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番外編『魔法使いがいく!』
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「だが…」
「俺を信じられないんなら、それでもいいさ…手を引く事になるがしょうがない」
そうなるとどうなるかは火を見るより明らかだと思うがな、と男はテーブルに乗せた足を退かして立ち上がる。
「なんだと!?この状況で手を引くだと…!?そもそもこの侵攻作戦は貴様が言い出した事だろう!」
「そうだ、だから俺は手を貸してやった…今も作戦を提案したじゃないか」
おじさんが責めるように言うが男は意に介さずに返す。
「くっ…!確かに、貴様のおかげで侵攻作戦がここまで進んだのは事実…おい!人を集めろ!至急王都の前に陣を敷く!」
「はっ!」
おじさんは苦虫を噛み潰したような顔をしながらも兵に指示を出す。
「そう、それで良いんだ。俺の言う通りにしてればな…くっくっく…存分に楽しませてくれよ…?」
その様子を見て男は満足したように笑い、まだ見ぬ敵に期待した呟きを漏らした。
…翌朝。
まだ日が昇る前の薄暗い時間帯に彼は目を覚ますと直ぐに顔を洗う。
そして準備を済ませると兵士達が休んでいる建物へと歩いて行く。
「!コレは枢機卿殿!おはようございます!」
彼が建物の中に入ると…カウンター越しに座って居た受付の女性兵の一人が彼の表示に気づき、立ち上がって敬礼する。
「王都を奪還するための作戦はどの程度進んでいる?」
「え?あ…王都奪還作戦の件ですか?確認してみます!」
彼の問いに女性兵はテーブルの上の資料や机の中の資料を確認し始めた。
「…おかしいな……少しお待ち下さい」
女性兵は首を傾げると断りを入れて奥の部屋へと向かう。
…それから5分後。
「連絡が取れました!今、既に王都に向けて進軍中だと」
「いつ頃に着きそうだ?」
「昨日から出発したそうなので…早くても明日の昼ごろだと思われます」
「…昼、だと…?」
今日中には終わるだろう…という彼の甘い見通しは女性兵の一言で見事に打ち砕かれる。
「そんなにかかるものなのか?昨日から移動しているのだろう?」
「…ココからでも王都までは馬でも早くて明日の昼ごろにはなりますから、他の場所から集まるのならかなり早い方だと思いますけど…」
怪訝そうな表情で尋ねた彼に女性兵は驚きながらも若干ヒいたように答えた。
「…なんて事だ…今日中には終わると思っていたのに…」
「…この村から王都までは100km以上離れてますので、今出発しないとそもそも今日中に着くのすら難しいかと…」
落ち込んだような彼の呟きに女性兵は、こいつ馬鹿じゃないの…?と思いつつもその様子を外に出さないよう、なんとも言えないような表情で告げる。
「いや、そもそも直線距離で約100kmだから…最短ルートでも着くのに早くて二、三日はかかるでしょ」
もう一人の女性兵がツッコむように訂正するような事を言う。
「…確かに、寝る間も惜しんで馬を走らせないと明日の昼までに着くかも怪しい…」
「…そうか…分かった、ありがとう」
彼は受付の女性兵にお礼を言うと建物から出た。
「…時間が空いたんだ、良い機会だと捉えて土産でも探すか…召喚スキル『シュリオ』『ライド』」
ため息を吐きながらブツブツと呟いたかと思えばスキルを使って召喚獣を出現させて乗り込んだ。
「俺を信じられないんなら、それでもいいさ…手を引く事になるがしょうがない」
そうなるとどうなるかは火を見るより明らかだと思うがな、と男はテーブルに乗せた足を退かして立ち上がる。
「なんだと!?この状況で手を引くだと…!?そもそもこの侵攻作戦は貴様が言い出した事だろう!」
「そうだ、だから俺は手を貸してやった…今も作戦を提案したじゃないか」
おじさんが責めるように言うが男は意に介さずに返す。
「くっ…!確かに、貴様のおかげで侵攻作戦がここまで進んだのは事実…おい!人を集めろ!至急王都の前に陣を敷く!」
「はっ!」
おじさんは苦虫を噛み潰したような顔をしながらも兵に指示を出す。
「そう、それで良いんだ。俺の言う通りにしてればな…くっくっく…存分に楽しませてくれよ…?」
その様子を見て男は満足したように笑い、まだ見ぬ敵に期待した呟きを漏らした。
…翌朝。
まだ日が昇る前の薄暗い時間帯に彼は目を覚ますと直ぐに顔を洗う。
そして準備を済ませると兵士達が休んでいる建物へと歩いて行く。
「!コレは枢機卿殿!おはようございます!」
彼が建物の中に入ると…カウンター越しに座って居た受付の女性兵の一人が彼の表示に気づき、立ち上がって敬礼する。
「王都を奪還するための作戦はどの程度進んでいる?」
「え?あ…王都奪還作戦の件ですか?確認してみます!」
彼の問いに女性兵はテーブルの上の資料や机の中の資料を確認し始めた。
「…おかしいな……少しお待ち下さい」
女性兵は首を傾げると断りを入れて奥の部屋へと向かう。
…それから5分後。
「連絡が取れました!今、既に王都に向けて進軍中だと」
「いつ頃に着きそうだ?」
「昨日から出発したそうなので…早くても明日の昼ごろだと思われます」
「…昼、だと…?」
今日中には終わるだろう…という彼の甘い見通しは女性兵の一言で見事に打ち砕かれる。
「そんなにかかるものなのか?昨日から移動しているのだろう?」
「…ココからでも王都までは馬でも早くて明日の昼ごろにはなりますから、他の場所から集まるのならかなり早い方だと思いますけど…」
怪訝そうな表情で尋ねた彼に女性兵は驚きながらも若干ヒいたように答えた。
「…なんて事だ…今日中には終わると思っていたのに…」
「…この村から王都までは100km以上離れてますので、今出発しないとそもそも今日中に着くのすら難しいかと…」
落ち込んだような彼の呟きに女性兵は、こいつ馬鹿じゃないの…?と思いつつもその様子を外に出さないよう、なんとも言えないような表情で告げる。
「いや、そもそも直線距離で約100kmだから…最短ルートでも着くのに早くて二、三日はかかるでしょ」
もう一人の女性兵がツッコむように訂正するような事を言う。
「…確かに、寝る間も惜しんで馬を走らせないと明日の昼までに着くかも怪しい…」
「…そうか…分かった、ありがとう」
彼は受付の女性兵にお礼を言うと建物から出た。
「…時間が空いたんだ、良い機会だと捉えて土産でも探すか…召喚スキル『シュリオ』『ライド』」
ため息を吐きながらブツブツと呟いたかと思えばスキルを使って召喚獣を出現させて乗り込んだ。
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