料理人がいく!

八神

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番外編『魔法使いがいく!』

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…作戦が完了すると辺りがすっかりと暗くなる時間帯に。


一日でA国の戦況をひっくり返した彼は王族や政府要人達からパーティに出席するよう頼まれたものの…拒否して疲れを取るために宿屋で眠りにつく。


その頃、B国が略奪した王都では…


「バカな!全滅だと!?一体何があったと言うんだ!!」


作戦室で『司令官 Lv21』と表示されているおじさんが兵士の報告を聞いて取り乱したように叫んでいた。


「わ、分かりません…報告では、気づいた時には既に壊滅していた。との事で…!」

「5万余りの軍勢を配置していたんだぞ!それが気づいた時には…だと!?」

「私に申されましても…」

「くっくっく…面白くなって来たじゃあないか」


おじさんの激昂した様子に兵士が戸惑うと、椅子を後ろに傾けてテーブルに足を乗せて座っている男が笑いながら呟く。


「面白いだと!?」

「おそらくは魔導協会からの援軍だろう…結果から考えて魔導師を割いたか…」


『聖騎士 Lv36』と表示されている男はおじさんに睨まれても、どこ吹く風…といった様子で予想する。


「魔導師…!?い、いや、ソレにしても早すぎる!援軍が決定したのは昨日だろう!」

「…近くにいたか、前々からの援軍要請を受けて近くに来たか…いずれにしてもここまでの所業を出来る魔術師がいるとは思えない」


…いや、数が揃えば可能かもしれないな…と、男は慌てふためいてるおじさんとは対照的に冷静な判断をした。


「そうか…!おい!魔術師が結集したとかの情報は無いのか!?」

「…そのような報告は挙がっていません…他の村や町から魔術師が一カ所に集まる、という情報も報告にはありません」

「…くっ、魔術師が集まれば目立つハズだ!目撃情報が無いか調べろ!」


兵士に確認を取るも紙をペラペラ見ての答えにおじさんは焦ったように指示を出す。


「はっ!」

「無駄無駄…やめときな。今言ったように目立つ行動が事前に知られてないんだ、無いものは調べても出てこないだろうよ」


敬礼して出て行く兵士を引き止めるように男はそう告げる。


「…だとしたらやはり魔導師か…!どうする?相手に各地の兵を集められたら駐留してる兵だけでは…」


おじさんは男の予想の一つにあたりを付けると戦力差を分析し始めた。


「ココにはどれぐらいの兵が居るんだっけ?」

「…約二万余りだ」

「それだけ居れば上等だな、王都の前に陣を敷いて迎え討った方が良さそうだ」

「なっ…!」


男の提案におじさんは絶句する。


「正気なのか!?そうなるとココの防衛はどうなる!?」

「最低限の兵と俺が居れば心配は無いと思うが?」

「ぐっ…!だが、正面に陣を敷くと左右と後方に隙が…」

「相手は今勢いに乗ってる状況だ、南側に集まっている戦力でそのまま進軍するハズ…包囲するにしても各地の兵をそのまま出すだろう」


正面以外の敵はどうせ敗残兵の集まりでたかが知れている、俺の敵じゃあ無い。と男はおじさんの問題点を解決するかのような事を言った。


「…いくら聖騎士とは言え、数の攻めにはどうしようもないんじゃないのか?迎撃してる間に別の方向から王都が攻め込まれたらどうするつもりだ?」

「どうしようもないな、撤退して重要な拠点を防衛するだけだ」


おじさんが予想する最悪の展開についての対策を尋ねるも男は適当な感じで答える。


「それでは戦力の差で長期戦になれば勝ち目はない!」

「ならば本国からの援軍を今の内に要請しておくんだな、到着まで守り切れば勝てるだろう?」


おじさんの悲観的な予想に男は増援を頼むよう提案した。
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