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秋葉の信頼相手への警告ー殿山
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「秋葉」
なんとか秋葉達に追いついた
「殿山、どうした」
「いや、その……さっきの九条様の……」
「αってのも難儀なものだな」
「………」
何て、いえば良いのが分からずになんとなく後ろを着いていく。
「ねえねえ、九条様って智則のことが好きなんじゃないの?流石になんか友達に対してって感じじゃない気がするんだけど」
「いやー、それはないだろう最上位αだぞ?趣味友だ。」
空気の読めない佐久間がいう。
「そうだよね。βは下位αの単なる遊び相手……ってごめん、殿山くん。」
β同士の気軽い会話に殿山がいたことを思い出したのだろう。
「いやいいよ気にしないで。俺は自分のこと、α様だなんて思ってないし、あ、でも、好みはΩ女性です!」
『βは下位αの遊び相手にされる』という認識が世間一般にある。
高位αは、執着を理解できないβに本気にならないように、そういう意味では近づかないようにしている。β達には、そんな理由があるなんて知らず、高位になるほどΩを求める、としか認識されてないようだけど。
だから九条様クラスにまでになると、あれ程アピールしていてもバイアスが働きβには全スルーされる。
下位αがあの勢いでアピールしていたら、流石にβのクラスメイトも察したろうけど。ああ、コイツ、智則とヤリたいんだろな、と。
とはいえ、実際には、九条様は、秋葉とヤリたいわけで。いや、どちらかというと、週末までに警告マーキングしたいわけで。
どうするべきか。
「でもびっくりしたね、九条様のあの一族郎党」
「どこの時代劇って思ったわ俺」
佐久間の言葉に曖昧な笑みを返す秋葉へ警告をしておくことにした。
九条様のあれは本気だ。週末に会うその相手と秋葉がどういった関係なのは不明だが、何かあれば、その相手は無事では済まされない
「βは高位αの執着を舐めすぎているんだよ」
秋葉ははっきりと顔を歪ませた
「またまた~殿山まで」
「佐久間くん。本当なんだ。高位αの番に手を出したものに未来は本当にない。これだけ戦争が起きている世の中で、戦犯の最大の弱点の番が何故狙われないかわかるか」
「守られているからだろう?」
「違うよ。高位αは番を失うと狂うんだ。全てを巻き添えにして自殺することがある。歴史に出ていただろう、英雄と言われた アルバート大佐は国の建て直しを誓って活動していたが、番を暗殺されてからは、変わってしまった。全土に生物化学兵器をばらまいた。犯人を洗い出せない国なんていらないもんね。この国だと綾小路か。運命の番に出会った時、番様は虐待されてて、酷い有様だったと。綾小路は同じ思いを1ミリでも関わりのある人に死ぬまで行なった。例えば、番様の同級生の10親等まで。もう、一族郎党みたいなもんだろ?かの有名な遠野大虐殺だ」
「……」
「九条様が、同じ事を行うとは限らないけど、同じ位、番様に執着されるのは予測される。奪われればその時そばにいた者全てを許さないだろう……秋葉も思い当たる節があるから、顔を強張らせているんだろ?」
「え、何?智則そんなのがあるの?」
「高校時代の先輩のΩがちょうど綾小路のつがい様と同じ状況にあった。先輩に手を出していた本人とその家族の消息は不明。調べたけど何も出てこなかった」
「…………」
「だから俺は九条に伝えたんだよ。俺も他のβも九条のΩに手を出したりしない。幸いにも、βの伴侶は特定の一人ではない。その人との未来がないなら、別の人との未来を探せる。βの伴侶とは、お互いの未来の為に成長しあえる関係を結べる相手だ」
秋葉、そうだよ。だから、αはβと本気の恋愛はしたくないんだよ。
Ωであれば、噛んでしまえばずっと唯一でいられる。
βは違う、いつでも違う相手との未来を探せる。αはそれが怖いのだ。
ため息が出た。
「どうした?」
「いや、高位αってのも難儀なもんだな、と。」
「……そうだな」
思いっきり秋葉に憐れまれた。
うん、じゃあそれを利用しよう。
「秋葉~。俺、明日九条様の所にお呼ばれしてるんだよ。あの状態の九条様に」
「………」
「気の毒だと思わない?」
「わかったよ」
やった。
翌日、大学に現れた秋葉は今迄以上に九条様の気配を残していた。
抱き潰しはしかなったものの、最大限の警告マーキングを九条様はしてきた。
秋葉に思いを寄せていたαは一様に体調を崩して医務室へと逃げ出した。他のαも近づくだけで、動悸と息切れに悩まされる為、近づく事すら困難だ。暫くは大半のαがリモートになるだろう
土曜日に会うというαもどれだけ耐性があるのか。医務室に逃げ込んだαには中位の者もいた。高位であれば、なまじ唯一への執着が強いだけに、逃げ出したい本能との葛藤になるだろう。高位αで無い事をいのるが、この秋葉が頼る様な相手だ。高位に決まっている。
