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波紋
波紋
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風がぴたりと止まった。空気が動かず、それまで喧しく鳴いていたセミの声すら耳に入らなくなった。
まさに空白の時間。
「ーー久し振りだな……心」
ドスのきいた低音ボイスがその静けさを一瞬でかき消した。
若い衆の首根っこを鷲掴みにし、こめかみに拳銃を突き付けて姿を現したのは彼のお兄さん……真沙哉さんだった。写真で見るよりはるかに迫力があった。
背の高い大柄の男性が銃を構え彼を守るようにぴたりと張り付いていた。
「誰か柚原さんと遥琉さんを呼んでこい!」
「命に代えても姐さんと心さんをお守りしろ!」
若い衆の怒号が飛び交い辺りは騒然とした。
「風の噂で、心が結婚したって聞いて……おめでとう」
睨みをきかせる若い衆を鼻で笑い、ニヤリと薄笑いを浮かべる真沙哉さん。
彼の視線はやがて僕へと向けられた。
氷のように冷たい眼差しに全身が凍り付いた。
まさに空白の時間。
「ーー久し振りだな……心」
ドスのきいた低音ボイスがその静けさを一瞬でかき消した。
若い衆の首根っこを鷲掴みにし、こめかみに拳銃を突き付けて姿を現したのは彼のお兄さん……真沙哉さんだった。写真で見るよりはるかに迫力があった。
背の高い大柄の男性が銃を構え彼を守るようにぴたりと張り付いていた。
「誰か柚原さんと遥琉さんを呼んでこい!」
「命に代えても姐さんと心さんをお守りしろ!」
若い衆の怒号が飛び交い辺りは騒然とした。
「風の噂で、心が結婚したって聞いて……おめでとう」
睨みをきかせる若い衆を鼻で笑い、ニヤリと薄笑いを浮かべる真沙哉さん。
彼の視線はやがて僕へと向けられた。
氷のように冷たい眼差しに全身が凍り付いた。
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