努力に勝るαなし

認認家族

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初恋に殉ずるー優

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日本に着いた!
ここに智則がいると思うだけで、気分が高揚する。

その一方で、ずっとチリチリと嫌な予感がしている。
正確には、智則が大学に入った頃からだ。

だが、智則にきいても特に問題はないみたいだった。
智則が智則らしくある為に、βに渡すと決めて留学してたからには、連絡の頻度を落とす努力をした。10日もすると、番ってもいないのに番欠乏症で手に震えが出る。耐えきれずに電話をしてしまう。智則からかかってくることもある。ソレには泣いてしまったこともある。

でも、少しずつ、少しずつ、智則離れができている気がした。日本に帰ると頻度を少しずつ減らしてきた。ただ……それでも日本に帰る予定を入れると何故か警護トラブルなどが起きて延期が続いた。父による延期もあったし他の偶発的なものもあった。ここまで重なればなんらかの意図を感じる。
全員に金曜日の夜に日本着予定と連絡をし、チケットも金曜日のを取った。そして実際には水曜日の便を空港でとってそのまま搭乗した。


日本ついて、何かおいたてられるように智則のマンションに向かった。途中、やはり留学先でトラブルが起きていて、あのままでは日本に来れなかっただろう。自分が日本に着いたことは報告をしなかった。

マンションの玄関につき、インターホンを押すと、智則の目が真ん丸になった。
焦燥感を忘れて笑ってしまった。

オートロックを解除してもらい、部屋にむかうと………絶望しかなかった。

久々に合った智則には、優より上位のαのマーキングがされていた。恐らく最高位だろう。

智則に恋愛的好意を抱くもの害意あるものには攻撃をするものだ。

優ですら、一歩後ずさるほどのマーキング

「なんで?異バースと恋愛はしないって言ってたじゃないかっ。なんの為に僕が身を引いたと!」

それなのに、べったりと着けられたαの所有印

不意に悠一の言った言葉を思いだす。

『智則の意志に従って小学校を公立にした。それで、あれが幸せがだったのか。だから、高校は私が選ぶ。意志を尊重し過ぎでも駄目なのだ』

ああ、そうか。

優は智則の拒絶を受け入れた。βらしい幸せを追えるようにと、距離をとった
そして、その間に奪われたのだ。
智則の意志を尊重している間に

そんなものを守る必要なかったのだ。

智則に手を伸ばす。

威嚇フェロモンが優を攻撃してくる。

「ぐ……」

蛇に締めつけられているかの様に苦しい。それでも手を伸ばせは全身が悲鳴をあげた

これが、上位αの圧か。
かないっこない
ここまでの執着を見せるαが、智則に飽きる事はない。
智則にβとの未来はない。

ならば、ポッと出のαに智則の全部をやったりはしない。


「優?大丈夫か?救急車よぶか?」

アブラ汗をかいている優に、何も分ってない智則が問いかける。

ああ、智則はつくづくβなのだ。

これ程酷いマーキングにも気が付かず、優の体調不良の原因なんて、想像も着かないのだろう。

αの独善的な愛し方も………

「俺のバックとって……」

「薬?薬がはいっているのか!?」

智則がバックの中身をぶち撒いた。

「リストバンドに……」

智則がリストバンドを優に差し出す

ああ…本当に君は………


智則の手首にリストバンドを巻く。両手を一括りにする。これはリストバンドに見えるだけの拘束道具だ。

「え?え?」

智則を押し倒して口付けをした。舌で唇をノックするが、引き結んでいて侵入を許してくれない。

一旦口をはなす。

「すぐるっ!うっ」

智則が抗議しようと口を開けたのにあわせて、もう一度口付けした。
舌を絡ませる。
甘い。
全身が絞め殺されそうな圧迫感にあるのに、それを麻痺させるかのように、甘い甘い蜜。
夢中で唾液を注ぎ混ぜる。優の唾液と交わって更に甘露の様になる。

「っ痛!」
智則が優の舌を噛んだ

「恋人に操をたてるんだね。智則らしいけど。でもっだったらなんで!αは恋愛対象外って言ってたのになんで!」

「?恋人?恋人なんていない。どけよっ!」

「セフレ?そんなにベッタリと付けられておいて!そいつは、お前をセフレなんて思ってない!セフレなら、俺だっていいだろ!」

智則の顎を強く掴み口を閉じれないようにして再び口付ける。

噛み付くなら噛みつけばいい。
優の血と唾液が混ざり合いなんともいえない香りがした

優の全身はもう限界が近い。
全身の血がまさに沸騰しているかのようだ。頭の痛みもひどい。脳の血管がずくんずくん疼いているのが分かる
口付けをやめて、智則のズボンを引きずり落とし、自分もまた脱いだ

「優、目から血が出てる、目だけじゃないよ。こんなことしてる場合じゃない、救急車を呼べ」

嗤ってしまった。こんな状況なのに智則は優の心配をしているのだ

「智則、アルファーの愛情は独善的で狡猾で、でも一途なんだよ。俺のこと覚えておいて」

智則の下半身に触れた指がビリビリと痺れた。ここにもやはりアルファーのフェロモンがべったりついていた。いくどとなく智則はその男としてきたのだろう
限界の近かった優が智則の後腔に触れると、さらに酷い痛みを伴った
本当にもう限界が近い
せめて智則の後ろをほぐしてからにしたかったが間に合わないのが見えている

「智則、ガキの頃から好きだった」

智則の後ろの蕾に硬直をあてがって一気に突き進んだ

何かが切れる音が頭の中で響いた

智則が、泣きながら何かを叫んでいる。優は智則を力の限り抱きしめ、そのまま意識を失った




























































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