魔王と王の育児日記。(下書き)

花より団子よりもお茶が好き。

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第二章

躓く石も縁の端02

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かれこれ四十分以上城の中を歩き回っている訳だが、不思議な事に誰とも会わないうえ、いつまでたってもハクイの部屋につきそうにない。

「お、おかしいな。確かこっちのハズじゃ」

角を曲がると、外の庭が一望出来る開けた場所に出た。

「えー、ここ知らない。まさかオレ、迷ってる…?」

目の前には柱の間に壁がなく外部に開放されている吹き抜けが。
少年は自分がいる位置を確かめようとその吹き抜けから身をのりだして周りをぐるっと見渡す。
少し離れたところからほぼずっと辺りは森だ。

「ん~三階ぐらいかな?あ、あそこに花壇がある。で、あっちが多分オレが入って来たほう…なんだろうか」

少年は吹き抜けから離れて困ったと頭をかく。

「あーハクイさまあ~ここ何処ですか~? 何処にいますか~?」

しーん。

先のみえない廊下の向こうに向かって少し声を上げてみたが、何一つ返事は返ってこない。

「……当たり前か」

少年は一度床に置いた沢山荷物が入った大きな布の袋を「よいしょ」と持ち直す。

「早急って言ってたし、きっと赤ちゃんも子守りの人も困ってる。とにかく急ごう」

歩き出すと振動で中の荷物が移動し、貰った駄賃で買ったお菓子が袋から顔をだす。

「ハクイ様にもあげるんだ。これ美味しいし、きっと喜んでくれる」

ふと、自分に買うといいって言ってくれたのにハクイ様にもあげたら怒るだろうか。と思ったが、そんな事はないと思い直す。

「ハクイ様、優しいから大丈夫。たまに抜けてるけど、大丈夫」

少年はここに来てまだ日が浅い。
つい最近まで森の中をただ一人でこの城に向かって歩いていた。
そんな時、たまたま野暮用で通りかかったハクイが少年を見つけ、拾ってくれたのだ。


『こんな所で何をしてるんです。困っているならわたくしの所に来るといい。さぁ』


そう言って差し出された手を、少年はしっかりと握り返した。
あの時の事は今でも覚えている。
今まで住んでいた所から一人、離れざるおえなくなって、不安をかかえながらも、あるはずの城を目指してただひたすら森の中を歩いていた。
一度も行った事がない、話でしか聞いた事のない、果たして行ってみたところで自分は受け入れて貰えるだろうか?

そんな不安を、ハクイが全部取っ払ってくれた。
だから少年はハクイを凄く慕っている。


「よっし! 行くぞ!」


少年は気合いを入れ直して長い長い廊下をまた歩き出す。



 一方その頃。

赤ちゃんと子守りと魔王はと言うと――。


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