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第一章
28ー報告会 3
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そこへ静かにケイがやってきました。
「遅くなり申し訳ありません。調査報告に参りました」
「私から紹介します。私の従者でケイです。今回の件では調査も任せております。単独で動いておりますので、調査内容の擦り合わせが必要かと呼び寄せました。ではケイ、報告を」
レオン様、こんな時はしっかり皇子様の顔してるわ。
「はッ。まず第2王子の動きですが、取り巻きの側近候補達や例の男爵令嬢と共にパーティーのドレス選びに余念がないようです」
「昼間に城まで行った時に第2王子殿下と男爵令嬢を見かけましたよ。その時も、パーティーで着るドレスをプレゼントするとかなんとか言ってました。しかも俺達がいたのは、普通は第2王子がいる様な所じゃないんです。多分、男爵令嬢が低位貴族の為に王子達が普段居られる奥には入れなくて、第2王子が態々出てきているんでしょう」
まあ、ジュード兄様。男爵令嬢を見たのね。
「ジュード兄様、男爵令嬢ピンクじゃありませんでしたか?」
「ルルったら!」
お祖母様とお母様が笑いを堪えてますね。肩が動いてますよ。
「あー、ピンクだったな」
「どう言う事だ?」
「はい、お父様。男爵令嬢はドレスやリボン、アクセサリーだけでなく髪の色までピンクなのです」
「……それは……どうなんだ?」
「まぁ、あなた。人其々好みですわよ。でもあのドレスは如何なものかと思いますわ」
「どう言う事だ?」
「お父様、昼間のお茶会なのに、大きく胸の空いた肩を出したドレスだったんです」
「ルル、それだけではないでしょう?」
「お祖母様、何でしたっけ?」
「ほら、ドレスの生地がペラペラだったでしょう。あれでは娼婦ですわ」
お祖母様、キツイなぁー。
「ルル、そうなのか?」
小さい声で、レオン様が聞いてきました。
「ええ、そうなのよ。但し、艶っぽいとかじゃなくて、幼児体型なんだけどね」
「よ、幼児体型……」
「しかもピンクの髪をピンクのリボンでツインテールだから。アップルパイ手掴みで食べていたのにはビックリしたわ」
「手掴み……キツイな。第2王子趣味悪くないか? だけどな……」
「どうしました?」
「乙ゲーだともっと清楚な感じなんだよ。まぁ、髪はピンクなんだけどさ」
脱線しましたが、ケイの報告の続きです。
「男爵令嬢は相変わらず、昼間は第2王子と一緒の様です。ただ、最近では男爵令嬢は夜になると、自宅には帰らずサクソン・モルドレッド侯爵邸に入り浸っている様です。メイドの話によりますと、毎晩サクソン侯爵と令嬢は同じ部屋で就寝しているのに奥方は何も言わないとか」
まあ、男爵令嬢のする事ではないわね。
「屋敷内にサクソン侯爵、次男のリングソンは確認しておりますが、嫡男のマーリソンは見張り出してからこの数日一度も確認できておりません。邸には戻っていない様です」
どうゆう事? 嫡男なのに? そんなに魔導士団て忙しいのかしら?
「調べましたところ、嫡男であるマーリソンは既に亡くなられた先妻の子で、現夫人の子が次男であるリングソンでした。リングソンはご存知の様に、第2王子の側近候補の一人です。現夫人とは先妻がご健在の頃からの間柄で、先妻がお亡くなりになられて直ぐに後妻に入った様です」
あらやだ、愛人を正妻に迎えたって事かしら? それってマーリソン様は平気じゃないわよね。
「それは俺達も貴族簿で確認した。しかも嫡男と次男はたった4歳差だったか」
「そう言えば……馬車の事故で亡くなられたとか聞いた覚えがありますね。ルルが学園に入学する頃でしょうか?」
お祖母様、もっと詳しくご存知ないのかしら? どんどんきな臭くなってくるわね。
「あなた、あの事故の調査はお知り合いがされたのではなくて?」
「確かそうだったな。私が調べておこう」
「では、事故の件は父上お願いします。ケイ、報告は以上かな?」
「はい、今のところは」
「ご苦労であった。引き続き頼む」
「畏まりました」
報告を終えたケイは、従者らしくレオン様の後ろに立って控えています。
「さて、今夜はこの辺にしておこうか。また進展があれば集まろう」
お開きです。かなり遅くまで掛かってしまいましたね。空気が重いです。
「なぁ、ルル。レコーダーが出来るんだから、監視カメラ的な物は作れないのか?」
また、レオン様は無茶振りだわ。映像を残すのは、音声を残すのとか訳が違うのよ。それが簡単なら、悪巧みの現場を抑えて音声や映像も残せばいいんだもの。
……ん? 出来ないかなぁ?
「ユリウスに相談してみるわ」
「出来れば現場を抑えて一網打尽だな」
キラッキラの笑顔だわ。レオン様も魅了持ってるんじゃなくて?
