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第二章

躓く石も縁の端01

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「あーこれで大丈夫かなぁ?」

一人の魔族の少年が、両手に大量の荷物を抱えて長い長い城の廊下を歩いていた。
灰色の短髪で髪を立たせてオデコを出して、三白眼で目付きが悪い。
歳を十四つ数えたくらいの少年だ。
彼は袖の短めなチュニックの上に着古したベストを着、破れ気味のブレと言うズボンを履いている。
そんな少年は買って来た荷物を見詰め、先程の事を思い出していた。
と言うのも今から五時間半ほど前に彼は魔王の右腕であり、国の宰相であるハクイに急に呼ばれた。
最近入ったばかりのまだ若輩者である自分にいったいなんの用かと急いで向かい言われたのが……

「今すぐ人の里へ行き、ここに書かれてある物を買って来なさい。今すぐです」

そう言われ、渡されたメモを読む。

「えーと、えーええ? ハクイ様……」

少年は戸惑いながらハクイを見上げる。

「どうした?お前なら《あちら》に詳しいだろう?」
「いえ、その、ハクイ様、子供でも出来ました?」
「なんでわたくしに子供が出来るんですか。わたくしじゃありません。魔王さまが人間の赤ん坊を拾って来たのです。お前も噂ぐらい聞いているでしょう」

確かに噂は聞いていたが、まさか本当だったとは、少年は紙に書いてある物がなんなのかよく知っていた。
信じられないがこの赤ん坊のアの字もない魔族の領土に本当に人間の赤ん坊がいるのだと思うしかなかった。

「その赤ん坊の子守りに人間を一人連れて来ました。それはその者が要求している物です。今すぐ必要らしいので、早急に頼みます。これは《あちら》の硬貨です。あぁお釣りはお前の小遣いにして構いません。好きな菓子でも買いなさい」
「ハクイ様、一ついいですか?」
「なんです?」
「その人間が買いに行った方が早いんじゃ……」
「魔王さまが魔力を使いすぎて高度な結界を作れないのです。全くあの人と来たら無駄に結界をはりまくるのですから、止めるこっちの身にもなって貰いたいものです」

そう言ってため息をつくハクイに少年は申し訳なさそうに言う。

「あの、それならハクイ様が結界をかけてあげればいいのでは」
「ハハわたくしが?何を言ってわたくしが……」

ハクイは固まった。

「…………」
「…………」

どうやら自分もそれだけの魔力がある事をスッカリ忘れていたらしい。

「ハクイ様ってたまに抜けてますよね」
「っいいから早く行け!」
「はっはいい!!」

怒ったハクイから逃げるようにその場をあとにし、城の者に力を借りて大急ぎで出掛け戻って来た。

そして少年は今、だだっ広い城の中をハクイを探して歩いている。



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第二章 躓く石も縁の端

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