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「さっき……陽斗を迎えに行こうと思って、コンビニの近くまで来たんだ。そしたら、ちょうど陽斗が出てきて、嬉しかった」
そう言って、優真は小さく微笑んだ。
ちらりと見上げると、優真は少し落ち着きを取り戻したようで、そっとおでこが離れた。
優真は続ける。
「でも陽斗、迎えはいらないって言ってただろう?だから、すぐに声をかけるのはやめておいたんだ。で、この辺りで待っていたら、彼が登場した」
「彼……成瀬のこと?」
「そ。成瀬君ていうんだね」
恐る恐る確認すると、優真は俺の髪に指先で触れながら、穏やかな表情で成瀬の名前を口にした。
俺は少しホッとして、今日の出来事を簡単に説明する。
「うん。同じ学年で、講義のノートを貸して貰ったんだ。だから、お礼にプリンを渡したんだけど」
嫉妬心を煽らぬよう、なるべく淡々と話すと、優真は大きく頷いた。
「ああ、そういうことか。うん、それなら……」
「……それなら?」
「……安心した」
「……っ」
少し眉を下げて安堵の笑みを零す優真に、思わずキュンとしてしまう。
そしてつい、繋いだ手に力を込めると、ぎゅうっと握り返された。
「ふふ、ひーなと?」
「な、なんだよ……っ」
「ん~……かわいい」
「……!」
次の瞬間、ぐいっと腰元を引き寄せられ、腕の中に引き込まれた。
「ゆ、優真……っ」
「ごめん、少しだけ……」
「もー……人に見られるだろっ?」
抗議するものの、優真は薄暗い道端で、構わず俺を抱きしめる。
そして、静かに口を開き……
「あんなに気持ちが乱れたのは、初めてだ」
そう言って、優真は小さく微笑んだ。
ちらりと見上げると、優真は少し落ち着きを取り戻したようで、そっとおでこが離れた。
優真は続ける。
「でも陽斗、迎えはいらないって言ってただろう?だから、すぐに声をかけるのはやめておいたんだ。で、この辺りで待っていたら、彼が登場した」
「彼……成瀬のこと?」
「そ。成瀬君ていうんだね」
恐る恐る確認すると、優真は俺の髪に指先で触れながら、穏やかな表情で成瀬の名前を口にした。
俺は少しホッとして、今日の出来事を簡単に説明する。
「うん。同じ学年で、講義のノートを貸して貰ったんだ。だから、お礼にプリンを渡したんだけど」
嫉妬心を煽らぬよう、なるべく淡々と話すと、優真は大きく頷いた。
「ああ、そういうことか。うん、それなら……」
「……それなら?」
「……安心した」
「……っ」
少し眉を下げて安堵の笑みを零す優真に、思わずキュンとしてしまう。
そしてつい、繋いだ手に力を込めると、ぎゅうっと握り返された。
「ふふ、ひーなと?」
「な、なんだよ……っ」
「ん~……かわいい」
「……!」
次の瞬間、ぐいっと腰元を引き寄せられ、腕の中に引き込まれた。
「ゆ、優真……っ」
「ごめん、少しだけ……」
「もー……人に見られるだろっ?」
抗議するものの、優真は薄暗い道端で、構わず俺を抱きしめる。
そして、静かに口を開き……
「あんなに気持ちが乱れたのは、初めてだ」
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