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老兵は消えず、ただ戦うのみ
第96話 ひろし、戦いに備える
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おばあさんたちはスマイル道具店に戻って来ると、店の準備をはじめたマユが美咲に気になることを聞いた。
「美咲ちゃん、今日の夜なにかあるの?」
「うん。お姉ちゃんが戦いを手伝ってほしいって」
すると哲夫がマユに説明した。
「マユさん、実はバリードレに悪者が居まして、物を盗んだり、詐欺をしたり、他の人を倒したりしているようで」
「そっか。その人達を倒しに行くんですね」
「そうなんです。先ほど一緒にイークラトで買い物した、ひろしさんたちも行くんです」
それを聞いたおばあさんは少しだけ驚いた。
すると黒猫がマユに進言した。
「おそらく、その者たちはシャームに来て窃盗も働いています。倒さねばシャームの店も危険かと」
「え、そうなの?」
「はい、我もシャームの店で洋子殿が道を聞かれている時に……」
黒猫はハッと気付き、おばあさんに恥をかかせないように言い換えた。
「……他の店で窃盗をする輩をシャームで見ました」
「ええ、怖いなぁ」
「こわ」
「ぅん」
するとおばあさんが黒猫に言った。
「あら猫ちゃん、そんな人が居たのね」
「は……、はい、洋子殿」
マユは考え込みながら声を漏らした。
「だと、その悪者を倒さないとウチらの2号店もチョットやばいよね」
「だね」
「ぅん」
「ねぇ美咲ちゃん、わたしたちも参加していいかな」
「え?」
「わたしたち弱いけど、居ないよりマシでしょ? それか、足手まといになっちゃう?」
「ううん、ぜんぜんそんな事無いよ! みんなで一緒に2号店を守ろうよ」
それを聞いたマユとメイとナミ、そしておばあさんも笑顔で答えた。
「「うん!」」
こうして、スマイル道具店全員でバリードレへ行くことになった。
するとマユが上を見ながらブツブツと呟き始めた。
それを見たメイはマユに尋ねた。
「なに? どうしたの?」
「え? あ、うん。わたしたち今日は朝から来てるじゃん? だと、夜眠くなるよね」
「あ、やば。それな」
「ぅん」
「それに、今こんなに起きてて、みなさんも夜大丈夫かなぁ、って」
全員少し自信の無さそうな顔をした。
それを見た黒猫はカウンターに跳び乗ってみんなに言った。
「我で良ければ店番をしますので、みなさん夜までお休みください」
「ええ!?」
すると、カウンターにいたドラちゃんも目を覚まして言った。
「はっはっは、私も店番しますので!」
しかし、みんなは黒猫と小さいドラゴンの2人を見て「うーん」となった。
マユは少し苦笑いすると、黒猫とドラちゃんに言った。
「ありがとう。でも、さすがに動物だけが店に居ても、お客さん困っちゃうから……」
ボワン
ボワン
黒猫とドラちゃんは骸骨の魔法使いとイケメンに姿を変えた。
「うわっ! って、ええ!」
「まさかの変身!」
「がいこつ」
「まぁまぁ」
「おぉ」
しかし骸骨の黒猫を見たおばあさんは黒猫に言った。
「ドラちゃんはいいけど、うぅん……猫ちゃんはチョット怖いかしら」
「洋子殿、申し訳ありません。ではこの姿ではいかがでしょうか」
ボワン
すると、黒猫は哲夫の姿を模写した。
「あら、それならいいじゃないの!」
「すご」
「ぅわ」
「そっくり」
「あら哲夫さんそっくりだわ」
「ははは、わたしだ!」
みんなが驚いていると、マユは少し考えてみんなに言った。
「シャームの2号店なんだけど、その悪者たちが居なくなるまで怖いから閉店しておこうと思うんだけど、どうかな」
「それがいいね」
「ぅん」
「そうね」
「そうよね」
「そうですな」
すると哲夫に扮した黒猫とドラちゃんはカウンターの中に入って店番の準備をした。
「では、我々が店番をしておりますので、みなさんは夜に備えてお休みください」
「みなさん、このお店はわたしたちにお任せを! もちろん、夜はどこへでも洋子様もお友達のみなさんも送って行きますので!」
それを聞いたおばあさんは嬉しそうに答えた。
「ドラちゃん、頼りになるわ。じゃあ、夜はバリードレまでお願いね」