「ねぇ、レオン様」
「ん? なんだ?」
「一度レオン様も鑑定してみていいかしら?」
「なんでだよ? いやいいけどさ。俺疑われてんの?」
「いえ、そうじゃなくて。レオン様も魅了を持ってらっしゃるのかと」
「は? 持ってる訳ないだろ!」
あら、そう? 言ってみただけだけど……て、何ニヤニヤしてんのかしら?
「何? 俺がルルを魅了しようとしてるって?」
ジワジワ近付くのやめて。
「いや、よくキラッキラしてるなぁと……」
だから近いって!
「そぅか、ルルは俺をそう見てんの?」
て、腰に手をまわすのはやめて。本当、やめて。
――ゴンッ!
「痛ッ‼︎」
「ラウ兄様!」
あら、ラウ兄様に拳骨もらっちゃってるわ。凄い音したけど……。
「レオン、いくら婚約者でも近すぎだ。まだ婚姻してないんだからな」
「ラウ、マジでイテーよ!」
「ラウ兄様、レオン様、では私はこれで。お休みなさい」
「あっ! ルル! 逃げ……」
「さ、レオンはこっちだ!」
さっさと部屋に戻ってしまおぅ。レオン様連れて行かれちゃったわ。
次の日ですが、昨日と変わらず朝からずーっと魔道具作り。ユリウスと二人で黙々と。余りにも数が多いので、作る前から嫌になったけど。
そうそうユリウスにダメ元で相談してみたら、監視カメラ的なものは出来ない事もないらしい。でも今は手持ちの魔石を全て魅了を無効化するブレスに使ってしまったので、魔石が手に入ってから実験することに。
「ルル様、午後から私が贔屓にしている王都の魔石屋に行きませんか?」
「行くわ‼︎」
魔道具作りから離れられるのなら、どこへでも行くわ! て、気分よ。まだ半日も経ってないのに、もう既に飽き飽きよ。
「わふぅ?」
「だめ、モモはお留守番よ。王都では目立ち過ぎるからね」
「くぅん……」
いや、喋れるんだから喋ろうよ。ま、意味は分かるけども。もしかしてモモちゃん拗ねてる?
「お、じゃあ俺も行く」
なんか最近レオン様、距離が近い。いつも側にいる。なんで?
「俺、ルルの護衛役も兼ねてるんだ」
嘘だぁー。だって多分私の方が強いもん。ま、口には出さないけどね。
「あ、今自分の方が強いのに、とか思ったろ?」
「ソ、ソンナコトナイワ……」
「なんでカタコトになるんだよ」
「遅くなり申し訳ありません。調査報告に参りました」
「私から紹介します。私の従者でケイです。今回の件では調査も任せております。単独で動いておりますので、調査内容の擦り合わせが必要かと呼び寄せました。ではケイ、報告を」
レオン様、こんな時はしっかり皇子様の顔してるわ。
「はッ。まず第2王子の動きですが、取り巻きの側近候補達や例の男爵令嬢と共にパーティーのドレス選びに余念がないようです」
「昼間に城まで行った時に第2王子殿下と男爵令嬢を見かけましたよ。その時も、パーティーで着るドレスをプレゼントするとかなんとか言ってました。しかも俺達がいたのは、普通は第2王子がいる様な所じゃないんです。多分、男爵令嬢が低位貴族の為に王子達が普段居られる奥には入れなくて、第2王子が態々出てきているんでしょう」
まあ、ジュード兄様。男爵令嬢を見たのね。
「ジュード兄様、男爵令嬢ピンクじゃありませんでしたか?」
「ルルったら!」
お祖母様とお母様が笑いを堪えてますね。肩が動いてますよ。
「あー、ピンクだったな」
「どう言う事だ?」
「はい、お父様。男爵令嬢はドレスやリボン、アクセサリーだけでなく髪の色までピンクなのです」
「……それは……どうなんだ?」
「まぁ、あなた。人其々好みですわよ。でもあのドレスは如何なものかと思いますわ」
「どう言う事だ?」
「お父様、昼間のお茶会なのに、大きく胸の空いた肩を出したドレスだったんです」
「ルル、それだけではないでしょう?」
「お祖母様、何でしたっけ?」
「ほら、ドレスの生地がペラペラだったでしょう。あれでは娼婦ですわ」
お祖母様、キツイなぁー。
「ルル、そうなのか?」
小さい声で、レオン様が聞いてきました。
「ええ、そうなのよ。但し、艶っぽいとかじゃなくて、幼児体型なんだけどね」
「よ、幼児体型……」
「しかもピンクの髪をピンクのリボンでツインテールだから。アップルパイ手掴みで食べていたのにはビックリしたわ」
「手掴み……キツイな。第2王子趣味悪くないか? だけどな……」
「どうしました?」
「乙ゲーだともっと清楚な感じなんだよ。まぁ、髪はピンクなんだけどさ」
脱線しましたが、ケイの報告の続きです。
「男爵令嬢は相変わらず、昼間は第2王子と一緒の様です。ただ、最近では男爵令嬢は夜になると、自宅には帰らずサクソン・モルドレッド侯爵邸に入り浸っている様です。メイドの話によりますと、毎晩サクソン侯爵と令嬢は同じ部屋で就寝しているのに奥方は何も言わないとか」
まあ、男爵令嬢のする事ではないわね。
「屋敷内にサクソン侯爵、次男のリングソンは確認しておりますが、嫡男のマーリソンは見張り出してからこの数日一度も確認できておりません。邸には戻っていない様です」
どうゆう事? 嫡男なのに? そんなに魔導士団て忙しいのかしら?
