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ホムのお願い
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マーリンの隠れ家に戻って来た僕たち。
師匠も一緒に戻って来たんだけど、明後日に大賢者会議があるのでもう一度王都に戻らないといけないので二度手間だ。
あまり若くないので旅の疲労で師匠の身体が少し心配だ。
「でも今は飛竜があるから移動がかなり楽になったのう」
師匠は飛竜に乗るのが苦手で基本的に馬車を使っての移動だったけど、ここのところ乗り続けていたのもあってかなり慣れて来たみたいだ。
屋敷の居間で師匠とホムと一緒に紅茶を飲みながら、ほっと一息をつく。
「やっと屋敷に戻ってこれましたね」
「ああ、ホッとするのう」
師匠は紅茶を一口飲むと話を続ける。
「リタリフのギルドの問題は全て片付いたかのう?」
「リタリフのギルドへの嫌がらせとクーデターを画策していた元凶のガインズが捕まったのでもう問題は怒らないと思いますよ」
承認欲求が強すぎるガインズが師匠の弟子になれなかったことで起きた今回のクーデター騒動。
そのクーデターをアーキの幸運が未然に防いだ。
ガインズは反逆罪で即日処刑され、もうこの世にはいない。
これで、事件は全て解決したはずだ。
呆れたような表情で師匠がつぶやく。
「それにしてもアーキはわしの弟子になって日が浅いのに王子を連れてくるは、アーキの人脈はどうなっておるんじゃ?」
あれは僕の人脈じゃなく、リサさんの人脈なんだけどね。
ポーション売りの商人がなんで王子と知り合いなのか謎だ。
おまけに王子はリサさんに心の底から惚れているみたいで、プロポーズ迄しているみたいだし、本当にどうなっているのか僕が問い詰めたいぐらいだ。
ホムが師匠にお願いした。
「ホム、師匠にお願いがある」
「なんじゃ?」
「ホム、アーキと子づくりをしたい」
ぶほっ!
師匠も僕も紅茶を噴き出した。
「こ、子づくり?」
師匠は息が止まりそうになった胸を押さえながら、口あんぐりになりながら聞き返す。
「子作りしたいじゃと?」
「間違った。ホムはアーキと婚約したい」
「ほう、婚約か。わしとしては、わしが死んだ後にホムが一人になってしまうのが心配でならんのでそれは大歓迎なんじゃが、アーキの気持ちはどうじゃ?」
「僕としてはホムとの婚約は大歓迎なんですが、既にメアリーさんというリタリフに住む女の子と婚約してるんですよね」
「その相手のメアリーさんはホムのことを知っておるのか?」
「ええ、メアリーさんはホムも嫁にすることは納得してくれています」
師匠はホムの目を見ながら語り掛ける。
「ホム、アーキを独り占めには出来ないじゃが、それでもいいのじゃな」
「うん、ホムはそれでいい」
「なら、わしとしては反対する理由はないのう」
それを聞いたホムはぴょんぴょん跳ねて大喜びだ。
「やったー! ホムとアーキの婚約をマーリン様に認めてもらえた」
師匠は立ち上がると、僕らについてくるように言った。
「今日は婚約祝い代わりに、二人にわしのとっておきの技を伝授してやるかの」
屋敷の庭にやって来た僕ら。
「では、わしの奥義の……」
その時!
屋敷の門でまばゆい光が光る!
「これがマーリン様のとっておき?」
「ちがう!」
光が落ち着くと、光の中からゴーレムの軍団が現れた。
「敵襲じゃ!」
「ホム、知っている。あれはポータル」
ポータルとは次元を捻じ曲げ長距離を移動する門《ゲート》のようなもの。
主に移動に用いられ、今回のような巨大なものは軍用だ。
ゴーレムは戦闘系30体、魔道系20体、補助系10体の大軍団。
さらに上空を飛び始めた飛行タイプのゴーレムが30体。
一国を亡ぼせるぐらいの戦力がマーリンの隠れ家の屋敷に送り込まれてきた。
いったいどうなっているんだ?
そして、凄まじい魔力をほとばしらせた男が現れた。
ローブを着、杖を持った男。
おそらくは大魔導士だ。
その魔導士がゴーレムを引き連れて単騎で屋敷に乗り込んできたのだ!
