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第95話 ひろし、飛ぶ
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2階に居たおじいさんたちは買い物を終えてめぐたちのところへ行くと、なんとヘビーメタルバンドの衣装のような服を着ためぐがいた。
それを見たアカネは嬉しそうにめぐに言った。
「めぐ! それ、超かっこいいじゃん!」
「やば、見られた!」
ボワン
めぐはすぐに元のワンピースに戻すとアカネが残念そうに言った。
「なんだぁ。さっきの黒い服カッコ良かったのに」
「ええ、やだよぉ。わたしに似合わないでしょ?」
「そう? カッコ良かったけどなぁ、ベイベーとか言ってそうで」
「え、ええ??」
めぐは一瞬、褒められてるのかネタにされてるのか分からなかったが、アカネの真っ直ぐな目を見て、褒められたと思うことにした。
その頃、おばあさんたちも哲夫と和代の防具を見ていたが、マユがポツリと呟いた。
「せっかく来たし、わたしも防具買っておこうかな」
するとメイとナミも言った。
「そうだね、防御力は高いほうがいいもんね。わたしも買っとこ」
「わたしも」
「でも、どれが良いんだろう。ねぇ美咲ちゃん、みんなの防具を選んでもらえたり出来るかな」
「うん、もちろん。みんなにピッタリの防具を選ぶね」
「「ありがとう!」」
すると美咲がみんなの防具を選び始めた。
「マユさんは、これかな。この防具なら、背中に背負える盾が大きくて攻撃を防ぎやすいよ」
「ほんとだ。わたし、しゃがんだら全部隠れるかも」
「「はははは」」
「おじいちゃんは甲冑が良いんだよね」
「え、いや、あぁ、できればで良いんだけど」
「じゃあ、これは? 甲冑じゃないんだけど、着物に袴」
「おお! これは格好良いな! 江戸時代のサムライみたいだ」
「おばあちゃんは……、これかな。今着てる防具の上位バージョン」
「あら、それなら安心ね」
「メイさんは……、これはどう? 防御の魔法陣の防御力が上がる制服風コスチューム」
「あ、いいかも! かわいい!」
「じゃあ、ナミさんは……、これかな。防御力もあるけど、矢のストックが増えるよ」
「ぅん。それにする」
こうして美咲がみんなの防具を選ぶと、マユがみんなに言った。
「今日はみんなで防具買ったし、お店のお金で出すね!」
「「おぉ」」
するとマユは少し申し訳無さそうにおばあさんと美咲に言った。
「ごめん、美咲ちゃん、洋子ちゃん。2人だけ何も買ってないから、その分プクナで渡すね」
「え? 全然いいよ。だっておじいちゃんとおばあちゃんの分出してもらうんだし。それにわたし、けっこうお金持ってるから」
「実はわたしもお友達に買ってもらったのよ。うふふ」
美咲とおばあさんは笑顔で答えると、マユは少し姿勢を正して哲夫と和代に頭を下げながら言った。
「哲夫さん、和代さん。こうやってお金を出せるのもお二人のお陰です。いつも本当にありがとう」
すると哲夫は驚いて声をあげた。
「ええ!? わたしたちが?」
「哲夫さんたちにお店を任せたら、ウチらがやってた時の何倍も売れてて。やっぱりわたし達みたいな素人とは違うなって」
「やっぱ、プロだよね」
