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「王妃様からのお言葉をお伝えいたします。〝挨拶は気にしなくて良いですから、いっぱいおめかしして侍従たちと一緒に来てくださいね、お兄さま〟とのことです」
「…………おめかし?」
アシェルは今日、退職の挨拶をしに来たのだ。それなりに身綺麗にはしているが、ここはあくまで職場。〝おめかし〟はまったくと言って良いほど必要はない。だというのに侍女たちは部屋の隅に置かれていた美しい盆を持ち、アシェルの前に差し出す。そこには銀糸が美しく施された藍色の絹があった。
「王妃様よりこちらをお召しいただくようにと。私共がお手伝いいたしますので、お召し替えくださいませ。御髪も、お召し物に合わせて結わせていただきます」
侍女が持つ別の盆には美しくも明らかに高価な髪留めや耳飾りが輝いていた。父が当主に就いていた在りし日のノーウォルト侯爵家ですらあまり見なかったような衣装や装飾品の数々に、フィアナが冗談でもなんでもなく、本気でアシェルを着飾らせようとしているのがわかる。
「…………おめかし?」
アシェルは今日、退職の挨拶をしに来たのだ。それなりに身綺麗にはしているが、ここはあくまで職場。〝おめかし〟はまったくと言って良いほど必要はない。だというのに侍女たちは部屋の隅に置かれていた美しい盆を持ち、アシェルの前に差し出す。そこには銀糸が美しく施された藍色の絹があった。
「王妃様よりこちらをお召しいただくようにと。私共がお手伝いいたしますので、お召し替えくださいませ。御髪も、お召し物に合わせて結わせていただきます」
侍女が持つ別の盆には美しくも明らかに高価な髪留めや耳飾りが輝いていた。父が当主に就いていた在りし日のノーウォルト侯爵家ですらあまり見なかったような衣装や装飾品の数々に、フィアナが冗談でもなんでもなく、本気でアシェルを着飾らせようとしているのがわかる。
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