女装と復讐は街の華

木乃伊(元 ISAM-t)

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女装と復讐 -発起編-

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…み、見てる。間違いなく…このイケメン2人組は、詩織の後ろに立つ僕…金魚のことを見て言ってる!!


『あー!!マジで!?…あの子、めちゃくちゃ可愛いと思ったら…今《パレット》で話題んなってる…やっぱあの子か!?』


固まる詩織…その左手が、僕の右手を求めてふらふらと彷徨さまよっている…。
僕は目の前のイケメンたちに気付かれないように右手を伸ばし…そっと優しく手を繋いだ…。


『…なぁ、後ろのお前…今噂の《瀬ヶ池の金魚》だろ…!』

『!!!!』


男の1人が詩織の肩を軽く突き飛ばし、僕の左腕を掴もうとした…!!


『金魚ッ!!』
『うん!!』


詩織と僕は一目散に《パススク81》館内に飛び込もうと駆け出し逃げた…!!

《助けて!スタッフのお姉さーん!超カッコいいイケメン2人組に僕ら、追われてまーす!!》…そう心の中で何度も叫んだ!
『ちょ…待てよお前らァァ!!』なんて叫ばれても、絶対待つもんか!!





『何してるんですか!!男性の入館は禁止です!!』
『駄目です!!入館しないでください!!』


スタッフのお姉さんたちに捕まり、必死に振り払おうと身をよじって抵抗するイケメン2人組。


『放せ!違うって!!あいつら俺らの彼女なんだよ!!なぁマジだって!!入れさせろよ!!』

『駄目です!』
『誰かー!警備員呼んでー!!』


スタッフのお姉さんたちと、あのイケメンコンビとのやり取りの声が、館内にまで届き響き渡る…。


『えっ?…なに!?』
『なになに?事件…?』


館内の女の子たちもざわざわ…と騒ぎはじめた。
僕らはサッと走るのを止め、とにかく人混みに紛れようと早足で館内を歩きに歩いた。

女の子たちで混雑する、長く延びる暗がりの通路を、2人黙って歩き進むと…《パステル・スクェア81》の中心部、だだっ広いイベント解除に出た…眩しい。

ドーム型のように中央部が緩やかに膨らんだ、強化ガラスだろう長方形の屋根を透過して、暖かい冬の日差しが会場内に注いでいる。

僕らは会場内を左斜めに向かって歩きながら、辿り着いた壁にもたれ掛かるようにして座り込んだ。


『えへへ。ほんとドキドキしたね』

『…あのイケメンたち、僕を見て…てゆうか…金魚のことを知ってた…』

『今噂の《瀬ヶ池の金魚》だって。いつの間にか、もう立派な有名人だね。きゃはははは』


…詩織は小さく手を叩きながら、1人で大爆笑してるけど、僕はさっきは《マジでヤバい!…捕まって、全てバレてしまうんじゃないか!?》と思って…血の気が引いた…。


『詩織…《G.F.アワード》の開始時刻って…午後1時だったよね?』

『うん。さっきので、なんかお腹空いちゃったね』




















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