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女装と復讐 -発起編-
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詩織は僕に《私にだって付き合ってる、カッコいい彼氏ぐらい居るんだから》って言ってた…のに、アンナさんには《彼氏の探し方なんか解らない…居ない》《来年の初詣で神さまにお願いしてみる》とか言ってたらしいし…。
…本当はどっち?
ただアンナさんには、詩織が紹介せずに《居ないフリ》して隠してるだけ?それとも、本当は付き合ってる人なんて居なくて…僕に嘘を…?
『あっははは』
…えっ?なに?
突然のアンナさんの笑い声。
『なるほどね。詩織もあなたも、まだまだ純粋で可愛いわ』
『…?』
特別客室の扉の向こう…美容院のお店のほうで、少し騒がしい声が聞こえる。
『来たわね。詩織』
僕は黙ってアンナさんに頷いて見せた。
『もし、本当に詩織に付き合ってる彼が居ても居なくても、今の話は詩織には秘密にしておきましょう』
『はい』
そう僕が応えるとアンナさんは微笑み、振り返って扉へと急ぐ。そして扉を半分ほど開けて、その間から顔を覗かせながら…。
『ねぇ詩織、今信吾くんを着替えさせ中だから、ちょっと待っててくれる?』
「あ、はーい」
…で、戻ってきた。
『じゃ、早速《金魚》に着替えましょう。今日、秋良くんが用意してくれたのは…白のふわふわニットセーターに赤と黒のチェックのマフラー。そして詩織から赤のバーバリーチェックのミニスカート。そして黒のストッキングとロングブーツね』
…このミニスカートを穿くのは…あの天郷通りのプレデビュー以来2回目だ。
『アンナさん、着替え終わりました』
『うん。じゃあ、いつもどおり座って。さっさとメイク、済ませましょう』
…午後6時11分。僕と詩織はアンナさんに、新井早瀬駅の近くまで送ってもらった。
アンナさんの車を見送り、駅の正面に真っ直ぐに延びる大通りを、2人並んでゆっくりと歩く。
『ねぇ金魚、見てる?綺麗ね。大通りのずーっと向こうまで並んでる、蒼色に輝く街路樹たち…』
僕はちらりと詩織の横顔を見て、そして大通りの両脇に二筋の蒼い光の線を描く、街路樹のその中の1本に目を向けた。数え切れないほどの、蒼色の小さなLED電球を全身に纏った、その街路樹。
ふと、その街路樹の隣に小さなベンチがあるのに気が付いた。そこには中学生らしきカップルが座っていて、優しく手を繋ぎ、口をポカッと開けて、街路樹の蒼く光る枝々を見上げている。
『あの中学生のカップル…なんだか可愛くてお洒落ね』
…詩織も気付いて見ていたようだ。
…本当はどっち?
ただアンナさんには、詩織が紹介せずに《居ないフリ》して隠してるだけ?それとも、本当は付き合ってる人なんて居なくて…僕に嘘を…?
『あっははは』
…えっ?なに?
突然のアンナさんの笑い声。
『なるほどね。詩織もあなたも、まだまだ純粋で可愛いわ』
『…?』
特別客室の扉の向こう…美容院のお店のほうで、少し騒がしい声が聞こえる。
『来たわね。詩織』
僕は黙ってアンナさんに頷いて見せた。
『もし、本当に詩織に付き合ってる彼が居ても居なくても、今の話は詩織には秘密にしておきましょう』
『はい』
そう僕が応えるとアンナさんは微笑み、振り返って扉へと急ぐ。そして扉を半分ほど開けて、その間から顔を覗かせながら…。
『ねぇ詩織、今信吾くんを着替えさせ中だから、ちょっと待っててくれる?』
「あ、はーい」
…で、戻ってきた。
『じゃ、早速《金魚》に着替えましょう。今日、秋良くんが用意してくれたのは…白のふわふわニットセーターに赤と黒のチェックのマフラー。そして詩織から赤のバーバリーチェックのミニスカート。そして黒のストッキングとロングブーツね』
…このミニスカートを穿くのは…あの天郷通りのプレデビュー以来2回目だ。
『アンナさん、着替え終わりました』
『うん。じゃあ、いつもどおり座って。さっさとメイク、済ませましょう』
…午後6時11分。僕と詩織はアンナさんに、新井早瀬駅の近くまで送ってもらった。
アンナさんの車を見送り、駅の正面に真っ直ぐに延びる大通りを、2人並んでゆっくりと歩く。
『ねぇ金魚、見てる?綺麗ね。大通りのずーっと向こうまで並んでる、蒼色に輝く街路樹たち…』
僕はちらりと詩織の横顔を見て、そして大通りの両脇に二筋の蒼い光の線を描く、街路樹のその中の1本に目を向けた。数え切れないほどの、蒼色の小さなLED電球を全身に纏った、その街路樹。
ふと、その街路樹の隣に小さなベンチがあるのに気が付いた。そこには中学生らしきカップルが座っていて、優しく手を繋ぎ、口をポカッと開けて、街路樹の蒼く光る枝々を見上げている。
『あの中学生のカップル…なんだか可愛くてお洒落ね』
…詩織も気付いて見ていたようだ。
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