「はっ! よろこんで!」
こうしておばあさんたちは暫くお喋りを楽しむと、夜に備えて一度ログアウトしていった。
ー ピンデチ G区画 ー
おじいさんたちはG区画の家に戻ってくつろいでいると、おじいさんに元自衛官の山口から返信が来ていた。
ーーーーーーーーーーー
ひろしさん、戦いにぜひ参加させてください。夜戦は我々の得意とするところです。
ピンデチ出発は23時で宜しいでしょうか。
ーーーーーーーーーーー
「おぉ、これは頼もしい!」
おじいさんが思わず声をあげると、めぐがおじいさんに尋ねた。
「どうしたの、おじいちゃん」
「いえ、今夜の戦いに元自衛官のお三方も参加して頂ける事になりました。夜の戦いが得意だそうです」
「おじいちゃんのお友達すごいね。自衛隊だったんだ」
「ええ。みなさん、とても若々しいんです」
「そういえば、おじいちゃんも最近若々しいよ。話し方だって前より元気だし」
「え、あ、そうですか? いやぁ、これもみなさんのお陰です。ありがとうございます。ははは」
おじいさんは嬉しそうにすると、照れ笑いをしながら山口に返信した。
すると今度は哲夫からメッセージが来た。
ーーーーーーーーーーー
ひろしさん、夜、わたしたちは美咲ちゃんのお友達と一緒にバリードレに行きます。
それと、夜に先程のドラゴンがみなさんを迎えに行くそうです。
あちらでお会いしましょう。では。
ーーーーーーーーーーー
「今日は大勢になりそうだなぁ」
おじいさんは呟きながら哲夫にも返信した。
ー 現実世界 おじいさんとおばあさんの家 ー
おばあさんはVRグラスを外すと、まだゲームをしているおじいさんを見て呟いた。
「きっと、おじいさんも一度帰ってくるわね。うふふ」
おばあさんは台所へ行き、うどんを茹で始めた。
「そうそう、お饅頭もあったわね。ゲームの前に、パッ食べられてちょうどいいわ」
おばあさんは戸棚から饅頭を取り出した。
すると、おじいさんがVRグラスを外して帰ってきた。
「ただいま」
「あら、おかえりなさい」
「申し訳ないのだけれど、今日は一度昼寝して夜遅くにまたゲームをしたいのだけど、いいかい?」
「あら、どうぞ。じゃあ、これを食べてから寝てくださいね。お腹空いてしまうでしょ」
おばあさんは、柔らかめに茹でたうどんを持ってきた。
「あぁ、ありがとう。実は今日、夜遅くに大きな戦いに参加するんだよ」
「うふふ。そうなんですね」
2人はお喋りしながらうどんを食べ終わると、一緒に食器を片付け、朝やっていなかった家の掃除や洗濯をすませた。
そして少しゆっくりすると、おじいさんは昼寝をしに寝室へ行った。
おばあさんは、おじいさんを寝室へ見送ると、スマホでメッセージをやり取りしてから居間のソファで仮眠を取った。
ー 夜22時 ー
ピピピピッ ピピピピッ
おばあさんは先に目を覚ますと、大きく伸びをして、ストレッチをした。
そしてテーブルの上に用意していた饅頭を頬張りながらおじいさんに書き置きをした。
おばあさんは振り返ってもう一度大きくストレッチをすると、居間の座椅子に座って小さく呟いた。
「さぁ、今日はがんばらないと。よし!」
おばあさんは気合を入れるとVRグラスをかけてゲームの世界へ入った。
おばあさんは時計台の前に現れると、いつものようにスマイル道具店へ向かった。
そしてスマイル道具店に着くと、お隣の店のロビとミツとゆぅがスマイル道具店の前にいた。
「ロビさん、ミツさん、ゆぅさん、こんばんは。すみません、突然メッセージを送ってしまって」
「「こんばんは」」
するとロビがおばあさんに言った。
「洋子さん、メッセージありがとうございました。ぜひ私達も参加させてください」
おばあさんは、隣の店のロビとミツとゆぅに戦いに参加してもらえないかメッセージを送っていた。
「急なお願いなのに、本当に助かります。もちろん現実世界でお金をお支払いしますので」
おばあさんが頭を下げると、ロビも頭を下げながら言った。
「いえいえ、お金はいただけませんよ! 今日は夜の仕事がなくなってしまって時間ができまして。それにミツとゆぅが手伝いたいって」
「てつだっても……ぃいですか」
「すこしは役にたちます、……きっと」