「調べましたところ、嫡男であるマーリソンは既に亡くなられた先妻の子で、現夫人の子が次男であるリングソンでした。リングソンはご存知の様に、第2王子の側近候補の一人です。現夫人とは先妻がご健在の頃からの間柄で、先妻がお亡くなりになられて直ぐに後妻に入った様です」
あらやだ、愛人を正妻に迎えたって事かしら? それってマーリソン様は平気じゃないわよね。
「それは俺達も貴族簿で確認した。しかも嫡男と次男はたった4歳差だったか」
「そう言えば……馬車の事故で亡くなられたとか聞いた覚えがありますね。ルルが学園に入学する頃でしょうか?」
お祖母様、もっと詳しくご存知ないのかしら? どんどんきな臭くなってくるわね。
「あなた、あの事故の調査はお知り合いがされたのではなくて?」
「確かそうだったな。私が調べておこう」
「では、事故の件は父上お願いします。ケイ、報告は以上かな?」
「はい、今のところは」
「ご苦労であった。引き続き頼む」
「畏まりました」
報告を終えたケイは、従者らしくレオン様の後ろに立って控えています。
「さて、今夜はこの辺にしておこうか。また進展があれば集まろう」
お開きです。かなり遅くまで掛かってしまいましたね。空気が重いです。
「なぁ、ルル。レコーダーが出来るんだから、監視カメラ的な物は作れないのか?」
また、レオン様は無茶振りだわ。映像を残すのは、音声を残すのとか訳が違うのよ。それが簡単なら、悪巧みの現場を抑えて音声や映像も残せばいいんだもの。
……ん? 出来ないかなぁ?
「ユリウスに相談してみるわ」
「出来れば現場を抑えて一網打尽だな」
キラッキラの笑顔だわ。レオン様も魅了持ってるんじゃなくて?
「ねぇ、レオン様」
「ん? なんだ?」
「一度レオン様も鑑定してみていいかしら?」
「なんでだよ? いやいいけどさ。俺疑われてんの?」
「いえ、そうじゃなくて。レオン様も魅了を持ってらっしゃるのかと」
「は? 持ってる訳ないだろ!」
あら、そう? 言ってみただけだけど……て、何ニヤニヤしてんのかしら?
「何? 俺がルルを魅了しようとしてるって?」
ジワジワ近付くのやめて。
「いや、よくキラッキラしてるなぁと……」
だから近いって!
「そぅか、ルルは俺をそう見てんの?」
て、腰に手をまわすのはやめて。本当、やめて。
――ゴンッ!
「痛ッ‼︎」
「ラウ兄様!」
あら、ラウ兄様に拳骨もらっちゃってるわ。凄い音したけど……。
「レオン、いくら婚約者でも近すぎだ。まだ婚姻してないんだからな」
「ラウ、マジでイテーよ!」
「ラウ兄様、レオン様、では私はこれで。お休みなさい」
「あっ! ルル! 逃げ……」
「さ、レオンはこっちだ!」
さっさと部屋に戻ってしまおぅ。レオン様連れて行かれちゃったわ。
次の日ですが、昨日と変わらず朝からずーっと魔道具作り。ユリウスと二人で黙々と。余りにも数が多いので、作る前から嫌になったけど。
そうそうユリウスにダメ元で相談してみたら、監視カメラ的なものは出来ない事もないらしい。でも今は手持ちの魔石を全て魅了を無効化するブレスに使ってしまったので、魔石が手に入ってから実験することに。
「ルル様、午後から私が贔屓にしている王都の魔石屋に行きませんか?」
「行くわ‼︎」
魔道具作りから離れられるのなら、どこへでも行くわ! て、気分よ。まだ半日も経ってないのに、もう既に飽き飽きよ。
「わふぅ?」
「だめ、モモはお留守番よ。王都では目立ち過ぎるからね」
「くぅん……」
いや、喋れるんだから喋ろうよ。ま、意味は分かるけども。もしかしてモモちゃん拗ねてる?
「お、じゃあ俺も行く」
なんか最近レオン様、距離が近い。いつも側にいる。なんで?
「俺、ルルの護衛役も兼ねてるんだ」
嘘だぁー。だって多分私の方が強いもん。ま、口には出さないけどね。
「あ、今自分の方が強いのに、とか思ったろ?」
「ソ、ソンナコトナイワ……」
「なんでカタコトになるんだよ」
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