187 / 490
女装と復讐 -躍動編-
page.176
しおりを挟む
PARCO早瀬ヶ池へと急ぎ足で向かいながら、僕と詩織は小声で会話。
『金魚…ナオさん、《午後1時》と《11時》間違えたのかな…それともアンナさんの聞き間違え?』
『うーん…どちらにしても、今は《鵜鷹目》がまだスカウトしてることを信じて願うしか』
『うん。だよね』
目的のPARCOへ向かうことと会話することだけに集中していると、目の前に現れるたくさんの女の子たちにぶつかりそうになるから、それを避けつつ会話しながら急ぐってのも、結構疲れそう…。
『それに…詩織』
『うん。なに?』
『ナオさんとアンナさん、どちらの間違いだったとしても、ぜったいに恨んじゃ駄目だよ』
『うん。勿論よ』
PARCO早瀬ヶ池はもう目の前…早足だった詩織も僕も気が急いて、遂には小走りで駆け出した。
『間に合うかなぁ!?金魚』
…結局、PARCO前で《鵜鷹目》を見付けることは出来なかった…。
この結果を詩織が、ナオさんに電話報告…。
『…はい…はい…あー…うん。はい…なるほどです…ちょっと考えて…分かりました。金魚と相談してみます…ありがとうございま…あ、そんな。いえいえ…はーい…』
ナオさんとの電話を終えて、iPhoneを左手にもったまま詩織が僕を見る。
『金魚。《鵜鷹目》がここにいない理由は、3つのパターンが考えられるんだって』
『3つのパターン?…って、ナオさんが教えてくれたの?』
『うん。1つは《単純な時間の間違い》と、もう1つは《もう誰かお洒落な女の子を見付けてスカウトし任務を終えた》こと、最後は《スカウトする場所の再検討と移動》だって』
なるほどね……ん?
詩織が左手に持ったiPhoneをまた見た…?
『…えっ?うそ…待って!?』
『??』
驚き顔の詩織が僕を見た…と同時に、少し明るく笑った…?
『まだ間に合うかも…!』
『…どういうこと?』
詩織がiPhoneを僕に手渡した。僕もそれを見る…LINE?
…アンナさんかららしい。
《鵜鷹目の次のスカウト場所が判明したわ。今度はアンプリエの付近でするらしいわ》
《彼女たちは今、徒歩でアンプリエに向かってるらしいから、あなたたちは地下鉄を使って、先回りしてアンプリエに向かいなさい》
《詩織が地下鉄苦手なのは分かってる。だけど今回は、ナオのためにも我慢して頑張ってあげて》
……!
そして、僕は詩織にiPhoneを返した。
『金魚…今の道を戻りながら新井早瀬駅の地下鉄の改札口へ向かったら、15分くらい掛かっちゃうから、あっちの《地下鉄・小秋山》に向かおう!』
詩織はアンプリエのある桜野区や新井早瀬駅とは逆の方を指差した。ここのPARCOから《地下鉄・小秋山》の改札口へ行く入口階段までは…とある裏通りを通れば、3分ぐらいで改札口へ着けられる。
いくら逆方向とは言えど、そして地下鉄に乗ることができれば、桜野区なんて地下鉄でも5分もあれば到着できるから、そのほうが今から新井早瀬駅へ向かうより早い!と詩織は考えたってわけだ…うん、確かに。
通称《Tシャツ横丁》…秋良さんたちのような衣装デザイナーを目指す、駆け出しの若者たちが集まることで有名な狭い裏通り。小さな古い商屋が建ち並び、新しい入居店舗の開店、閉店の展開もまた激しいってことでも知られてる。
『…ってことで、行こう!瀬ヶ池の裏通り《Tシャツ横丁》!』
『あーの…詩織。そうなんだけど…本当は僕、そこは通りたくないんだ…』
『えっ…なに言ってるの?15分くらい掛けて早瀬駅に向かうより、こっちのほうが断然早いんだよ!…金魚、苦手なの…?』
『う、うん…』
僕は自分なりの演技でできるだけ、今までの人生のなかで最も可愛らしく詩織にお願いしてみ…。
『私だって苦手な地下鉄、頑張って乗ろうって覚悟したの!金魚だってこんな時なんだから!決意して頑張りなさい!ほら!行くってば!』
『……。』
ひぃぃぃ…。
僕の精一杯の演技、詩織には効果なし…でした…あぁ。
だから…あの裏通りは《あいつ》のナンパテリトリーなんだって…。
『金魚…ナオさん、《午後1時》と《11時》間違えたのかな…それともアンナさんの聞き間違え?』
『うーん…どちらにしても、今は《鵜鷹目》がまだスカウトしてることを信じて願うしか』
『うん。だよね』
目的のPARCOへ向かうことと会話することだけに集中していると、目の前に現れるたくさんの女の子たちにぶつかりそうになるから、それを避けつつ会話しながら急ぐってのも、結構疲れそう…。
『それに…詩織』
『うん。なに?』
『ナオさんとアンナさん、どちらの間違いだったとしても、ぜったいに恨んじゃ駄目だよ』
『うん。勿論よ』
PARCO早瀬ヶ池はもう目の前…早足だった詩織も僕も気が急いて、遂には小走りで駆け出した。
『間に合うかなぁ!?金魚』
…結局、PARCO前で《鵜鷹目》を見付けることは出来なかった…。
この結果を詩織が、ナオさんに電話報告…。
『…はい…はい…あー…うん。はい…なるほどです…ちょっと考えて…分かりました。金魚と相談してみます…ありがとうございま…あ、そんな。いえいえ…はーい…』
ナオさんとの電話を終えて、iPhoneを左手にもったまま詩織が僕を見る。
『金魚。《鵜鷹目》がここにいない理由は、3つのパターンが考えられるんだって』
『3つのパターン?…って、ナオさんが教えてくれたの?』
『うん。1つは《単純な時間の間違い》と、もう1つは《もう誰かお洒落な女の子を見付けてスカウトし任務を終えた》こと、最後は《スカウトする場所の再検討と移動》だって』
なるほどね……ん?