「まぁ、ほんとうに嬉しいわ! お2人がそう言ってくださるなんて!」
こうして、ロビとミツとゆぅもメンバーに加わった。
「美咲ちゃん、今日の夜なにかあるの?」
「うん。お姉ちゃんが戦いを手伝ってほしいって」
すると哲夫がマユに説明した。
「マユさん、実はバリードレに悪者が居まして、物を盗んだり、詐欺をしたり、他の人を倒したりしているようで」
「そっか。その人達を倒しに行くんですね」
「そうなんです。先ほど一緒にイークラトで買い物した、ひろしさんたちも行くんです」
それを聞いたおばあさんは少しだけ驚いた。
すると黒猫がマユに進言した。
「おそらく、その者たちはシャームに来て窃盗も働いています。倒さねばシャームの店も危険かと」
「え、そうなの?」
「はい、我もシャームの店で洋子殿が道を聞かれている時に……」
黒猫はハッと気付き、おばあさんに恥をかかせないように言い換えた。
「……他の店で窃盗をする輩をシャームで見ました」
「ええ、怖いなぁ」
「こわ」
「ぅん」
するとおばあさんが黒猫に言った。
「あら猫ちゃん、そんな人が居たのね」
「は……、はい、洋子殿」
マユは考え込みながら声を漏らした。
「だと、その悪者を倒さないとウチらの2号店もチョットやばいよね」
「だね」
「ぅん」
「ねぇ美咲ちゃん、わたしたちも参加していいかな」
「え?」
「わたしたち弱いけど、居ないよりマシでしょ? それか、足手まといになっちゃう?」
「ううん、ぜんぜんそんな事無いよ! みんなで一緒に2号店を守ろうよ」
それを聞いたマユとメイとナミ、そしておばあさんも笑顔で答えた。
「「うん!」」
こうして、スマイル道具店全員でバリードレへ行くことになった。
するとマユが上を見ながらブツブツと呟き始めた。
それを見たメイはマユに尋ねた。
「なに? どうしたの?」
「え? あ、うん。わたしたち今日は朝から来てるじゃん? だと、夜眠くなるよね」
「あ、やば。それな」
「ぅん」
「それに、今こんなに起きてて、みなさんも夜大丈夫かなぁ、って」
全員少し自信の無さそうな顔をした。
それを見た黒猫はカウンターに跳び乗ってみんなに言った。
「我で良ければ店番をしますので、みなさん夜までお休みください」
「ええ!?」
すると、カウンターにいたドラちゃんも目を覚まして言った。
「はっはっは、私も店番しますので!」
しかし、みんなは黒猫と小さいドラゴンの2人を見て「うーん」となった。
マユは少し苦笑いすると、黒猫とドラちゃんに言った。
「ありがとう。でも、さすがに動物だけが店に居ても、お客さん困っちゃうから……」
ボワン
ボワン
黒猫とドラちゃんは骸骨の魔法使いとイケメンに姿を変えた。
「うわっ! って、ええ!」
「まさかの変身!」
「がいこつ」
「まぁまぁ」
「おぉ」
しかし骸骨の黒猫を見たおばあさんは黒猫に言った。
「ドラちゃんはいいけど、うぅん……猫ちゃんはチョット怖いかしら」
「洋子殿、申し訳ありません。ではこの姿ではいかがでしょうか」
ボワン
すると、黒猫は哲夫の姿を模写した。
「あら、それならいいじゃないの!」
「すご」
「ぅわ」
「そっくり」
「あら哲夫さんそっくりだわ」
「ははは、わたしだ!」
みんなが驚いていると、マユは少し考えてみんなに言った。
「シャームの2号店なんだけど、その悪者たちが居なくなるまで怖いから閉店しておこうと思うんだけど、どうかな」
「それがいいね」
「ぅん」
「そうね」
「そうよね」
「そうですな」
すると哲夫に扮した黒猫とドラちゃんはカウンターの中に入って店番の準備をした。
「では、我々が店番をしておりますので、みなさんは夜に備えてお休みください」
「みなさん、このお店はわたしたちにお任せを! もちろん、夜はどこへでも洋子様もお友達のみなさんも送って行きますので!」
それを聞いたおばあさんは嬉しそうに答えた。
「ドラちゃん、頼りになるわ。じゃあ、夜はバリードレまでお願いね」
「はっ! よろこんで!」
こうしておばあさんたちは暫くお喋りを楽しむと、夜に備えて一度ログアウトしていった。
ー ピンデチ G区画 ー
おじいさんたちはG区画の家に戻ってくつろいでいると、おじいさんに元自衛官の山口から返信が来ていた。
