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試作セクサロイド※

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 少し前の事である。とある国でいわゆる風俗嬢を、ロボットに置き換えたというお店がオープンしたという。近年、将来的に人間の仕事がAIによって奪われるという未来予測があるが、これもその一つかもしれないといわれていた。エッチな話で申し訳ないが、”春を売る”という職業は人類社会で最古の職業といわれている。それが機械に置き換わるというのである。報道によれば将来的には女性に対する性的搾取も無くなるし、公営化されるかもしれないという事だった。しかしメジャーになったという続報もないので頓挫したらしいが。



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 「すまん! どうしても!」

 由紀は父親の頼みを拒絶できなかった。拒絶することさえ許されない状況だった。父親の秀喜ひできの出資者の要求の前に。秀喜が研究していたのはいわゆる「セクサロイド」であった。人間と性交渉出来るAI搭載ロボットだった。

 それまでに秀喜はラブドールにAIを搭載した「セクサドール」の商品化に成功したが、売り上げは芳しくなかった。それなりに市場のニーズを調査したものの、消費者に受け入れられなかった。それで莫大な負債を作ってしまった。

 それに怒った出資者が提案したのが、超高性能AI搭載の「セクサロイド」の商品化だ。機体そのものはリアル系からアニメ系や、メタリックボディから人間にしか見えないものまで製造は可能であったが、問題なのはプログラムであった。セクサロイドモード状態の生身の人間のデータがなかったのだ。具体的に言えば人間を改造した時に感じる性感だ。そのデータを取るために由記をセクサロイドにする必要があるというのだ。

 「悪いが協力してもらう! 君に拒否権は存在しない! それに経験しているのだろ!」


 出資者の代理人を名乗る黒づくめの男は偉そうに二人に迫っていた。由記は恋人がいたが、秀喜の借金の額を聞いて逃げ出していた。失恋していた由記は半ばヤケ気味だった。

 「わかりました・・・改造されます。でも、痛いのは嫌です・・・」

 心を殺したかのような言い方で承諾した。その言葉に黒づくめの男は満足そうな表情を浮かべていた。

 「いいお嬢さんを持ってよかったな! 社長! さあ、素体に改造したまえ!」

 由紀はセクサロイドに改造される事になった。それが悲劇でしかない事を彼女はその時知らなかった。
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