ああ、嫌な予感しかしない。
なんとか秋葉達に追いついた
「殿山、どうした」
「いや、その……さっきの九条様の……」
「αってのも難儀なものだな」
「………」
何て、いえば良いのが分からずになんとなく後ろを着いていく。
「ねえねえ、九条様って智則のことが好きなんじゃないの?流石になんか友達に対してって感じじゃない気がするんだけど」
「いやー、それはないだろう最上位αだぞ?趣味友だ。」
空気の読めない佐久間がいう。
「そうだよね。βは下位αの単なる遊び相手……ってごめん、殿山くん。」
β同士の気軽い会話に殿山がいたことを思い出したのだろう。
「いやいいよ気にしないで。俺は自分のこと、α様だなんて思ってないし、あ、でも、好みはΩ女性です!」
『βは下位αの遊び相手にされる』という認識が世間一般にある。
高位αは、執着を理解できないβに本気にならないように、そういう意味では近づかないようにしている。β達には、そんな理由があるなんて知らず、高位になるほどΩを求める、としか認識されてないようだけど。
だから九条様クラスにまでになると、あれ程アピールしていてもバイアスが働きβには全スルーされる。
下位αがあの勢いでアピールしていたら、流石にβのクラスメイトも察したろうけど。ああ、コイツ、智則とヤリたいんだろな、と。
とはいえ、実際には、九条様は、秋葉とヤリたいわけで。いや、どちらかというと、週末までに警告マーキングしたいわけで。
どうするべきか。
「でもびっくりしたね、九条様のあの一族郎党」
「どこの時代劇って思ったわ俺」
佐久間の言葉に曖昧な笑みを返す秋葉へ警告をしておくことにした。
九条様のあれは本気だ。週末に会うその相手と秋葉がどういった関係なのは不明だが、何かあれば、その相手は無事では済まされない
「βは高位αの執着を舐めすぎているんだよ」
秋葉ははっきりと顔を歪ませた
「またまた~殿山まで」
「佐久間くん。本当なんだ。高位αの番に手を出したものに未来は本当にない。これだけ戦争が起きている世の中で、戦犯の最大の弱点の番が何故狙われないかわかるか」
「守られているからだろう?」
「違うよ。高位αは番を失うと狂うんだ。全てを巻き添えにして自殺することがある。歴史に出ていただろう、英雄と言われた アルバート大佐は国の建て直しを誓って活動していたが、番を暗殺されてからは、変わってしまった。全土に生物化学兵器をばらまいた。犯人を洗い出せない国なんていらないもんね。この国だと綾小路か。運命の番に出会った時、番様は虐待されてて、酷い有様だったと。綾小路は同じ思いを1ミリでも関わりのある人に死ぬまで行なった。例えば、番様の同級生の10親等まで。もう、一族郎党みたいなもんだろ?かの有名な遠野大虐殺だ」
「……」
「九条様が、同じ事を行うとは限らないけど、同じ位、番様に執着されるのは予測される。奪われればその時そばにいた者全てを許さないだろう……秋葉も思い当たる節があるから、顔を強張らせているんだろ?」
「え、何?智則そんなのがあるの?」
「高校時代の先輩のΩがちょうど綾小路のつがい様と同じ状況にあった。先輩に手を出していた本人とその家族の消息は不明。調べたけど何も出てこなかった」
「…………」
「だから俺は九条に伝えたんだよ。俺も他のβも九条のΩに手を出したりしない。幸いにも、βの伴侶は特定の一人ではない。その人との未来がないなら、別の人との未来を探せる。βの伴侶とは、お互いの未来の為に成長しあえる関係を結べる相手だ」
秋葉、そうだよ。だから、αはβと本気の恋愛はしたくないんだよ。
Ωであれば、噛んでしまえばずっと唯一でいられる。
βは違う、いつでも違う相手との未来を探せる。αはそれが怖いのだ。
ため息が出た。
「どうした?」
「いや、高位αってのも難儀なもんだな、と。」
「……そうだな」
思いっきり秋葉に憐れまれた。
うん、じゃあそれを利用しよう。
「秋葉~。俺、明日九条様の所にお呼ばれしてるんだよ。あの状態の九条様に」
「………」
「気の毒だと思わない?」
「わかったよ」
やった。
翌日、大学に現れた秋葉は今迄以上に九条様の気配を残していた。
抱き潰しはしかなったものの、最大限の警告マーキングを九条様はしてきた。
秋葉に思いを寄せていたαは一様に体調を崩して医務室へと逃げ出した。他のαも近づくだけで、動悸と息切れに悩まされる為、近づく事すら困難だ。暫くは大半のαがリモートになるだろう
土曜日に会うというαもどれだけ耐性があるのか。医務室に逃げ込んだαには中位の者もいた。高位であれば、なまじ唯一への執着が強いだけに、逃げ出したい本能との葛藤になるだろう。高位αで無い事をいのるが、この秋葉が頼る様な相手だ。高位に決まっている。
ああ、嫌な予感しかしない。
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