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268見張塔
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ヘンデリック侯爵との話が長くなり、拓が自分の小屋に戻るのが遅くなってしまった。
小屋にはドクスも居るが、拓が居ない間は屋敷の方で生活しヘンデリック侯爵の依頼で薬を作っていた。
念のため、サーシャの周辺について聞いてみる。
「特に変な動きは無いな。何度か市街地に出かけるのに同行したが監視ししている者も居ないみたいだ。」
ひとまず安心できる回答が返ってきた。
一応、ドクスとも緑の髪の子のリストについて情報を共有しておく。
晩飯についてはガラが用意してくれていたが、トウ、バン、ジャンだけでなく、シルビア、ヘルガまで酒を持ってやって来て飲み会になってしまった。
拓が食事をどうしたものかと考えていると、シルビアがゲートを開きルドルフ料理長の料理を出してくれた。
「久しぶりのルドルフ料理長の食事だ。また新しい料理を考えたみたいですね。」
乾杯の前に拓が摘まみ食いをしてアーネスに怒られていたが、楽しい飲み会だった。
話をしていて驚いたのは、シルビアは無線通信の魔道具を作り上げていた。
改めて明日、シルビアが見せてくれることになった。
「お帰り拓。今日は二日酔いになっていないのね。」
「そいえば、師匠も朝まで飲んでいなかったな。」
朝、サーシャとユンクがルドルフ料理長が作った朝食を持って遊びに来た。
食事をしながら町の話をしていると、今日シルビアに無線通信の魔道具を見せてもらう事を知ると2人も一緒に行く事になった。
護衛のトウ、バン、ジャンの他にガラ、アーネス、そしてオーヘンも付いてくる。
更にオーヘンは拓にケーキか菓子を売って欲しいと言ってきた。
向かった先は町の周囲を囲む塀に設置された見張台。
実験として町の外に簡易的な見張塔が作られ、そことの連絡に使っている。
オーヘンが作業者に断りを入れて、作業室と装置を見せてくれた。
通信は専任通信士と冒険者ギルド職員が行い、魔獣の情報等を共有し冒険者の安全にも役立てようとしている。
「これが無線機ですか。意外と大きいですね。」
「本当は呪いみたいな魔力の繋がりを使って通信戦の代わりにしたかったけど
その手の繋がりって生物同士でないと上手くできないのよ。
それに、相手の見張塔は20キロ位先になるから、威力を出すのにこれだけのサイズが必要なの。」
拓の感想にシルビアが説明してくれた。
この試験が上手く行けば見張塔を幾つか立て、その周囲に安全に冒険者が宿泊できる場所を用意する計画が出ている。
拓達が見学をしている間にも見張塔から魔獣情報が入り、ギルド会館へと連絡が行われいている。
今回の計画は冒険者達も乗り気で、協力的に動いてくれていた。
「やはり、ペンデルトン侯爵領は他の辺境地とは冒険者の雰囲気が随分と違うな。」
通信の様子を見ていたアーネスの感想に、拓が他の辺境地について聞いてみると
「もっとギスギスしている。
まぁ、冒険者は生死も自己責任だから仕方がないが、
ここは領主が冒険者の安全にも気を使っている分、心に余裕が有るって感じだな。」
今回の様な実験を行おうとしても、ここまで冒険者が強力的に動かないと言うのがアーネスの感想だった。
「確かに、この町の冒険者は特殊ですね。
普通、領主と冒険者ギルドの関係というのは、交渉ばかりで
こんな通信網の設置や新たな使用を考えた安全対策を提供してくれることなんて普通は有り得ませんから。
お陰で、冒険者達も自ら動いてくれて、本当に助かってますよ。」
作業をしていた、冒険者ギルド職員が嬉しそうに話してくれる。
基本的に、冒険者ギルドは独立組織で貴族は不干渉というのが建前としてある。
普通ならギルドは大金を支払って使用させてもらう形を取るのだが、協力することでお互いに利が有るとして
見張塔の安全を冒険者ギルドが維持することで通信網の使用を可能としている。
「それでも、町の安全が確保され、税の収入は増え財政は潤う。」
オーヘンが最後に町としての利益を話してくれた。
拓は地図に見張台の場所を書き留めると、今度森に入った時には見に行こうと考えていた。
説明も伺い、そろそろこの場を離れようとすると、オーヘンが拓に耳打ちをする。
「拓、作業者にケーキを出してもらえないか。」
拓は頷きサーシャに手伝ってもらいケーキと紅茶を用意すると
