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第三章

111ー遭遇

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「お父様お母様、行ってまいります!」
「ああ、ルル絶対に無茶をするな!」
「ルル、無事に帰ってきてちょうだい」
「はい、お父様お母様。いってきます!」

 先頭集団にラウ兄様のセイバー4人、その次にラウ兄様とリル。次にルビとピアが乗ったモモに私、私の横にはレオン様。
 直ぐ後ろにジュード兄様とリル。そして、ユリウスとマーリソン様。
 私達の両脇と後ろにセイバー達が続きます。
 領都内をゆっくりと進みます。以前にジュード兄様と洞窟の調査に行った時と同じルートで森に入ります。街中を行くと声が掛かります。

 ――ラウ様カッコいい!
 ――ジュード様、素敵!

 うんうん、そうでしょう! カッコいいもんね。

 ――レオン様も素敵!

 ん? んん? いつの間に!

「よく森に討伐に出てたからな。どーよ!」

 やだ、ドヤッてるわ。

 ――モモちゃーん!
 ――モモちゃんかわいー!
 ――モモちゃん頑張ってー!

 モモには完璧に負けてるわね。

 ――モモちゃーん!
 ――モモちゃんルル様をお願いねー!

 ん? んん? んんん?

「わふっ!」

 モモちゃんまでドヤッてるわ。腑に落ちないわね。

「モモはうちの領のアイドルね!」
「わふっ!」
「何故に! モモに負けた……!」
「わふん」
「悔しかったら勝ってみろとでも言ってる様な感じだな。クソー!」

 プププ!

「ルル…… 」

 ププププッ!

「ひでーな」

 果樹園を抜けて森に入ります。馬のスピードを上げます。
 今日はピアがいるから雑魚は出ないかな? マップを展開します。あー、遠巻きに見てるわね。

「レオン様、マップを展開してる?」
「ああモモ、魔物が遠巻きに見てるな!」

 お! レオン様進歩してるわ。あ……!

「前方にブラックウルフ5頭です!」
「「「おうッ!」」」

 ザッ! と先頭のセイバーが討伐に向かいます。上位種になるとピアがいても関係ないのね。でも確かに普通はこんな森の浅いところにはいないわね。
 セイバー隊員が剣を一振りしてブラックウルフを仕留めています。凄いな、やっぱ強いし剣はミスリルだし。

「レオン様!」
「ああ分かってる! 収納だな!」

 通り過ぎる時にシュン! と無限収納に収納します。

「レオン様、手慣れてますね!」
「討伐に来てたからな!」

 本当に手慣れてる。ティシュトリア領に来るまではそう魔物と戦った事もないでしょうに。もう馴染んでるわ。

「ルル、カッコいいって言ってもいいぞ!」
「レオン様、カッコいいです!」
「……!?」

 あら? 何よ?

「いや、まさか本当に言うと思わなかった」

 何よそれ。じゃあもう言わない。

「いや、ルル言って! 励みになるから言って!」

 プププ……!

「兄様! 前、左奥からビックベアです!2頭います!」
「「おうッ!」」

 今度はジュード兄様の後ろの隊員が横に外れます。また一太刀です。流石セイバー、強いわね。

「ルル、回収に行ってくる!」

 レオン様が向かいます。アッという間に隊員達と戻ってきました。手慣れています。

「ルル! もう直ぐ洞窟だ! 洞窟を過ぎたらドラゴンのいる崖まで直ぐだぞ!」
「はい! ラウ兄様!」
『ルル、いるわ』

 モモが念話で話してきます。

『いるのー。見てるのー』
『ルビも分かるの?』
『分かるのー』

 何? カーバンクルも凄くない? うちの領て、もしかして無敵じゃない? 超強いじゃない!
 少しスピードが落ちました。そろそろみたいです。見えるかしら?

『モモ、もう見える?』
『まだよ。樹々が邪魔ね』

 ドラゴンがいる崖を登りたいなぁ。無理かなぁ。

『ルル、それは無理ね』
『ルビは行けるの』
「ルル、洞窟だぞ!」

 洞窟を右に見て通り過ぎます。もう直ぐ森の最深部です。やはりピアがいるからかしら? 魔物が少なかったわね。いつもならもっと頻繁に出たはず。

「ピアがいないとこんなに早く此処までこれないだろうな」

 レオン様も同じ事考えてた。

「帰りに洞窟に寄りたいなー!」
「お! レオン、俺もだ!」

 ジュード兄様、まだ採取する気だわ。

「レオン様、水ですか?」
「おう、水だ!」
「ピー!」

 水に反応するピア、て、どうなの? 洞窟から小一時間てとこかしら。崖が見えて来たわ。その時です。

 ――ギャオオオォォォーー!!

 今迄聞いた事のない鳴き声が響き渡りました。空気が震える様な鳴き声です。

「ラウ兄様!」
「ああ! ドラゴンだ!」

 凄いなー! 見たい! 近くで見たいわ!!

『ルル……』
『だってモモちゃん! カッコいいじゃない! ドラゴンよッ!』
「ピピー!」
「ルル、くるわよ!」

 ギィヤーー! と雄叫びの後にロックランサーが降ってきます!

「「「シールド!」」」

 私とユリウスとマーリソン様で、隊全体を覆う様にシールドを展開して上空から降ってきた岩の槍を防ぎます。

「ブースト! プロテクト!」

 皆に強化と防御の魔法をかけます。

「ふわおぉぉぉーーん!!」
「ピピーー!!」

もしかして、モモとルビでドラゴンと話そうとしてる?

 ――グガオォォーー!!

 また来た! ロックランサーだわ!

「「「シールド!」」」

 またシールドを掛けようとしたその時、ピアが突然飛んで前に出た。

「ピピーーーー!!」

 ピアがピカーッと光り、隊全体にシールドを張った。ピアが魔法を使った!?

「ピアッ!!」

 ――ガウゥゥー!!

 あ、鳴き声が変わった。

「ふわおーーーん!!」
「ピピューーピピッ!!」
「ルル、崖の直ぐ下に止まるぞ!」
「はい、ラウ兄様!」

 馬を止めて降ります。隊員達が周りに魔除けの魔道具を設置します。上を見上げました。ドラゴンが見たい! でも崖が高すぎて見えません。

『眷属に守られ加護まで持つ其方は何者だ?』

 えっ!? 何?

『ルル、ドラゴンよ。念話で話してきてるわ』
『我らの赤子を保護しているのか?』
『そうです。近くの湖で独りぼっちで寂しがっていました』
「ピピ、ピー!!」 
『捕らえられているのではないのだな?』
『当然です。ピアが一緒に行くと言ったから保護しました』
『ピアだと?』
『赤ちゃんドラゴンの名前です。ピアがあなたに会いたいと言うので、連れて来ました』
『そうか。其方ともう一人、変わった魂をしている。加護も持っておるな。赤子が懐いているか』

 レオン様の事? バッ! とレオン様を見ます。

「ルルなんだ? どうした?」

 その時です。シュンッ! と、私とレオン様、モモ、ルビ、ピアが煙の様に消え一瞬で崖の上まで移動しました。

「「ルル!! レオン!!」」
「ルル様!」
「ルルーシュア様!!」
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