今まで見たことのないヤバいオーラを纏った男は杖を僕に突きつける。
「アーキ、てめえをぶっ殺す!」
見知らぬ男は僕を名指しで殺すと言い放った。
師匠も一緒に戻って来たんだけど、明後日に大賢者会議があるのでもう一度王都に戻らないといけないので二度手間だ。
あまり若くないので旅の疲労で師匠の身体が少し心配だ。
「でも今は飛竜があるから移動がかなり楽になったのう」
師匠は飛竜に乗るのが苦手で基本的に馬車を使っての移動だったけど、ここのところ乗り続けていたのもあってかなり慣れて来たみたいだ。
屋敷の居間で師匠とホムと一緒に紅茶を飲みながら、ほっと一息をつく。
「やっと屋敷に戻ってこれましたね」
「ああ、ホッとするのう」
師匠は紅茶を一口飲むと話を続ける。
「リタリフのギルドの問題は全て片付いたかのう?」
「リタリフのギルドへの嫌がらせとクーデターを画策していた元凶のガインズが捕まったのでもう問題は怒らないと思いますよ」
承認欲求が強すぎるガインズが師匠の弟子になれなかったことで起きた今回のクーデター騒動。
そのクーデターをアーキの幸運が未然に防いだ。
ガインズは反逆罪で即日処刑され、もうこの世にはいない。
これで、事件は全て解決したはずだ。
呆れたような表情で師匠がつぶやく。
「それにしてもアーキはわしの弟子になって日が浅いのに王子を連れてくるは、アーキの人脈はどうなっておるんじゃ?」
あれは僕の人脈じゃなく、リサさんの人脈なんだけどね。
ポーション売りの商人がなんで王子と知り合いなのか謎だ。
おまけに王子はリサさんに心の底から惚れているみたいで、プロポーズ迄しているみたいだし、本当にどうなっているのか僕が問い詰めたいぐらいだ。
ホムが師匠にお願いした。
「ホム、師匠にお願いがある」
「なんじゃ?」
「ホム、アーキと子づくりをしたい」
ぶほっ!
師匠も僕も紅茶を噴き出した。
「こ、子づくり?」
師匠は息が止まりそうになった胸を押さえながら、口あんぐりになりながら聞き返す。
「子作りしたいじゃと?」
「間違った。ホムはアーキと婚約したい」
「ほう、婚約か。わしとしては、わしが死んだ後にホムが一人になってしまうのが心配でならんのでそれは大歓迎なんじゃが、アーキの気持ちはどうじゃ?」
「僕としてはホムとの婚約は大歓迎なんですが、既にメアリーさんというリタリフに住む女の子と婚約してるんですよね」
「その相手のメアリーさんはホムのことを知っておるのか?」
「ええ、メアリーさんはホムも嫁にすることは納得してくれています」
師匠はホムの目を見ながら語り掛ける。
「ホム、アーキを独り占めには出来ないじゃが、それでもいいのじゃな」
「うん、ホムはそれでいい」
「なら、わしとしては反対する理由はないのう」
それを聞いたホムはぴょんぴょん跳ねて大喜びだ。
「やったー! ホムとアーキの婚約をマーリン様に認めてもらえた」
師匠は立ち上がると、僕らについてくるように言った。
「今日は婚約祝い代わりに、二人にわしのとっておきの技を伝授してやるかの」
屋敷の庭にやって来た僕ら。
「では、わしの奥義の……」
その時!
屋敷の門でまばゆい光が光る!
「これがマーリン様のとっておき?」
「ちがう!」
光が落ち着くと、光の中からゴーレムの軍団が現れた。
「敵襲じゃ!」
「ホム、知っている。あれはポータル」
ポータルとは次元を捻じ曲げ長距離を移動する門《ゲート》のようなもの。
主に移動に用いられ、今回のような巨大なものは軍用だ。
ゴーレムは戦闘系30体、魔道系20体、補助系10体の大軍団。
さらに上空を飛び始めた飛行タイプのゴーレムが30体。
一国を亡ぼせるぐらいの戦力がマーリンの隠れ家の屋敷に送り込まれてきた。
いったいどうなっているんだ?
そして、凄まじい魔力をほとばしらせた男が現れた。
ローブを着、杖を持った男。
おそらくは大魔導士だ。
その魔導士がゴーレムを引き連れて単騎で屋敷に乗り込んできたのだ!
今まで見たことのないヤバいオーラを纏った男は杖を僕に突きつける。
「アーキ、てめえをぶっ殺す!」
見知らぬ男は僕を名指しで殺すと言い放った。
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