「お嬢様、心遣いありがとうございます。」
作業者達は、美味しそうに食べていた。
小屋にはドクスも居るが、拓が居ない間は屋敷の方で生活しヘンデリック侯爵の依頼で薬を作っていた。
念のため、サーシャの周辺について聞いてみる。
「特に変な動きは無いな。何度か市街地に出かけるのに同行したが監視ししている者も居ないみたいだ。」
ひとまず安心できる回答が返ってきた。
一応、ドクスとも緑の髪の子のリストについて情報を共有しておく。
晩飯についてはガラが用意してくれていたが、トウ、バン、ジャンだけでなく、シルビア、ヘルガまで酒を持ってやって来て飲み会になってしまった。
拓が食事をどうしたものかと考えていると、シルビアがゲートを開きルドルフ料理長の料理を出してくれた。
「久しぶりのルドルフ料理長の食事だ。また新しい料理を考えたみたいですね。」
乾杯の前に拓が摘まみ食いをしてアーネスに怒られていたが、楽しい飲み会だった。
話をしていて驚いたのは、シルビアは無線通信の魔道具を作り上げていた。
改めて明日、シルビアが見せてくれることになった。
「お帰り拓。今日は二日酔いになっていないのね。」
「そいえば、師匠も朝まで飲んでいなかったな。」
朝、サーシャとユンクがルドルフ料理長が作った朝食を持って遊びに来た。
食事をしながら町の話をしていると、今日シルビアに無線通信の魔道具を見せてもらう事を知ると2人も一緒に行く事になった。
護衛のトウ、バン、ジャンの他にガラ、アーネス、そしてオーヘンも付いてくる。
更にオーヘンは拓にケーキか菓子を売って欲しいと言ってきた。
向かった先は町の周囲を囲む塀に設置された見張台。
実験として町の外に簡易的な見張塔が作られ、そことの連絡に使っている。
オーヘンが作業者に断りを入れて、作業室と装置を見せてくれた。
通信は専任通信士と冒険者ギルド職員が行い、魔獣の情報等を共有し冒険者の安全にも役立てようとしている。
「これが無線機ですか。意外と大きいですね。」
「本当は呪いみたいな魔力の繋がりを使って通信戦の代わりにしたかったけど
その手の繋がりって生物同士でないと上手くできないのよ。
それに、相手の見張塔は20キロ位先になるから、威力を出すのにこれだけのサイズが必要なの。」
拓の感想にシルビアが説明してくれた。
この試験が上手く行けば見張塔を幾つか立て、その周囲に安全に冒険者が宿泊できる場所を用意する計画が出ている。
拓達が見学をしている間にも見張塔から魔獣情報が入り、ギルド会館へと連絡が行われいている。
今回の計画は冒険者達も乗り気で、協力的に動いてくれていた。
「やはり、ペンデルトン侯爵領は他の辺境地とは冒険者の雰囲気が随分と違うな。」
通信の様子を見ていたアーネスの感想に、拓が他の辺境地について聞いてみると
「もっとギスギスしている。
まぁ、冒険者は生死も自己責任だから仕方がないが、
ここは領主が冒険者の安全にも気を使っている分、心に余裕が有るって感じだな。」
今回の様な実験を行おうとしても、ここまで冒険者が強力的に動かないと言うのがアーネスの感想だった。
「確かに、この町の冒険者は特殊ですね。
普通、領主と冒険者ギルドの関係というのは、交渉ばかりで
こんな通信網の設置や新たな使用を考えた安全対策を提供してくれることなんて普通は有り得ませんから。
お陰で、冒険者達も自ら動いてくれて、本当に助かってますよ。」
作業をしていた、冒険者ギルド職員が嬉しそうに話してくれる。
基本的に、冒険者ギルドは独立組織で貴族は不干渉というのが建前としてある。
普通ならギルドは大金を支払って使用させてもらう形を取るのだが、協力することでお互いに利が有るとして
見張塔の安全を冒険者ギルドが維持することで通信網の使用を可能としている。
「それでも、町の安全が確保され、税の収入は増え財政は潤う。」
オーヘンが最後に町としての利益を話してくれた。
拓は地図に見張台の場所を書き留めると、今度森に入った時には見に行こうと考えていた。
説明も伺い、そろそろこの場を離れようとすると、オーヘンが拓に耳打ちをする。
「拓、作業者にケーキを出してもらえないか。」
拓は頷きサーシャに手伝ってもらいケーキと紅茶を用意すると
「お嬢様、心遣いありがとうございます。」
作業者達は、美味しそうに食べていた。
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