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優真は顔をやや俯かせたまま、ジリジリとこちらへ近付いてくる。

そして俺の前まで来ると、ガシッと肩を掴まれた。

「なっ、なんだよ……!?」

「陽斗……答えて。今のは誰なんだい?随分と仲良さそうにしていたじゃないか……ああ、その手にしているものは何か……ん?プリン?」

「ああ、うん。優真と食べようと思って買ってきた。でも、悪い……一個は今の、成瀬にあげちゃって……」

正直に言うと、優真はカッと目を見開いた。

「は……はぁぁぁあ!?どういうことだい、エンジェル!!?あげたって、なんでまた……っその一個、本当は僕の分だったんじゃないのかい!?」

優真は俺の肩をユサユサと揺さぶりながら、滝のような涙を流している。

(あー……)

これはもしや……嫉妬?

おそらく優真は、俺が成瀬と話していた一部始終を見ていたのだろう。

声はあまり聞こえていなかったようだし、後でちゃんと事情を説明しなければ。

俺は優真を落ち着かせるため、ニコッと笑ってみせた。

「大丈夫だから、そんな泣くなよ。色々事情もあるし、帰ったら話す、な?」

「事情……本当に?」

「ホントだっての!ほら、行こうぜ。あ、プリンは半分こだからな?」

「……待って陽斗」

「え?あっ……!」

進もうとして呼び止められ、何かと思えば。

ぐいっと手を引き寄せられて、俺はバランスを崩し、優真の腕にしがみつく。

「優真……?」

「ごめん……みっともないな、僕は。今、凄くイライラしてる」

そう言って、優真は深いため息をつくと、今度は俺の腰元に手を回した。

「ゆ、優……っ」

引き寄せられ、焦って胸元を押し返すものの、力及ばず。

もう片方の手で後ろ頭を押さえられ、噛み付くように唇が奪われた。

「……っ」

(人が……見てるのにっ……)

確かにこの道は、人通りが少ないし暗いから、軽く手を繋ぐぐらいならギリ平気かもだが。

(こんなキス……ダメだって……っ)

すっかり力が入らなくなった手で、どうにか優真を押し返す。

すると、ようやくキスから解放された。

乱れた息を整えながら見上げると、優真も甘い吐息を漏らし、おでこをコツンとぶつけてきた。

「はぁ……ごめんね、陽斗。こんなところでキスして」

そう言って、優真はそっと長い睫毛を伏せると、ポツリポツリと話し始めた。

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