「ぅん。すごぃ」
「おじいちゃんおばあちゃん、良かったね」
すると急に哲夫が泣きたした。
「うっ、ううっ。こ……、こんな老いぼれになっても、誰かの役に立てるなんて……」
すると和代が哲夫の背中を叩いた。
「もう哲夫さん、しっかりしてください! みなさんの前ですよ」
「あ……、ああ、すまんすまん……なんだか最近涙もろくて」
マユは和代にもお礼をした。
「和代さんがキノコを探せるのも助かってます。わたしたち、匂いでキノコ探せないから」
「ほんと、そうだね」
「ぅん」
「もちろん、美咲ちゃんもいつも助けてくれてありがとうね」
「ほんと、助かってる」
「ぅん、今日も」
それを聞いた和代は笑顔で会釈して、美咲は少し恥ずかしそうにした。
するとおばあさんは猫ちゃんとドラちゃんの頭を撫でながら言った。
「猫ちゃん、ドラちゃん、あなたたちも助けてくれるわね。ありがとう」
みんなの邪魔をしないように静かにしていた黒猫とドラちゃんは驚いてひれ伏した。
「洋子殿、もったいないお言葉」
「よ、洋子様! ははーっ!」
こうしておばあさんたちは新しい防具を購入して装備すると、おじいさんたちと合流して店を後にした。
◆
一行はイークラトの町の入り口へと向かって歩いていると、ナミがイリューシュが背負っている大弓を見て話しかけてきた。
「これ……、オロチの」
「あ、ええ、そうです。ごめんなさい、仕舞い忘れてしまいました。不気味でしたよね」
「ぅうん。すごい」
「え? あ、ありがとうございます」
「わたし、いつか大弓使いたぃ。むずかしぃ?」
それを聞いたイリューシュは表情を崩してナミに言った。
「ナミさん、大弓も慣れれば大丈夫ですよ。ふふふ」
イリューシュはナミにフレンド申請を送って言った。
「ナミさん、今度一緒に練習しましょう。大弓が早く使えるように」
それを聞いたナミは嬉しそうに言った。
「ぅん、ありがとぅ。頑張る」
こうしてナミはイリューシュに弟子入りしたのだった。
◆
おじいさんたちはイークラトの土産物店で名物のドラゴン大福を買うと、みんなで一緒に町を出た。
すると、ばあさんの肩に乗っていたドラちゃんがパタパタと飛び上がってみんなに言った。
「みなさんは洋子様のお友達! みなさん全員、ピンデチまで送っていきますよ! 尻尾から登ってください」
パタパタパタパタ
ボワン!
ドラちゃんは大きな黒いドラゴンに姿を変えると、地面に伏せて尻尾をゆっくりとのばした。
それを見たアカネは喜んで走っていった。
「すげー! ドラゴンに乗れるの!? ほんとにイイんすか?」
それを聞いたマユは笑いながら答えた。
「ドラゴンで飛ぶと楽しいよ! 一緒にピンデチに帰ろう」
「まじっすか! ありがとう、えぇっと、マユさん!」
アカネはマユに両手で握手すると、尻尾から背中に上がっていった。
すると、おばあさんがドラちゃんに心配そうに尋ねた。
「ドラちゃん、本当に大丈夫なの?」
「はっはっは、もちろんですとも洋子様! みなさん一緒に帰りましょう!」
「うふふ、あなたヤルじゃない」
「はぁっ! もったいないお言葉!」
最終的にかなりの人数がドラちゃんに乗ったが、ドラちゃんは力強く羽ばたいて飛び上がった。
「では、ピンデチに帰りましょう!」
バサッ、バサッ、バサッ!