詩織が左手に持ったiPhoneをまた見た…?
『…えっ?うそ…待って!?』
『??』
驚き顔の詩織が僕を見た…と同時に、少し明るく笑った…?
『まだ間に合うかも…!』
『…どういうこと?』
詩織がiPhoneを僕に手渡した。僕もそれを見る…LINE?
…アンナさんかららしい。
《鵜鷹目の次のスカウト場所が判明したわ。今度はアンプリエの付近でするらしいわ》
《彼女たちは今、徒歩でアンプリエに向かってるらしいから、あなたたちは地下鉄を使って、先回りしてアンプリエに向かいなさい》
《詩織が地下鉄苦手なのは分かってる。だけど今回は、ナオのためにも我慢して頑張ってあげて》
……!
そして、僕は詩織にiPhoneを返した。
『金魚…今の道を戻りながら新井早瀬駅の地下鉄の改札口へ向かったら、15分くらい掛かっちゃうから、あっちの《地下鉄・小秋山》に向かおう!』
詩織はアンプリエのある桜野区や新井早瀬駅とは逆の方を指差した。ここのPARCOから《地下鉄・小秋山》の改札口へ行く入口階段までは…とある裏通りを通れば、3分ぐらいで改札口へ着けられる。
いくら逆方向とは言えど、そして地下鉄に乗ることができれば、桜野区なんて地下鉄でも5分もあれば到着できるから、そのほうが今から新井早瀬駅へ向かうより早い!と詩織は考えたってわけだ…うん、確かに。
通称《Tシャツ横丁》…秋良さんたちのような衣装デザイナーを目指す、駆け出しの若者たちが集まることで有名な狭い裏通り。小さな古い商屋が建ち並び、新しい入居店舗の開店、閉店の展開もまた激しいってことでも知られてる。
『…ってことで、行こう!瀬ヶ池の裏通り《Tシャツ横丁》!』
『あーの…詩織。そうなんだけど…本当は僕、そこは通りたくないんだ…』
『えっ…なに言ってるの?15分くらい掛けて早瀬駅に向かうより、こっちのほうが断然早いんだよ!…金魚、苦手なの…?』
『う、うん…』
僕は自分なりの演技でできるだけ、今までの人生のなかで最も可愛らしく詩織にお願いしてみ…。
『私だって苦手な地下鉄、頑張って乗ろうって覚悟したの!金魚だってこんな時なんだから!決意して頑張りなさい!ほら!行くってば!』
『……。』
ひぃぃぃ…。
僕の精一杯の演技、詩織には効果なし…でした…あぁ。
だから…あの裏通りは《あいつ》のナンパテリトリーなんだって…。
0
お気に入りに追加
23
あなたにおすすめの小説
小さなことから〜露出〜えみ〜
サイコロ
恋愛
私の露出…
毎日更新していこうと思います
よろしくおねがいします
感想等お待ちしております
取り入れて欲しい内容なども
書いてくださいね
よりみなさんにお近く
考えやすく
体育座りでスカートを汚してしまったあの日々
yoshieeesan
現代文学
学生時代にやたらとさせられた体育座りですが、女性からすると服が汚れた嫌な思い出が多いです。そういった短編小説を書いていきます。
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
プール終わり、自分のバッグにクラスメイトのパンツが入っていたらどうする?
九拾七
青春
プールの授業が午前中のときは水着を着こんでいく。
で、パンツを持っていくのを忘れる。
というのはよくある笑い話。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる