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女装と復讐 -躍動編-
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この瀬ヶ池のお洒落なケーキ屋さん…初めて名前を確認した。《Patrick Roger》…パトリックロジェと読むらしい。
今の時刻は、午前11時8分。《鵜鷹目》出没時間まで、まだ2時間もある。
僕らは本当に《鵜鷹目》がPARCO前の通りに出没するのは、午後1時頃なんどと思っていて、今はまだ全く慌てることなく余裕綽々だった。
『ちょっと…金魚ちゃん見て!お店の立て看板に《満席。ただいま10分待ち》って書いてある!』
えぇ…ここのお店も待ち時間…。
『待ち時間、たったの10分なんて超はぴはぴラッキーだね!アンプリエのカフェスィーツ店なんて、30分待ちなんてしょっちゅうだもん!』
んまぁ…そういう考え方もあるかぁ。
『今日はなんだか、幸先が良さそう!』
それよりも…超はぴはぴラッキーって詩織が言ったのが気になって…。
お店の奥の、ケーキの食べられる《rest room》の前の廊下には、椅子が10脚ほど綺麗に並べて置いてあるんだけど、今待ち椅子に座ってるお客の数は、女の子が6人だけ。
『金魚はこっちに座って。私はこっちね』
『うん』
詩織の隣には女の子。そこから向こうへ数えて女の子が6人。
「ちょっと!ねぇ、アキちゃん!こっち…私の横見て!」
「えっ?なに?」
「詩織ちゃんと金魚ちゃん…座ってる!」
「わぁ!ほんとだー!本物の詩織ちゃんと金魚ちゃんだぁー!」
…僕も詩織も聞こえないフリ。無視無視。
んっ?なに…?
膝の上に置いていたバッグに、詩織が慌てて手を突っ込んでる…?
あー。チケットの再確認かな…って思ってたら、取り出したのは…詩織のiPhone?
「も、もしもし…えっ?もう一回言っ……えぇーっ!?」
詩織の叫び声がケーキ屋さんの店内に響き渡る。待ってた6人の女の子も、なにが起こったのか!?と、めちゃくちゃ驚いてる…。
『金魚!座ってる場合じゃないってば!立って!!』
『…えっ!?なに!??』
『いいから急いで!!早く!!』
『!!?』
詩織に力強く引っ張られて僕は立ち上がった。そしてそのままの勢いで、急いでケーキ屋さんから出る。
『あー…んもぅ。今日は全然、はぴはぴラッキーじゃなかった…!』
早足で歩き出した詩織を追うように、僕も早歩きで追い掛けたが、詩織は一旦走り出し…やっぱりやめて、また早歩きに戻った…ちょっとイライラ気味?
『ねぇ詩織、なにがあったの?』
詩織はパッと立ち止まり、僕のほうへ振り返った。
『あのね、さっきの電話はナオさんからだったんだけど…』
『うん』
『ここでは大きな声では言えないけど…』
『…けど?』
そして詩織は、ぼくの耳元に唇を寄せてきた。
「《鵜鷹目》がね…もうキャッチ始めてる…っていうの…PARCO前で」
ひゃあ!耳元がくすぐったい!
僕は体をよじらせた。
『…えっ!?それマジ!?』
『うん…らしいの』
キャッチとは…もちろん《スカウト》のことだ。
今の時刻は、午前11時8分。《鵜鷹目》出没時間まで、まだ2時間もある。
僕らは本当に《鵜鷹目》がPARCO前の通りに出没するのは、午後1時頃なんどと思っていて、今はまだ全く慌てることなく余裕綽々だった。
『ちょっと…金魚ちゃん見て!お店の立て看板に《満席。ただいま10分待ち》って書いてある!』
えぇ…ここのお店も待ち時間…。
『待ち時間、たったの10分なんて超はぴはぴラッキーだね!アンプリエのカフェスィーツ店なんて、30分待ちなんてしょっちゅうだもん!』
んまぁ…そういう考え方もあるかぁ。
『今日はなんだか、幸先が良さそう!』
それよりも…超はぴはぴラッキーって詩織が言ったのが気になって…。
お店の奥の、ケーキの食べられる《rest room》の前の廊下には、椅子が10脚ほど綺麗に並べて置いてあるんだけど、今待ち椅子に座ってるお客の数は、女の子が6人だけ。
『金魚はこっちに座って。私はこっちね』
『うん』
詩織の隣には女の子。そこから向こうへ数えて女の子が6人。
「ちょっと!ねぇ、アキちゃん!こっち…私の横見て!」
「えっ?なに?」
「詩織ちゃんと金魚ちゃん…座ってる!」
「わぁ!ほんとだー!本物の詩織ちゃんと金魚ちゃんだぁー!」
…僕も詩織も聞こえないフリ。無視無視。
んっ?なに…?
膝の上に置いていたバッグに、詩織が慌てて手を突っ込んでる…?
あー。チケットの再確認かな…って思ってたら、取り出したのは…詩織のiPhone?
「も、もしもし…えっ?もう一回言っ……えぇーっ!?」
詩織の叫び声がケーキ屋さんの店内に響き渡る。待ってた6人の女の子も、なにが起こったのか!?と、めちゃくちゃ驚いてる…。
『金魚!座ってる場合じゃないってば!立って!!』
『…えっ!?なに!??』
『いいから急いで!!早く!!』
『!!?』
詩織に力強く引っ張られて僕は立ち上がった。そしてそのままの勢いで、急いでケーキ屋さんから出る。
『あー…んもぅ。今日は全然、はぴはぴラッキーじゃなかった…!』
早足で歩き出した詩織を追うように、僕も早歩きで追い掛けたが、詩織は一旦走り出し…やっぱりやめて、また早歩きに戻った…ちょっとイライラ気味?
『ねぇ詩織、なにがあったの?』
詩織はパッと立ち止まり、僕のほうへ振り返った。
『あのね、さっきの電話はナオさんからだったんだけど…』
『うん』
『ここでは大きな声では言えないけど…』
『…けど?』
そして詩織は、ぼくの耳元に唇を寄せてきた。
「《鵜鷹目》がね…もうキャッチ始めてる…っていうの…PARCO前で」
ひゃあ!耳元がくすぐったい!
僕は体をよじらせた。
『…えっ!?それマジ!?』
『うん…らしいの』
キャッチとは…もちろん《スカウト》のことだ。
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