ドラちゃんは空で大きく旋回するとピンデチに向かって飛んでいった。
◆
ドラちゃんは、あっという間にG区画の海岸まで戻って来ると、ゆっくりと着地して羽を下ろし、みんなを降ろした。
そして、みんなが降りたのを確認すると、小さなドラゴンになって寝てしまった。
「あら、ドラちゃん寝ちゃったわ」
それを聞いた黒猫はおばあさんに説明した。
「洋子殿。ドラゴンの魔法使いは絶大な力を持っていますが、あまり持続しないのです」
「あら……、だから疲れて寝ちゃうのね」
「はい。彼はきっと沢山の人を乗せて飛んだので疲れてしまったのでしょう」
「まぁ。やっぱり無理させちゃっていたのね……」
おばあさんは小さくなったドラちゃんを抱えあげると、優しく頭を撫でた。
「ドラちゃんも頑張ってくれているのね。ありがとう。今日は頑張ったわね」
おばあさんはドラちゃんを撫でると、ドラちゃんは寝ながら少し笑顔になった。
ドラちゃんから降りた一行はしばらく楽しくお喋りすると、仲良くなってお互いにフレンド交換をした。
そして、おじいさんたちはG区画の家へ、おばあさんたちはスマイル道具店へと向かった。
それを見たアカネは嬉しそうにめぐに言った。
「めぐ! それ、超かっこいいじゃん!」
「やば、見られた!」
ボワン
めぐはすぐに元のワンピースに戻すとアカネが残念そうに言った。
「なんだぁ。さっきの黒い服カッコ良かったのに」
「ええ、やだよぉ。わたしに似合わないでしょ?」
「そう? カッコ良かったけどなぁ、ベイベーとか言ってそうで」
「え、ええ??」
めぐは一瞬、褒められてるのかネタにされてるのか分からなかったが、アカネの真っ直ぐな目を見て、褒められたと思うことにした。
その頃、おばあさんたちも哲夫と和代の防具を見ていたが、マユがポツリと呟いた。
「せっかく来たし、わたしも防具買っておこうかな」
するとメイとナミも言った。
「そうだね、防御力は高いほうがいいもんね。わたしも買っとこ」
「わたしも」
「でも、どれが良いんだろう。ねぇ美咲ちゃん、みんなの防具を選んでもらえたり出来るかな」
「うん、もちろん。みんなにピッタリの防具を選ぶね」
「「ありがとう!」」
すると美咲がみんなの防具を選び始めた。
「マユさんは、これかな。この防具なら、背中に背負える盾が大きくて攻撃を防ぎやすいよ」
「ほんとだ。わたし、しゃがんだら全部隠れるかも」
「「はははは」」
「おじいちゃんは甲冑が良いんだよね」
「え、いや、あぁ、できればで良いんだけど」
「じゃあ、これは? 甲冑じゃないんだけど、着物に袴」
「おお! これは格好良いな! 江戸時代のサムライみたいだ」
「おばあちゃんは……、これかな。今着てる防具の上位バージョン」
「あら、それなら安心ね」
「メイさんは……、これはどう? 防御の魔法陣の防御力が上がる制服風コスチューム」
「あ、いいかも! かわいい!」
「じゃあ、ナミさんは……、これかな。防御力もあるけど、矢のストックが増えるよ」
「ぅん。それにする」
こうして美咲がみんなの防具を選ぶと、マユがみんなに言った。
「今日はみんなで防具買ったし、お店のお金で出すね!」
「「おぉ」」
するとマユは少し申し訳無さそうにおばあさんと美咲に言った。
「ごめん、美咲ちゃん、洋子ちゃん。2人だけ何も買ってないから、その分プクナで渡すね」
「え? 全然いいよ。だっておじいちゃんとおばあちゃんの分出してもらうんだし。それにわたし、けっこうお金持ってるから」
「実はわたしもお友達に買ってもらったのよ。うふふ」
美咲とおばあさんは笑顔で答えると、マユは少し姿勢を正して哲夫と和代に頭を下げながら言った。
「哲夫さん、和代さん。こうやってお金を出せるのもお二人のお陰です。いつも本当にありがとう」
すると哲夫は驚いて声をあげた。
「ええ!? わたしたちが?」
「哲夫さんたちにお店を任せたら、ウチらがやってた時の何倍も売れてて。やっぱりわたし達みたいな素人とは違うなって」
「やっぱ、プロだよね」
「ぅん。すごぃ」
「おじいちゃんおばあちゃん、良かったね」
すると急に哲夫が泣きたした。
「うっ、ううっ。こ……、こんな老いぼれになっても、誰かの役に立てるなんて……」
すると和代が哲夫の背中を叩いた。
