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女装と復讐 -躍動編-
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春華さんが真剣な眼差しで僕に言う。
『危険危険。秋良くんの手に掛かったら、こんなに可愛い金魚ちゃんだもん…お尻触られるとかイタズラされちゃうでしょ!』
『はぁ?しねーよ!俺が金魚のケツなんかに手ェ出すかよ!』
『そんなの、分からな…あっ!!』
今度は秋良さんに腕を引っ張られ、僕は春華さんと秋良さんの真ん中に立った。
『金魚…お前なら、どっちがマジでヤバい奴なのかぐらい解ってるよな!…春華はなぁ…《可愛い女の子大ッ好きィ♡》の《ヘンタイ娘》だぞ!!』
『……。』
『ちょっとぉ、秋良くん!変態だなんて人聞きの悪いこと言わないでよぉ!』
『うるせー!本当だろうがよ!』
…えぇ…何これ…ど、どうしよう…。
僕は何度も、2人の顔を交互に見た…。
『はいはい。終わり終わり…っと』
そこへ仲裁に入った啓介さん。今度は啓介さんが僕を優しく保護してくれた。
『ほら、金魚が困った顔してるじゃん。秋良さんも春華ちゃんも、早くバンド練習始めようって』
秋良さんと春華さんが互いを見合う。
僕と啓介さんも見合ってニコリと笑った。
詩織は「ボーイズラヴ…」とかまた言いた気な表情してた…っておいっ。
『あぁ…そうだな。始めるか』
『はーい…金魚ちゃん、ごめんね…』
…そして啓介さんのおかげで、この件は無事に落着。
やっぱり啓介さんは、いつでも沈着冷静で頼りになる…優しいし本当にカッコいいな。
…1時間ほど練習をして、ランチは近くのファミレスで済ませ、そしてまたスタジオルームに戻ってきた。
詩織と僕と春華さんは床に直接ペタンと座り、秋良さん達は部屋に備えてあったパイプ椅子を置いて座った…少しの雑談。
『そういやぁなぁ…金魚』
『えっ?…はい』
秋良さんがはぁっと息を払った。
『啓介が担当して作ってる、金魚が歌う曲の歌詞だけどなぁ…』
『…あ、はい』
今度は啓介さんが、そのことについて語りだした。
『ごめん…今3回目の作り直ししてる』
…えぇっ!?3回目…!?
『曲は先にできてんだ。あとは啓介の作詞を載せるだけ。それで作詞に苦労してる様子だったから、俺は《何か強くイメージし易いものを想像して作詞してみろよ》って言ったんだけどな…』
…はぁ。なるほどです。
『そしたらね…ぷっ、あははは♪』
春華さんが吹き出して大笑い。
『啓介…お前あれ、金魚のことを想像して書いてただろ?』
『だって…ねー。啓介くんのピュアでストレートな気持ち…作詞から解っちゃったッ♪』
『…。』
………ん??
いくら《強く想像し易い》とはいえ、あれは『やり直しだ!』って言われても仕方ねーぞ…って秋良さん。
『あ…俺、コンビニ行ってタバコ買ってくるかな…』
いきなり立ち上がった啓介さん…って、タバコ吸ってたんだ…?
『はぁ?何言ってんだ啓介…お前タバコ吸わねーだろ!どこ行くんだよ!』
『あはははッ♪コンビニのドリップコーヒー、7人分宜しくねーッ♪』
啓介さんはそのまま振り返らず、レンタルスタジオを出てコンビニへ。
…15分後。啓介さんがコーヒーを買って戻ってきた。もちろんタバコは買ってき…てなかった。元々吸わないから。
そしてまた少しのあいだ、雑談が始まって…時刻は午後1時15分頃に。
『…こんにちはー』
『お邪魔しまーす』
『しまーす』
『わぉ!金魚さん!超可愛いー!』
『詩織さんのスタイル綺麗!脚も細いし、いいなぁ…笑顔も可愛いし』
『今日の金魚さん、ショートパンツって珍しい!可愛ゆい!』
…女子高生たちがぞろぞろと、スタジオルームに入ってきた。先々週、秋良さんに注意されたとおり、制限きっちりの10人。
スタジオルームが一気に狭くなる…。
『んで…今日はこれだけか?』
『ううん。今日は多いので、3グループに分けました!』
『今日は28人でーす』
『今日は保健体育の先生も1人、あとで来まーす』
『はぁぁっ!?』
驚きの声を上げる秋良さん。
「に…28人ってなんだよ…。ふざけんなっつーの。しかも学校の先生?馬鹿か…」
秋良さんが更に、女子高生たちに聞こえないように、小声で愚痴っちゃったりする。
『きゃははははは♪』
『良かったねッ♪詩織ちゃん♪』
…でも、詩織と春華さんだけは凄く嬉しそうだ…。
春フェスの当日…秋良さんはまず1曲目を春華さんに1人だけで歌わせて、あとで金魚と詩織を《隠しサプライズ・ヴォーカル》として紹介し、ステージに登場させる腹案だった。
