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獣国編

27 ヒロインの末路

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穴からヒロインの姿は見えず声だけ聞こえている。
ホラーな感じの檻に近付いていけば、直ぐ近くの木々が大きく揺れた

「リア !!」

リオンに呼ばれた瞬間私の前に剣が迫ってきていた。

「きゃぁ !!」

ガキンッ

とっさの事に目を閉じた瞬間近くで何かが当たる音がし、恐る恐る目を開けば淡く光盾の模様が空中に浮かんでいて私の目の前の剣を防いでいた。
その盾の模様の向こう側には何度も見たことのある人がいた、怨み憎しみのこもった瞳で私を睨みさらに剣を振り下ろそうとした瞬間、何かが通りその人…セルティックは後ろへと飛び距離をとった。

「大丈夫かリア」
「う、うん。でも今のは」
「私の[シールド]です」
「キール様…ありがとうございます」
「怪我がなくてよかったです」

リオンが横にきて私を庇うようにした後、キール様が直ぐ後ろまで来て私の疑問に答えてくれた為キール様にお礼を言えばキール様は頷いてからセルティックの方を向いた。私も遅れてセルティックを見るとセルティックはヒロインが閉じ込められている檻の前にたっていた

「ナナミ大丈夫か、俺が助けてやる」
「…………」
「ああ、俺がアイツを殺してやるよ」

ヒロインが何を話しているのか分からないけれど…セルティックの話からすると私がいなければとか言っていたのかもしれない。チラリと隣を見ればさっきまでの事もあってリオンの顔は無表情になってセルティック達を見ていた。

ああ、もう無理だ…

私はセルティック達の方を向いた。剣を構え獣のようにこちらを見て隙をうかがっている。どうしようと思ったときリオンの鋭い声がその場を凍らせるように響いた。

「お前は聞いていたはずだ。次は無いと言った言葉を」
「黙れ」
「リアを殺すだと、それがお前達が出した答えか」
「だまれだまれだまれ !! その女がいなければナナミは聖女になれたんだ。ナナミは幸せになれたんだ。その女が生きていなければ…ナナミの幸せのために死なないとイケない女なんだ」
「ここで塵も残さず消してやろう」

リオンがそういうと手を翳し呟いた。
次の瞬間セルティックとヒロインが閉じ込められている檻が火柱に包まれた。
一瞬の事で驚き助けようとからだが動いてしまった私をリオンが掴み助けようとするのを止めさせる。
火柱の中で微かに見える影…
球体のような物とそれに覆い被さるようにする人影…
いつしか影が見えなくなり火柱は消えていった。
そこに残っていたのは…焼け焦げた球体とその中にあるヒロインだったであろう焼け焦げ煤になった人形ひとがたのモノと、そこに居たであろうと微かにわかるだけの煤で型どったモノのみだった…

私はさっきまでのことと今目の前で起きたことでなにも考えられなくなり、身体から力が抜けそのまま意識が薄れていった。
だからあの後あの焼け焦げたモノ達をどうしたのか私は知らない。







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