「もう哲夫さん、しっかりしてください! みなさんの前ですよ」
「あ……、ああ、すまんすまん……なんだか最近涙もろくて」
マユは和代にもお礼をした。
「和代さんがキノコを探せるのも助かってます。わたしたち、匂いでキノコ探せないから」
「ほんと、そうだね」
「ぅん」
「もちろん、美咲ちゃんもいつも助けてくれてありがとうね」
「ほんと、助かってる」
「ぅん、今日も」
それを聞いた和代は笑顔で会釈して、美咲は少し恥ずかしそうにした。
するとおばあさんは猫ちゃんとドラちゃんの頭を撫でながら言った。
「猫ちゃん、ドラちゃん、あなたたちも助けてくれるわね。ありがとう」
みんなの邪魔をしないように静かにしていた黒猫とドラちゃんは驚いてひれ伏した。
「洋子殿、もったいないお言葉」
「よ、洋子様! ははーっ!」
こうしておばあさんたちは新しい防具を購入して装備すると、おじいさんたちと合流して店を後にした。
◆
一行はイークラトの町の入り口へと向かって歩いていると、ナミがイリューシュが背負っている大弓を見て話しかけてきた。
「これ……、オロチの」
「あ、ええ、そうです。ごめんなさい、仕舞い忘れてしまいました。不気味でしたよね」
「ぅうん。すごい」
「え? あ、ありがとうございます」
「わたし、いつか大弓使いたぃ。むずかしぃ?」
それを聞いたイリューシュは表情を崩してナミに言った。
「ナミさん、大弓も慣れれば大丈夫ですよ。ふふふ」
イリューシュはナミにフレンド申請を送って言った。
「ナミさん、今度一緒に練習しましょう。大弓が早く使えるように」
それを聞いたナミは嬉しそうに言った。
「ぅん、ありがとぅ。頑張る」
こうしてナミはイリューシュに弟子入りしたのだった。
◆
おじいさんたちはイークラトの土産物店で名物のドラゴン大福を買うと、みんなで一緒に町を出た。
すると、ばあさんの肩に乗っていたドラちゃんがパタパタと飛び上がってみんなに言った。
「みなさんは洋子様のお友達! みなさん全員、ピンデチまで送っていきますよ! 尻尾から登ってください」
パタパタパタパタ
ボワン!
ドラちゃんは大きな黒いドラゴンに姿を変えると、地面に伏せて尻尾をゆっくりとのばした。
それを見たアカネは喜んで走っていった。
「すげー! ドラゴンに乗れるの!? ほんとにイイんすか?」
それを聞いたマユは笑いながら答えた。
「ドラゴンで飛ぶと楽しいよ! 一緒にピンデチに帰ろう」
「まじっすか! ありがとう、えぇっと、マユさん!」
アカネはマユに両手で握手すると、尻尾から背中に上がっていった。
すると、おばあさんがドラちゃんに心配そうに尋ねた。
「ドラちゃん、本当に大丈夫なの?」
「はっはっは、もちろんですとも洋子様! みなさん一緒に帰りましょう!」
「うふふ、あなたヤルじゃない」
「はぁっ! もったいないお言葉!」
最終的にかなりの人数がドラちゃんに乗ったが、ドラちゃんは力強く羽ばたいて飛び上がった。
「では、ピンデチに帰りましょう!」
バサッ、バサッ、バサッ!
ドラちゃんは空で大きく旋回するとピンデチに向かって飛んでいった。
◆
ドラちゃんは、あっという間にG区画の海岸まで戻って来ると、ゆっくりと着地して羽を下ろし、みんなを降ろした。
そして、みんなが降りたのを確認すると、小さなドラゴンになって寝てしまった。
「あら、ドラちゃん寝ちゃったわ」
それを聞いた黒猫はおばあさんに説明した。
「洋子殿。ドラゴンの魔法使いは絶大な力を持っていますが、あまり持続しないのです」
「あら……、だから疲れて寝ちゃうのね」
「はい。彼はきっと沢山の人を乗せて飛んだので疲れてしまったのでしょう」
「まぁ。やっぱり無理させちゃっていたのね……」
おばあさんは小さくなったドラちゃんを抱えあげると、優しく頭を撫でた。
「ドラちゃんも頑張ってくれているのね。ありがとう。今日は頑張ったわね」
おばあさんはドラちゃんを撫でると、ドラちゃんは寝ながら少し笑顔になった。
ドラちゃんから降りた一行はしばらく楽しくお喋りすると、仲良くなってお互いにフレンド交換をした。
そして、おじいさんたちはG区画の家へ、おばあさんたちはスマイル道具店へと向かった。
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