48 / 55
反逆のギルド長
しおりを挟む
リサさんは王宮に入る。
門兵たちと顔見知りらしく、なぜか顔パス通でされるリサさん。
どうなってるの?
王宮に入るとリサさんは迷いもせずに王子の部屋に乗り込んだ。
そして、机で書き物をしている王子を見つけると……。
「トーマス! てめー、私との約束を破って戦争を企ててるんだってな!」
キョトンとする王子。
僕もマイカ姉ちゃんも口あんぐりだ。
なんでトーマス王子に向かって呼び捨てなんだよ?
しかも口調がいつもにも増して乱暴だし!
庶民である僕でさえ君付で呼んでるぐらいなんだから、王子は『様』かせめて『さん』を付けて呼ぼうよ。
するとリサさんは「私とトーマスは親友なんだから呼び捨てで構わないんだ」と言い放つ。
とんでもないことを言って僕の忠告を笑い飛ばした。
王子もうんうんと頷いている。
「僕が戦争なんて起こすわけないじゃないか。農民になって野盗に脅される生活とか絶対嫌だし」
「だろうな。ヘタレなトーマスが戦争を起こす気なんて気がないのは最初からわかっていた。念のために確認してみただけだ。悪く思うな」
戦争を起こすと王子が農民になる理屈が今一つわからないけど、王子は戦争を起こす気はなさそうなのだけはわかった。
「でもトーマス、私が懇意にしているリタリフの錬金術ギルドなんだが、戦争に備えて王都の錬金術ギルドにポーションが接収されて困っているみたいだぞ。本当に戦争の準備をしてないんだよな?」
「そんなことある訳がないよ。きっと錬金術ギルドの独断だ。ここは僕に任せて欲しい」
王子の行動は素早かった。
すぐに将軍と金庫番の蔵相を連れて錬金術ギルドに行き、犯人の洗い出しを始める。
事情聴取の結果、すべての者が同じ人物の名前を挙げた。
ギルド長のガインズだ。
指示はギルド長のガインズから出ていて、接収したポーションは外国へ送られていたことが判明した。
「あの野郎! 勝手に戦争を起こそうとしてたのか。許さない!」
今まで温厚だった王子が初めて怒っている。
「でも王子様。事が公になる前に解決できて良かったですね」
「ああ、もし戦争にでもなったら、僕も国民も大変なことになっていた」
ガインズはすぐに拘束された。
言い訳をするが、証拠はすべてそろっているうえに、国の上層部が集まっていてはそれも無意味だ。
「俺は悪くない。アーキが悪いんだ! このガキがわしの人生最後の晴れ舞台の大賢者の座を奪うから……」
蔵相が呆れた顔をして予想を立てる。
「大方、錬金術ギルド長のガインズは大賢者マーリンの後継者になれなかったことで、外国にこの国を売ろうとしてたでしょうな」
ポーションを接収し続けて国内のポーションの在庫をなくし軍の戦力を削ぎ落す。
そして、敵の侵入口を開きバーナリアを占領。
占領後は功労者としてガインズが新国王を名乗る。
そんな浅はかな考えだったようだ。
軍に詳しくないガインズは最近軍隊が強化されたことを知らなかったんだろう。
今の軍隊の軍事力ならば敵国からこの国を守るのにポーションなんて要らない。
「リサさん、ポーションの接収騒動の解決はこんなところでよろしいでしょうか?」
「うむ、さすが私の親友だ。褒めてやる」
「じゃあ、僕と結婚を前提にお付き合いしてもらえますか?」
「この程度のことで求婚してくるなぞ、まだまだ甘い!」
「すいませんでしたー」
リサさんにどやしつけられて土下座するトーマス王子。
王子を土下座させる庶民てどんな関係?
よくわからない。
結局ギルド長は反逆罪で逮捕され、裁判の末に断頭台の露と消えた。
アーキが幸運を以て頭角を現す前までは、次期大賢者と呼ばれていた男の末路だった。
クーデターを未然に防ぎ、首謀者を倒す。
アーキの幸運は荒ぶりまくっていた。
門兵たちと顔見知りらしく、なぜか顔パス通でされるリサさん。
どうなってるの?