ーーーーーーーーーーー
ひろしさん、戦いにぜひ参加させてください。夜戦は我々の得意とするところです。
ピンデチ出発は23時で宜しいでしょうか。
ーーーーーーーーーーー
「おぉ、これは頼もしい!」
おじいさんが思わず声をあげると、めぐがおじいさんに尋ねた。
「どうしたの、おじいちゃん」
「いえ、今夜の戦いに元自衛官のお三方も参加して頂ける事になりました。夜の戦いが得意だそうです」
「おじいちゃんのお友達すごいね。自衛隊だったんだ」
「ええ。みなさん、とても若々しいんです」
「そういえば、おじいちゃんも最近若々しいよ。話し方だって前より元気だし」
「え、あ、そうですか? いやぁ、これもみなさんのお陰です。ありがとうございます。ははは」
おじいさんは嬉しそうにすると、照れ笑いをしながら山口に返信した。
すると今度は哲夫からメッセージが来た。
ーーーーーーーーーーー
ひろしさん、夜、わたしたちは美咲ちゃんのお友達と一緒にバリードレに行きます。
それと、夜に先程のドラゴンがみなさんを迎えに行くそうです。
あちらでお会いしましょう。では。
ーーーーーーーーーーー
「今日は大勢になりそうだなぁ」
おじいさんは呟きながら哲夫にも返信した。
ー 現実世界 おじいさんとおばあさんの家 ー
おばあさんはVRグラスを外すと、まだゲームをしているおじいさんを見て呟いた。
「きっと、おじいさんも一度帰ってくるわね。うふふ」
おばあさんは台所へ行き、うどんを茹で始めた。
「そうそう、お饅頭もあったわね。ゲームの前に、パッ食べられてちょうどいいわ」
おばあさんは戸棚から饅頭を取り出した。
すると、おじいさんがVRグラスを外して帰ってきた。
「ただいま」
「あら、おかえりなさい」
「申し訳ないのだけれど、今日は一度昼寝して夜遅くにまたゲームをしたいのだけど、いいかい?」
「あら、どうぞ。じゃあ、これを食べてから寝てくださいね。お腹空いてしまうでしょ」
おばあさんは、柔らかめに茹でたうどんを持ってきた。
「あぁ、ありがとう。実は今日、夜遅くに大きな戦いに参加するんだよ」
「うふふ。そうなんですね」
2人はお喋りしながらうどんを食べ終わると、一緒に食器を片付け、朝やっていなかった家の掃除や洗濯をすませた。
そして少しゆっくりすると、おじいさんは昼寝をしに寝室へ行った。
おばあさんは、おじいさんを寝室へ見送ると、スマホでメッセージをやり取りしてから居間のソファで仮眠を取った。
ー 夜22時 ー
ピピピピッ ピピピピッ
おばあさんは先に目を覚ますと、大きく伸びをして、ストレッチをした。
そしてテーブルの上に用意していた饅頭を頬張りながらおじいさんに書き置きをした。
おばあさんは振り返ってもう一度大きくストレッチをすると、居間の座椅子に座って小さく呟いた。
「さぁ、今日はがんばらないと。よし!」
おばあさんは気合を入れるとVRグラスをかけてゲームの世界へ入った。
おばあさんは時計台の前に現れると、いつものようにスマイル道具店へ向かった。
そしてスマイル道具店に着くと、お隣の店のロビとミツとゆぅがスマイル道具店の前にいた。
「ロビさん、ミツさん、ゆぅさん、こんばんは。すみません、突然メッセージを送ってしまって」
「「こんばんは」」
するとロビがおばあさんに言った。
「洋子さん、メッセージありがとうございました。ぜひ私達も参加させてください」
おばあさんは、隣の店のロビとミツとゆぅに戦いに参加してもらえないかメッセージを送っていた。
「急なお願いなのに、本当に助かります。もちろん現実世界でお金をお支払いしますので」
おばあさんが頭を下げると、ロビも頭を下げながら言った。
「いえいえ、お金はいただけませんよ! 今日は夜の仕事がなくなってしまって時間ができまして。それにミツとゆぅが手伝いたいって」
「てつだっても……ぃいですか」
「すこしは役にたちます、……きっと」
「まぁ、ほんとうに嬉しいわ! お2人がそう言ってくださるなんて!」
こうして、ロビとミツとゆぅもメンバーに加わった。
応援ありがとうございます!
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