女装と復讐は街の華

木乃伊(元 ISAM-t)

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女装と復讐 -躍動編-

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「小さく…ツン♪としてて…ほんとの女の子の《ちっぱい》みたいよッ♪…これだったら…大丈夫。バレちゃわないね…♪」


僕以外の誰にも聞かれないように、僕の耳元で吐息のように、そう小声で言った春華さん。今も頬を赤らめたまま、嬉しそうに僕の擬似胸をツンツン…ツンツンってしてる…。

さすがに僕も、もう恥ずかしくなって…交差させた両腕で胸を覆ってちょっと背を向けた…けど、そんな恥ずかしがる女の子みたいな仕草をした自分に…少し気持ち悪さと嫌悪感が…。

そして秋良さんの言ってたとおり、春華お姉さまは…やっぱり《ちょっと変態お姉さま》かもしれない。


『おい!金魚…何だ?こいつら』

『あっ!』


僕は一旦春華さんから離れ、慌てて女子高生たちの元へ慌てて駆け寄った。


『ごめん…荷物運び、ありがとうね』


女子高生たちに簡単にお礼を言い、適当にスタジオの隅っこに、ボストンバッグとブーツを置かせた。






『なぁ…《見学》ってなんだよ…お前ら』


呆れたような表情で、女子高生たちを見る秋良さん。


『だから私たちは、男装コスプレがカッコいい金魚さんの、歌ってるところを《見学》しに来たんです』

『あのなぁ…』


はっきりとは言い切らず、間接的に《邪魔だ!》と女子高生たちに言おうとしてる秋良さん。その女子高生たちは《一曲だけでもいいですから!》と、秋良さんに詰め寄りお願いしている。


『……。』

『お願いします!』
『お願いです!』
『お願ぁい…』


目を閉じ、判断に迷っていた秋良さん…薄目を開けてチラッと、キラキラ瞳で秋良さんにすがっている女子高生たちを見た…。


『あーぁ。ったく…仕方ねーな…』

『いいんですか!?』
『やったぁ!いいって!』
『やったーぁ♪』

『…。』


結局…女子高生たちに根負けした秋良さん。
対して春華さんは可愛い子がまた増えて、とても嬉しそう…って感じ。


『ただし…30分待て』

『?』
『??』
『…♪』


女子高生たちに『今から金魚は、新たに始める曲の《初リハ》をするから…だから30分待て』と、繰り返して説明した秋良さん。


『何って曲を歌うの?』
『誰の歌!?』
『カッコいい曲ぅ!?』

『いいから30分だけ!お前らは自分のスタジオルームに帰って、バンド練習でもしてろ!』






『はーい。じゃあ30分後にまた来まーす』
『金魚さん、初リハ頑張ってね!』
『次は4人で来まぁーす』

『…4人…て、増えるのかよ…』


騒がしかった女子高生たちは、自分たちのレンタルスタジオルームへと帰っていった…30分だけ。


『あの…私、やっぱり歌うんですか?』


秋良さんが僕のほうを見た。


『あぁ。春フェスでな。金魚を目立たせてやってくれって、アンナさんからの依頼だからな』


えっ!?アンナさんからの依頼!?


『いいか金魚。俺たちは金魚と詩織が歌う曲…2つのオリジナル曲を今作ってる。金魚が歌う曲の作詞は啓介で作曲は俺。詩織が歌う曲の作詞は俺で作曲は啓介』


…えっ!?金魚と詩織のオリジナル曲!?秋良さんと啓介さん、毎日忙しいはずなのに…す、凄い…。
そして、なぜか久しぶりのドキドキ。


『金魚…この歌詞カードが、俺が詩織のために作った曲《Sing You  -彼女はBest Friend-》』


僕はそのお手製歌詞カードを、まじまじと見た…。
失礼ソング?…でもなさそう。歌には女の子が2人出てきてる。


『金魚、そっちに座れ。今、春華が試しに歌って見せるから』

『あ…はい』

『それと、またあの女子高生らがきたら、今日のところは詩織に代わって、この歌をお前が歌って見せてやるんだ。分かったな』


急に緊張して…肌を震わせながら…変な感情と表情で、秋良さんを見詰めてしまった…。


『は、はい…う、歌ってみます…』



























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