王宮に入るとリサさんは迷いもせずに王子の部屋に乗り込んだ。
そして、机で書き物をしている王子を見つけると……。
「トーマス! てめー、私との約束を破って戦争を企ててるんだってな!」
キョトンとする王子。
僕もマイカ姉ちゃんも口あんぐりだ。
なんでトーマス王子に向かって呼び捨てなんだよ?
しかも口調がいつもにも増して乱暴だし!
庶民である僕でさえ君付で呼んでるぐらいなんだから、王子は『様』かせめて『さん』を付けて呼ぼうよ。
するとリサさんは「私とトーマスは親友なんだから呼び捨てで構わないんだ」と言い放つ。
とんでもないことを言って僕の忠告を笑い飛ばした。
王子もうんうんと頷いている。
「僕が戦争なんて起こすわけないじゃないか。農民になって野盗に脅される生活とか絶対嫌だし」
「だろうな。ヘタレなトーマスが戦争を起こす気なんて気がないのは最初からわかっていた。念のために確認してみただけだ。悪く思うな」
戦争を起こすと王子が農民になる理屈が今一つわからないけど、王子は戦争を起こす気はなさそうなのだけはわかった。
「でもトーマス、私が懇意にしているリタリフの錬金術ギルドなんだが、戦争に備えて王都の錬金術ギルドにポーションが接収されて困っているみたいだぞ。本当に戦争の準備をしてないんだよな?」
「そんなことある訳がないよ。きっと錬金術ギルドの独断だ。ここは僕に任せて欲しい」
王子の行動は素早かった。
すぐに将軍と金庫番の蔵相を連れて錬金術ギルドに行き、犯人の洗い出しを始める。
事情聴取の結果、すべての者が同じ人物の名前を挙げた。
ギルド長のガインズだ。
指示はギルド長のガインズから出ていて、接収したポーションは外国へ送られていたことが判明した。
「あの野郎! 勝手に戦争を起こそうとしてたのか。許さない!」
今まで温厚だった王子が初めて怒っている。
「でも王子様。事が公になる前に解決できて良かったですね」
「ああ、もし戦争にでもなったら、僕も国民も大変なことになっていた」
ガインズはすぐに拘束された。
言い訳をするが、証拠はすべてそろっているうえに、国の上層部が集まっていてはそれも無意味だ。
「俺は悪くない。アーキが悪いんだ! このガキがわしの人生最後の晴れ舞台の大賢者の座を奪うから……」
蔵相が呆れた顔をして予想を立てる。
「大方、錬金術ギルド長のガインズは大賢者マーリンの後継者になれなかったことで、外国にこの国を売ろうとしてたでしょうな」
ポーションを接収し続けて国内のポーションの在庫をなくし軍の戦力を削ぎ落す。
そして、敵の侵入口を開きバーナリアを占領。
占領後は功労者としてガインズが新国王を名乗る。
そんな浅はかな考えだったようだ。
軍に詳しくないガインズは最近軍隊が強化されたことを知らなかったんだろう。
今の軍隊の軍事力ならば敵国からこの国を守るのにポーションなんて要らない。
「リサさん、ポーションの接収騒動の解決はこんなところでよろしいでしょうか?」
「うむ、さすが私の親友だ。褒めてやる」
「じゃあ、僕と結婚を前提にお付き合いしてもらえますか?」
「この程度のことで求婚してくるなぞ、まだまだ甘い!」
「すいませんでしたー」
リサさんにどやしつけられて土下座するトーマス王子。
王子を土下座させる庶民てどんな関係?
よくわからない。
結局ギルド長は反逆罪で逮捕され、裁判の末に断頭台の露と消えた。
アーキが幸運を以て頭角を現す前までは、次期大賢者と呼ばれていた男の末路だった。
クーデターを未然に防ぎ、首謀者を倒す。
アーキの幸運は荒ぶりまくっていた。
応援ありがとうございます!
1
お気に入りに追加
128
1 / 5
この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる