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222無駄な地下室

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サリーの家は、最近、実際に料理を作ってみたいという貴族向けの実験的な部屋とし、合わせて新しい試みを行っている事にした。
部屋が斬新過ぎて、俺達が作った事にすると面倒を起こす可能性が有るとも言われた。
俺としてはサリーが気持ちよく過ごしてくれる事が1番なので、ブルネリ公爵にお任せだ。
早速、ブルネリ公爵からサリーに対して説明をしてもらうことにした。

「サリーさんには、新しい家の使い勝手を3年間、定期的に報告書にまとめて提出してもらいたい。」

「貴族様の家なのに、何故私なのでしょうか。」

「OZの皆さんから料理を習っているのが1番の理由です。
 料理を作ってみたいと思っているのは、レオ殿の本を読んだ人です。
 そういう意味では、サリーさんは適任なんですよ。
 他にも、OZに教育を受けていて、ニックの部下であり同僚というのがありがたい。
 さすがに、貴族の女性に頼むわけにはいきませんし、
 私の周りで、ここまで条件の揃っている人物は居ません。
 ニックから話を聞いて、こちらで勝手に進めてしまったが、どうだろうか。」

サリーは使い勝手を報告させて貰う事を受け入れ、孤児院をでたら、あの家に住むことになった。
報告書の内容については、貴重な意見として俺達にも教えてもらえることになっている。

ブルネリ公爵の滞在予定は1週間。
残り3日で、孤児院の視察をしたり、お忍びでエチゴ屋等の色々な店を巡っていた。
トリス練成術師はピース医師と一緒にサリーの家に入り浸り家や設置した魔道具を見ていた。

折角なので、滞在している間、食事位は一緒にしようと招待したのだが、クリームのメンバーと同じ様にエントランスで立ち止まってしまった。
トリス練成術師が家の出来栄えに感激してくれているが、ブルネリ公爵が呆れている様な感じがするのだが気のせいだろう。
トリス練成術師が喜んでくれたので、ついでに自慢の風呂場にも案内した。
風呂の窓からはガラスで作り上げた大自然の景色が見れるように改善してある。
2mの奥行きしかないが、スリガラスを使いボカシを入れたりし、深い森に川が流れてる風景を作ってみた。
川は、奇麗な青いガラス玉で覆われ、丁度風呂の水面と同じ高さで水が風呂に流れ込んでいる様な作りになっている。
ライトアップを行うとまた違う雰囲気になる。

その日からレオの食事の後に風呂に入る様になったのは良いのだが
俺がここまで風呂に力を注いだのは、皆で一緒に風呂に入る為・・・なのに

「流石に、全員で入る訳にはいかないから、客を先に入れて俺達は最後だな。」

と浩司が言うので、俺が皆と一緒に入る機会を奪われてしまった。
おまけにブルネリ公爵や女性が居るので、風呂上がりでもきちんと服を着ている。
新しい手段が考え付かない間に、明日には帰ってしまう。

最終日は、地下室で食事を行う事にした。
クリームの女性陣は2階の空いている部屋、男性陣は1階の居間にベットを移動させておく。
部屋全面を小さい青白い光を灯し、テーブルにキャンドル風の魔道具を置くと、なかなか雰囲気のある食事会になった。
この地下室を見て考え込んでしまったブルネリ公爵ですら、部屋の風景に感心してくれている。

「気になっていたんだが、OZはこの地下室を何に使っているんだ。」

ジークさんは泊っている間、ずっと気になっていたそうだ。

「雨の日の訓練場として使っている。サリーの家で見たら気に入ったんで、拓に作ってもらっただけなんだ。」

ガラは何を照れながら話しているんだ。

「じゃあ、この明りは何に使うんだ。」

「たまに、デッキチェアを並べて休んでいる。」

全員に溜息を吐かれてしまった。これだけの無駄な設備となれば仕方が無いか。
部屋自体を強固にするため、天井に明りを取り入れる場所は無い。
光の入らない地下室は面白くなく、俺も他の使い道が見つからない。

「だったら、俺達がラグテルに来た時に泊る場所に使わせてもらえないか。
 当然、食費、宿泊費は支払う。どうだろうか。」

食費って、ジークさん、完全にレオの食事をセットで考えているな。
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