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第二十七話 ショッピング
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◆◇◆◆
翌日、シグレさんと僕は、近くのスーパーへ行った。
僕は発情期が近い事もあり、昔から使っている革製のチョーカーをしっかりと首に巻いてきた。
スーパーへは、シグレさんが暫く引きこもっていた事もあり、予定通り歩きで行くことに。
しかも少しだけ遠回りをして行くことになった。
その間、シグレさんは僕に珍しい建物を紹介してくれたり、景色の良い場所など、色々と教えてくれた。
「――で、あそこが時々行くコンビニ。ちょっと珍しい外観でしょ?」
「ほんとですね。カラフルで可愛いし……なんか、ちょっと楽しそうです」
そのコンビニは本当に、あまり見かけないタイプの外観で、僕は思わず目を輝かせてまじまじと見てしまう。
すると、シグレさんは優しい笑みを浮かべて首を傾げた。
「そう?じゃあ今度行ってみよう。あのコンビニ限定のスムージーが美味しいんだよ。セイラもきっと気に入ると思うな」
「す、すむーじー……」
知ってはいるけれど、人生でまだお目にかかったことのない飲み物だ。
僕の家は決して裕福ではなかったので、スムージーのようなちょっとした贅沢品は基本的にNGだった。
だから、シグレさんと一緒に目にするものや建物は本当に新鮮に感じる。
そして、しみじみ思う。
(こんなにいいご主人様と一緒に街を歩けて、楽しくて……時間を忘れそう)
煌めく街並みを眺めながらそう思うと、この上ない幸福感に包まれる。
シグレさんに初めて会った時はまだ警戒心の方が強かったけれど、今ではすっかりそれも無くなっている。
それどころか、僕は……
(……っ)
本心に触れそうになり、慌てて息を呑む。
いや、本心なのだろうか。
(本当に、僕はシグレさんを……好きになった?)
お互い、αとΩである以上、本能的に惹かれ合うのは必然だ。
だからこそ、僕は時間をかけてシグレさんという人を知っていきたいと思う。
本能に翻弄されるだけじゃなくて、ちゃんと気持ちを確かめたいのだ。
(気持ち……)
気持ちを確かめようと思うと、どうしてもN高校の彼の事が浮かんできて、僕はフルフルと頭を振った。
(だめ……っ。今は、シグレさんの事だけを考えて……)
シグレさんに見えないよう、僕はそっと胸に手を当てる。
トクン、トクン、と、鼓動が手に伝わり、暖かな気持ちが胸に広がっていく。
(ああ……やっぱり僕、シグレさんの事……)
「……セイラ―?」
「ひゃあっ!?」
ひょいと顔を覗かれ、僕は大慌てで背筋を伸ばし、胸元から手を離した。
その様子を、シグレさんはぽかんとして眺めている。
「どうしたの?」
「い、いいい、いえ!なんでも、ないです……っ!」
「……?あ、ほら、もうそこがスーパーだから、到着だよ」
「あ……」
ドキドキしつつ前を見ると、そこにはいつも買い物に使っているスーパーがあった。
翌日、シグレさんと僕は、近くのスーパーへ行った。
僕は発情期が近い事もあり、昔から使っている革製のチョーカーをしっかりと首に巻いてきた。
スーパーへは、シグレさんが暫く引きこもっていた事もあり、予定通り歩きで行くことに。
しかも少しだけ遠回りをして行くことになった。
その間、シグレさんは僕に珍しい建物を紹介してくれたり、景色の良い場所など、色々と教えてくれた。
「――で、あそこが時々行くコンビニ。ちょっと珍しい外観でしょ?」
「ほんとですね。カラフルで可愛いし……なんか、ちょっと楽しそうです」
そのコンビニは本当に、あまり見かけないタイプの外観で、僕は思わず目を輝かせてまじまじと見てしまう。
すると、シグレさんは優しい笑みを浮かべて首を傾げた。
「そう?じゃあ今度行ってみよう。あのコンビニ限定のスムージーが美味しいんだよ。セイラもきっと気に入ると思うな」
「す、すむーじー……」
知ってはいるけれど、人生でまだお目にかかったことのない飲み物だ。
僕の家は決して裕福ではなかったので、スムージーのようなちょっとした贅沢品は基本的にNGだった。
だから、シグレさんと一緒に目にするものや建物は本当に新鮮に感じる。
そして、しみじみ思う。
(こんなにいいご主人様と一緒に街を歩けて、楽しくて……時間を忘れそう)
煌めく街並みを眺めながらそう思うと、この上ない幸福感に包まれる。
シグレさんに初めて会った時はまだ警戒心の方が強かったけれど、今ではすっかりそれも無くなっている。
それどころか、僕は……
(……っ)
本心に触れそうになり、慌てて息を呑む。
いや、本心なのだろうか。
(本当に、僕はシグレさんを……好きになった?)
お互い、αとΩである以上、本能的に惹かれ合うのは必然だ。
だからこそ、僕は時間をかけてシグレさんという人を知っていきたいと思う。
本能に翻弄されるだけじゃなくて、ちゃんと気持ちを確かめたいのだ。
(気持ち……)
気持ちを確かめようと思うと、どうしてもN高校の彼の事が浮かんできて、僕はフルフルと頭を振った。
(だめ……っ。今は、シグレさんの事だけを考えて……)
シグレさんに見えないよう、僕はそっと胸に手を当てる。
トクン、トクン、と、鼓動が手に伝わり、暖かな気持ちが胸に広がっていく。
(ああ……やっぱり僕、シグレさんの事……)
「……セイラ―?」
「ひゃあっ!?」
ひょいと顔を覗かれ、僕は大慌てで背筋を伸ばし、胸元から手を離した。
その様子を、シグレさんはぽかんとして眺めている。
「どうしたの?」
「い、いいい、いえ!なんでも、ないです……っ!」
「……?あ、ほら、もうそこがスーパーだから、到着だよ」
「あ……」
ドキドキしつつ前を見ると、そこにはいつも買い物に使っているスーパーがあった。
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