…のに、あの日の女子高生の《写真添付LINE情報》送信によって、その秋良さんの腹案の全てが、女子高生内で大バレに…。
『危険危険。秋良くんの手に掛かったら、こんなに可愛い金魚ちゃんだもん…お尻触られるとかイタズラされちゃうでしょ!』
『はぁ?しねーよ!俺が金魚のケツなんかに手ェ出すかよ!』
『そんなの、分からな…あっ!!』
今度は秋良さんに腕を引っ張られ、僕は春華さんと秋良さんの真ん中に立った。
『金魚…お前なら、どっちがマジでヤバい奴なのかぐらい解ってるよな!…春華はなぁ…《可愛い女の子大ッ好きィ♡》の《ヘンタイ娘》だぞ!!』
『……。』
『ちょっとぉ、秋良くん!変態だなんて人聞きの悪いこと言わないでよぉ!』
『うるせー!本当だろうがよ!』
…えぇ…何これ…ど、どうしよう…。
僕は何度も、2人の顔を交互に見た…。
『はいはい。終わり終わり…っと』
そこへ仲裁に入った啓介さん。今度は啓介さんが僕を優しく保護してくれた。
『ほら、金魚が困った顔してるじゃん。秋良さんも春華ちゃんも、早くバンド練習始めようって』
秋良さんと春華さんが互いを見合う。
僕と啓介さんも見合ってニコリと笑った。
詩織は「ボーイズラヴ…」とかまた言いた気な表情してた…っておいっ。
『あぁ…そうだな。始めるか』
『はーい…金魚ちゃん、ごめんね…』
…そして啓介さんのおかげで、この件は無事に落着。
やっぱり啓介さんは、いつでも沈着冷静で頼りになる…優しいし本当にカッコいいな。
…1時間ほど練習をして、ランチは近くのファミレスで済ませ、そしてまたスタジオルームに戻ってきた。
詩織と僕と春華さんは床に直接ペタンと座り、秋良さん達は部屋に備えてあったパイプ椅子を置いて座った…少しの雑談。
『そういやぁなぁ…金魚』
『えっ?…はい』
秋良さんがはぁっと息を払った。
『啓介が担当して作ってる、金魚が歌う曲の歌詞だけどなぁ…』
『…あ、はい』
今度は啓介さんが、そのことについて語りだした。
『ごめん…今3回目の作り直ししてる』
…えぇっ!?3回目…!?
『曲は先にできてんだ。あとは啓介の作詞を載せるだけ。それで作詞に苦労してる様子だったから、俺は《何か強くイメージし易いものを想像して作詞してみろよ》って言ったんだけどな…』
…はぁ。なるほどです。
『そしたらね…ぷっ、あははは♪』
春華さんが吹き出して大笑い。
『啓介…お前あれ、金魚のことを想像して書いてただろ?』
『だって…ねー。啓介くんのピュアでストレートな気持ち…作詞から解っちゃったッ♪』
『…。』
………ん??
いくら《強く想像し易い》とはいえ、あれは『やり直しだ!』って言われても仕方ねーぞ…って秋良さん。
『あ…俺、コンビニ行ってタバコ買ってくるかな…』
いきなり立ち上がった啓介さん…って、タバコ吸ってたんだ…?
『はぁ?何言ってんだ啓介…お前タバコ吸わねーだろ!どこ行くんだよ!』
『あはははッ♪コンビニのドリップコーヒー、7人分宜しくねーッ♪』
啓介さんはそのまま振り返らず、レンタルスタジオを出てコンビニへ。
…15分後。啓介さんがコーヒーを買って戻ってきた。もちろんタバコは買ってき…てなかった。元々吸わないから。
そしてまた少しのあいだ、雑談が始まって…時刻は午後1時15分頃に。
『…こんにちはー』
『お邪魔しまーす』
『しまーす』
『わぉ!金魚さん!超可愛いー!』
『詩織さんのスタイル綺麗!脚も細いし、いいなぁ…笑顔も可愛いし』
『今日の金魚さん、ショートパンツって珍しい!可愛ゆい!』
…女子高生たちがぞろぞろと、スタジオルームに入ってきた。先々週、秋良さんに注意されたとおり、制限きっちりの10人。
スタジオルームが一気に狭くなる…。
『んで…今日はこれだけか?』
『ううん。今日は多いので、3グループに分けました!』
『今日は28人でーす』
『今日は保健体育の先生も1人、あとで来まーす』
『はぁぁっ!?』
驚きの声を上げる秋良さん。
「に…28人ってなんだよ…。ふざけんなっつーの。しかも学校の先生?馬鹿か…」
秋良さんが更に、女子高生たちに聞こえないように、小声で愚痴っちゃったりする。
『きゃははははは♪』
『良かったねッ♪詩織ちゃん♪』
…でも、詩織と春華さんだけは凄く嬉しそうだ…。
春フェスの当日…秋良さんはまず1曲目を春華さんに1人だけで歌わせて、あとで金魚と詩織を《隠しサプライズ・ヴォーカル》として紹介し、ステージに登場させる腹案だった。
…のに、あの日の女子高生の《写真添付LINE情報》送信によって、その秋良さんの腹案の全てが、女子高生内で大バレに…。
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