、掛かってきた電話の番号を確認する…?
『えぇ?誰?…知らない番号なんだけど…』
つまり…僕と詩織が待ちに待った、初めて《伊藤鈴ちゃん》と会う日。
鈴ちゃんは午前9時から10時55分までの約2時間、《藤浦FM》でのラジオ生放送…つまり仕事だとか。
僕らも今日は午前10時頃、ナオさんから情報のあった瀬ヶ池の東隣の《新井区宗祇町》というところで、約1時間の鵜鷹目探し。
…って言っても、鵜鷹目は別に腕章とか何か目立つものを身に付けてるわけでもなくて、情報だけを頼りにこの広いエリアの中から、更に目の前の何百人の中の《鵜鷹目っぽい2人》を探すっていうんだから…偶然に頼るとか運任せとか神様のお導き…っていう、まるでただの《半分ギャンブル》って感じ。
だけど、詩織は美容院を出掛ける前から…それと《おばタク》の車内でも、いつもより気分が舞い上がってた。
『今日は鈴ちゃんと初めて会う日よね。詩織ちゃんも金魚ちゃんも、頑張ってね』
『うん。ありがとう。岡ちゃん』
『私も正午頃、鈴ちゃんを乗せて新井早瀬駅の前へ向かう予定よ』
『うん!お願いね!』
そう、岡ちゃんと会話してた、詩織の瞳がキラキラキラキラ…眩しすぎ。
『はーぁ…金魚。今日も鵜鷹目と遭遇できなかったね…』
『…うん』
ただ今、午前11時8分。
鵜鷹目の出没活動時間は、視察員に選任された2名から製作委員会編集部への《事前自己申告》であり、その申告に強制力はない…らしい。
あくまでも《従事希望時間》だとか。だから活動時間が大きく前後することだってあるし、活動場所の急な変更とかもある…本当に難しい…。
『…仕方ないよね。また来週頑張ろう…詩織』
…でも、なんとなく…詩織の意識はもう《鵜鷹目》よりも《もうすぐ鈴ちゃんに会える…♪》ってほうに飛んじゃってるっぽい。だからといって、それで詩織を責める気はないし。
ただ『今日はこんな特別な日なんだから…仕方ないかぁ』って思うだけ。
けど本当に、僕らには時間が無いんだ。
それはナオさんのお店《BlossoM.》の専属素人モデルを務めていた長谷雅美さんの挙式・披露宴の行われる7月が迫っているからだ。
6月の《G.F.》モデル撮影日に間に合わせるためには、4月か5月…つまり今月か来月のうちに鵜鷹目と遭遇しスカウトされ、5月刊…ギリギリ遅くても6月刊で《G.F.》デビューを果たさなければ間に合わない…。
ほんとに超ギリギリ…。
『ちょっと!金魚ちゃん!鈴ちゃんを待たせちゃダメでしょ。早く行きましょう♪』
『…。』
詩織が《金魚ちゃん》なんて呼ぶの…初めて聞いた…。
『ねぇ金魚…まだ岡ちゃんと鈴ちゃん、来ないね…』
『うん』
僕らは新井早瀬駅の前で、鈴ちゃんを乗せた《おばタク》が来るのを待っている。
iPhoneを胸元に、左手でぎゅっと握って待つ詩織。
そして、いつの間にか僕らの周りは、野次馬の女の子だらけ…囲まれてた。
僕はカルティエの腕時計で時刻を確認…午後0時23分。もう40分以上も待ってるんだけど…。
《…♪♪~♪~…》
『あっ!電話きた!!』
詩織が、掛かってきた電話の番号を確認する…?
『えぇ?誰?…知らない番号なんだけど…』
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