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Act・13
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蒼子は聞こえているのか、いないのか、もうわからない状態になった。医師と看護師も待機し、最期の最期まで延命治療にトライしていたが、「死亡診断書」を携帯していた。
蒼子の周りには、両親や親族も集まっていた。
ぱっと見、場違いな他人の晴海が、最優先で蒼子の右手を握りしめていた。左手は両親が握っていた。蒼子がふっと意識を取り戻したように、目を開けた。
「みんな......来てくれたんだぁ~」
「蒼子ぉ~」
従妹たちやクラスメイトが涙声で名前を呼んだ。
「ありがとう。......今まで......」
蒼子の目から涙がこぼれた。
「蒼子」
父親が声をかけた。
「お父さん。......ごめんなさい」
父親は嗚咽を漏らした。
「晴海君。いるの?」
「いるよ。蒼子」
晴海は蒼子の細い手を握った。
「......大好きよ」
「僕もだよ!」
「忘れないで......。あの空を......見上げているときのあなたを......。そこには......私が......いる......」
晴海は涙をこらえて、握りしめた蒼子の手にキスをし続けた。
「もう、『またね』って言ってくれないの?」
晴海の涙声に、蒼子は大きく息を吸い込んでいったん止めると、天井に貼られた真っ青な空の写真を、うつろな眼差しで見つめた。
やがて、ゆっくりと深く息を吐きながら、小さなえくぼを作って弱々しく微笑むと......。
............息が止まり............。
..................逝った..................。
蒼子の周りには、両親や親族も集まっていた。
ぱっと見、場違いな他人の晴海が、最優先で蒼子の右手を握りしめていた。左手は両親が握っていた。蒼子がふっと意識を取り戻したように、目を開けた。
「みんな......来てくれたんだぁ~」
「蒼子ぉ~」
従妹たちやクラスメイトが涙声で名前を呼んだ。
「ありがとう。......今まで......」
蒼子の目から涙がこぼれた。
「蒼子」
父親が声をかけた。
「お父さん。......ごめんなさい」
父親は嗚咽を漏らした。
「晴海君。いるの?」
「いるよ。蒼子」
晴海は蒼子の細い手を握った。
「......大好きよ」
「僕もだよ!」
「忘れないで......。あの空を......見上げているときのあなたを......。そこには......私が......いる......」
晴海は涙をこらえて、握りしめた蒼子の手にキスをし続けた。
「もう、『またね』って言ってくれないの?」
晴海の涙声に、蒼子は大きく息を吸い込んでいったん止めると、天井に貼られた真っ青な空の写真を、うつろな眼差しで見つめた。
やがて、ゆっくりと深く息を吐きながら、小さなえくぼを作って弱々しく微笑むと......。
............息が止まり............。
..................逝った..................。
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