女装と復讐は街の華

木乃伊(元 ISAM-t)

文字の大きさ
上 下
120 / 490
女装と復讐 -発起編-

page.109

しおりを挟む
赤いレンガで頑丈に造られ《嘉久見緑地公園》と記された大きな門をくぐって緑地公園へと入る。レンガの門から少し進むと、すぐ両脇に建物…公園管理事務所と車両通行許可事務所が見えた。公園に立ち入ってすぐ解ったこと…それはとにかく広いこと。
緑地公園のずっと向こうには、広々とした駐車場、それに球技場やテニスコートらしき施設も見える。

歩き進むたびにすれ違う女の子たち…緑地公園内はもうお洒落な女の子でいっぱいだ。






のんびりぶらぶらと公園を歩き、《パススク81》の入館口の前へ。


『公演施設《パステル・スクェア81》への入館は本日、女性のみとなっておりまーす。男性の方の入館はご遠慮いただきますよう、ご協力をお願いしまーす!』


緑の蛍光色のウィンドブレーカーを着た、施設のスタイルらしきお姉さんが数人、入館口のガラス扉の前で、声を大きくして説明案内している。

…男性の方?

どういうことだろう?…そう思ってふと周りを見渡してようやく、その異様な光景に気付いた。高校生…大学生…一般社会人の男性らが、女の子たちに混ざってあちらこちらに居る。
1人や2人じゃない。何十人という単位でたくさん居る。まるで集団化してナンパしてるみたいに見…。


『ねぇ、君たち。2人だけで《パステル》に入るの?』

『えっ?』


その声に振り返ると…いかにも女の子にモテそうな、背の高いイケメン2人組が、僕らにも声を掛けてきていた。


『俺たちも見たいなぁ。《G.F.アワード》』

『君らとカップルだってことでさぁ、俺らも入館させてよ。いい?』


…なるほど。《男性のみの入館はダメ》だけど《カップルならOK》ってことなんだろう。たぶん。
詩織が彼らに愛想良く微笑んで、『ここは私に任せて!』と言わんばかりに僕の前に一歩出た。


『ごめんなさい。私たち…そういう、あとでトラブルになりそうな事には協力しないことに決めてるの。女の子だったら、周りにもいっぱい居るんだし…』


いつものことながら…には落ち着いて対応できる詩織。もう慣れてるって感じ。


『なぁ、トラブルなんて絶対ならないから。頼むよ』
『2人とも可愛い顔して、そんなケチ臭いこと言わないでさぁ…』


詩織に詰め寄るイケメンコンビ。


『ダメダメダメダメ!!…私たち、ちゃんと付き合ってる彼氏いるし…ね。お願ーい。見逃してー』


『こんなこと彼氏が知ったら、私たち怒られちゃう…』って、小さく手を合わせ、可愛くお願いして見せる詩織。できるだけ好印象を損なわず、温和に解決させようと頑張ってる。


…その詩織の後ろでただ棒立ちでしかない僕…詩織に頼ってばかりで、情けない…。
それにしても…やっぱり詩織は上手いや…。


『ん?なぁ…英治、あの子…どっかで見たことないか?似てるっつーか…』

『似てる?…誰に?』

『?』
『?』


はっ!!…ま、まさか…!?


















しおりを挟む
1 / 4

この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!

あざといが過ぎる!

BL / 連載中 24h.ポイント:7pt お気に入り:26

二階から育毛剤

キャラ文芸 / 完結 24h.ポイント:0pt お気に入り:0

~The Tree of Lights~

現代文学 / 完結 24h.ポイント:49pt お気に入り:1

追放されたおれが、女になって四姉妹と夢をつかむまで

恋愛 / 完結 24h.ポイント:42pt お気に入り:11

妄想の中のテロリストはいつも学校を襲っている

青春 / 完結 24h.ポイント:0pt お気に入り:77

処理中です...