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76.あれをこうしてそうするのよね
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宴会の途中で侍女に手を引かれて退場。用意万端のハンナ達にドレスを脱がされ、お風呂へ放り込まれた。肌を念入りに磨き、高そうな香油やクリームで装飾される。最後に透け透けランジェリーでラッピングされたら、あとは提供を待つのみ。
「お嬢様、その表現はさすがに」
「もう奥様なのよ」
うふふ、さっきも同じような会話をしたわね。私の実況中継は侍女達の笑いを誘った。明るい雰囲気で手を振って別れたものの、寝室は柔らかなピンクに包まれていた。恥ずかしい。
ピンクの薔薇が花瓶を彩り、シーツの上にも花びらが散っている。片付けを想像しちゃうわ。寝る時は上掛けを一枚捲るので、花びらと寝ることはないかな。
天蓋にピンクのレースが掛けられ、おしゃれなキャンドルもピンクのカップを使用していた。いや、カップじゃないのか。キャンドル用の飾りなのね。あちこちにピンクのリボンがあしらわれ、部屋はピンクに侵食されていた。
「……誰の趣味かしら」
私ではないし、ハンナも違う。まさか……ルーカス様? 束縛激しい人って、ピンクが好きなのかも。いろいろ考えたものの、座る場所に困る。シャンパンが用意されている丸テーブルの椅子か、ベッドくらいしか座る場所がなかった。
初夜だからベッドでもいいけれど、がっついてると思われるのも恥ずかしい。椅子に座ってみた。落ち着かない。立ちあがろうとしたら、私が使ったのとは別の扉が開いた。
前開きのローブ姿だ。銀の髪はやや湿っているようで、キャンドルの光を弾く。文官とは思えない、しっかりした胸筋がちらり。あの筋肉が、これから私に密着する……かっと全身が熱くなった。そわそわして目のやり場に困る。
「リンネア?」
「あ、その……いえ。シャンパン、でも?」
いかがでしょう、とぎこちなく手を伸ばすが、瓶を奪われた。鍛えた彼の手が瓶のコルクを簡単そうに抜く。最初から緩めてあったんだけど、私では無理かも。
「あまり酔ってはいけないよ」
「はい」
これから、あれをこうしてそうするからよね? 分かってる、実践経験はないけれど聞き齧ってるわ。酔い過ぎたら吐いちゃうし、気をつけないと。でも緊張して喉が渇いてきた。
グラスを寄せて乾杯し、口を付ける。ほんのり甘くて、よく見ればグラスの底に砂糖が沈められていた。ピンクに色付けされた砂糖なんて、どこで手に入れたのよ。感心しながら半分ほど飲んだ私は、手からグラスを取り上げられた。
「るぅかす、さま」
ごくりと喉が動く。近づいたルーカス様は、もう婚約者ではなく夫だ。私に触れる権利がある唯一の男性で、異性だから……その……アレをするのよね。大丈夫、きちんとやれるわ。
間近で触れそうな距離にいるルーカス様の首に手を回す。それから目を閉じて唇を押し当てた。ほんのり甘い……緩んだ唇を割って、ぬるりと舌が入ってきた。口の中を好き勝手に動く舌を追いかけて吸い、絡めて応える。
ぷはっと離れ、私は満面の笑みでルーカス様にこう告げた。
「無事、夫婦の営みも終わりましたし、もう寝ましょう」
「は? いや、そうきたか……」
唸ったルーカス様は、薄い下着姿の私を抱き上げた。簡単そうだけれど、重いと思う。微笑んで彼は恐ろしい発言をした。その顔はどこまでも美人だ。
「本当の夫婦の営みを教えてあげよう」
「お嬢様、その表現はさすがに」
「もう奥様なのよ」
うふふ、さっきも同じような会話をしたわね。私の実況中継は侍女達の笑いを誘った。明るい雰囲気で手を振って別れたものの、寝室は柔らかなピンクに包まれていた。恥ずかしい。
ピンクの薔薇が花瓶を彩り、シーツの上にも花びらが散っている。片付けを想像しちゃうわ。寝る時は上掛けを一枚捲るので、花びらと寝ることはないかな。
天蓋にピンクのレースが掛けられ、おしゃれなキャンドルもピンクのカップを使用していた。いや、カップじゃないのか。キャンドル用の飾りなのね。あちこちにピンクのリボンがあしらわれ、部屋はピンクに侵食されていた。
「……誰の趣味かしら」
私ではないし、ハンナも違う。まさか……ルーカス様? 束縛激しい人って、ピンクが好きなのかも。いろいろ考えたものの、座る場所に困る。シャンパンが用意されている丸テーブルの椅子か、ベッドくらいしか座る場所がなかった。
初夜だからベッドでもいいけれど、がっついてると思われるのも恥ずかしい。椅子に座ってみた。落ち着かない。立ちあがろうとしたら、私が使ったのとは別の扉が開いた。
前開きのローブ姿だ。銀の髪はやや湿っているようで、キャンドルの光を弾く。文官とは思えない、しっかりした胸筋がちらり。あの筋肉が、これから私に密着する……かっと全身が熱くなった。そわそわして目のやり場に困る。
「リンネア?」
「あ、その……いえ。シャンパン、でも?」
いかがでしょう、とぎこちなく手を伸ばすが、瓶を奪われた。鍛えた彼の手が瓶のコルクを簡単そうに抜く。最初から緩めてあったんだけど、私では無理かも。
「あまり酔ってはいけないよ」
「はい」
これから、あれをこうしてそうするからよね? 分かってる、実践経験はないけれど聞き齧ってるわ。酔い過ぎたら吐いちゃうし、気をつけないと。でも緊張して喉が渇いてきた。
グラスを寄せて乾杯し、口を付ける。ほんのり甘くて、よく見ればグラスの底に砂糖が沈められていた。ピンクに色付けされた砂糖なんて、どこで手に入れたのよ。感心しながら半分ほど飲んだ私は、手からグラスを取り上げられた。
「るぅかす、さま」
ごくりと喉が動く。近づいたルーカス様は、もう婚約者ではなく夫だ。私に触れる権利がある唯一の男性で、異性だから……その……アレをするのよね。大丈夫、きちんとやれるわ。
間近で触れそうな距離にいるルーカス様の首に手を回す。それから目を閉じて唇を押し当てた。ほんのり甘い……緩んだ唇を割って、ぬるりと舌が入ってきた。口の中を好き勝手に動く舌を追いかけて吸い、絡めて応える。
ぷはっと離れ、私は満面の笑みでルーカス様にこう告げた。
「無事、夫婦の営みも終わりましたし、もう寝ましょう」
「は? いや、そうきたか……」
唸ったルーカス様は、薄い下着姿の私を抱き上げた。簡単そうだけれど、重いと思う。微笑んで彼は恐ろしい発言をした。その顔はどこまでも美人だ。
「本当の夫婦の営みを教えてあげよう」
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