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どこに?

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「簡単に言えば、最も大きな円の外に、新たに今まであった円を含むそれ以上の大きさの円を創り出すのか、それとも今まで存在していた円を除外した完全に接点を持たない円を創り出そうとしているのか? まあ、どちらにしても私達ではそれを観察する手だけが無いのですが…」
 大きなため息と共にリリアさんが吐き出した言葉は、そのため息の大きさ以上に深刻な問題に聞こえた…。
 聞こえただけだよ? だって、俺にはどうなってるか見えないんだもん!
 ん~~~っと、この局長の悪行を止めるには、どうしたらいいんだろうかねぇ。

 あれ? ちょっと待てよ…?
「んじゃ、何で管理局とか統括庁とかって、魂とかエネルギーを管理できるの?」
 確か、輪廻転生システムで魂を次の肉体に宿らせたり、輪廻の輪から外れた魂を統括管理してたりしてたはずだけど?
「もちろん例外はいくつか存在します。私は先ほど、『自分が存在しているボールとは別のボールに干渉する事は普通は出来無い』と申し上げました」
 確かに…。
 いくら管理局でも統括庁でも、円の中の人とかの生死の全てを把握して無いはず。
 だったら、魂は円の束縛を離れるて一番外側まで飛んで行くの…かな?
「魂とそれに付随するエネルギーに関しては、その普通ではない例外となり、あらゆる次元世界の壁を越える事が出来ます。ただし、あらゆる世界の束縛から逃れられはしますが、輪廻転生システムからは逃れられません。そこからさらに逃れられるのは、システムの束縛から解放された魂…つまりは解脱とか覚醒した魂だけです」
「って事は?」
「もしも貴方が覚醒した魂だけになれば、どこへなりとも好きな所に行ける…可能性があるって事です」
 可能性はある…か。
 基本的には、管理局か統括庁のどっちかに縛られてるって事ね。
「結論としましては、本当の意味であらゆる次元世界へと移動でき干渉できる存在は、覚醒した者が魂だけであり、それは普通ではないという事です」
 まあ、何となく理解は出来たよ。

 あらゆる世界に、新たなる肉体を生み出し育むダンジョンマスターを擁する解放魂魄統括庁と、その育まれた肉体に輪廻転生システムが魂を宿す。
 確かに普通という言葉で括れる範囲の奴らに出来る様なもんじゃないな。
 しかも、やり方とか理屈は良く分からんけど、ダンジョンマスターは魂に近い物さえも生み出す事が出来るらしいって事も前に聞いた事あったし…。 
 そもそも、俺のエネルギーを対価にして他の世界から俺のイメージした物に近い物を引っ張ってきたり改良したりとか出来てた局長が普通って事はないよな。

「そもそも、その最上位の世界は元々は何も無い『無』の世界でした。そこに存在していた『何者』かが、何らかの切っ掛けで破裂してこの無数の次元世界が出来上がったのです」
 それは、むか~しに聞いた気がする。
「破裂した『何者』かは、外では無く内側に向かって破裂したと聞いておりますが…おかしくありませんか?」
「それは確かにおかしい…な」
 爆発ってのは、一点から放射状に衝撃とか破片が散らばるもんだ。
 内側にだけ向かって破裂なんてありえるのか?
 いや、これは俺の中に存在する常識だ…もしかしたらあり得るのかも…。
「そうです、おかしいのです!」
 言い切るんかい!
「実は、『何者』かは中心で破裂したらしいのです」
 ほう?
「その破片が球状に拡散していき、やがて世界の終点…つまりはボールの皮の内側にぶち当たり、反射されて中心に向かって戻って来たと、ダンジョンマスター達は考えた様です」
 おっと、それなら分からんでもないな。
「つまり、勢いのある全ての欠片は…やがて中心に集まる事はずです」
「って事は…どうなるん?」
「さぁ? そんなの分りませんよ。ただ、反射してくるほどの勢いや質量を持たない欠片達や、どこかの世界の肉体に入り込んでいた欠片達は、引力に引かれるいようにある一点に向かって集まってきておりますが」
 集まってるん?
「それって…どこに?」
「もちろん、貴方にです」
 えええええええええええええええええええええええええええ!!!??? 
「もう、貴方には数千もの欠片が入り込んでますよ?」
「マジで!?」
「その中の力のある欠片が他の欠片を合併吸収し、あなたにも分かる形で貴方自身に影響を及ぼしていますし」
 …?
「魂のエネルギーがとんでもない事になっている…って事?」
「いえ、もちろんそれもありますが、一番はあなたが並列思考と呼んでいる能力がそれにあたります」
 はっ?
「えっと、俺が色々と頑張ったから、並列思考が出来るようになったんじ…」
「違います」
 めっちゃ食い気味に否定された!?
「貴方に引かれて貴方に同化した他の欠片達が、貴方の思考を並列化しただけです。肉体的に脳が1個しかないのに、思考の並列化なんて出来るはずありません!」
 ひぃぃぃん! おこらりたーーー!
 ってか、あれは俺の能力じゃ無かったんかーーーい!
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