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世捨て人ー殿山
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秋葉を追って、殿山もマンションをでた。
「んで、由希にぃはなんで山下ゼミに?」
……秋葉、そもそも、どういう知り合い?
α嫌いなお前が名前呼び
「……智則、由希にぃはやめて。僕も君の事は秋葉君て呼ぶから」
何で、上位αは番?相手には『僕』なんだろうな。
「………なんで?怒ってるから?」
いや、お前のシャツに九条様のヨダレがベッタリと付いてるからな。最上位αにマーキングされてるヤツに呼ばれるのは心臓に悪いだろ。
「どうしたら許してもらえる?由希にぃを転校させてしまったこと、ずっとずっと謝りたかった」
唐澤が天を仰いだ。
「智則は悪くないよ。僕が……幼くて弱かったからだよ。だから、気にしなくていい。」
……何か、意味深だな、この二人。
「……じゃあ、由希にぃでもいい?」
いや、それはやめとけ。秋葉自身の安全のためにも。九条様は同じミスはしないぞ。もう、お前が投げるなんて出来ないはずだぞ。
「秋葉君は山下ゼミにくるんだろ。先輩後輩。他の人の目もあるから、由希にぃはダメだよ」
岡田が唐澤をフォローする。
「そっか……わかった」
……めちゃくちゃ寂しそうだな、秋葉。
唐澤が揺れるからやめてやれ。無自覚はタチが悪いな。
「秋葉君、コイツの志望動機聞くんじゃなかったの?わけわからんよ~」
岡田が話題を変えた。
「そうですね。先輩は何故?」
秋葉の譲歩は先輩、か。唐澤先輩は嫌なんだな。
「……禅 の世界だから」
なんだ、そりゃ。
意味がわからなくて秋葉をみたら、目をひん剥いていた。
「『全てのものは経済に繋がる。自分の絶望ですらも。人生に無駄な物などない』……由希にぃ」
そう言いながら、秋葉は唐澤に抱きついた。も、知らねぇ。
「由希にぃも哀しみを味わったんだね」
………秋葉、涙声?
つか、唐澤も泣いてる。。ナニコレ?
二人で抱き締めあって泣いて?
カオス
岡田を見ると、肩を竦められた。
結局、由希先輩と智則君に落ち着いたらしい。
九条様はどこまで譲歩してくれるのやら。
その由希先輩もとい、唐澤先輩と秋葉が先を歩いている。
殿山は岡田と歩きながら疑問を口にした
「唐澤先輩って番いますよね。でもって唐澤先輩って露骨に上位αですよね」
秋葉を忘れて番になりたい相手と出会えるものなのか?いや、忘れてはないな、あの様子だと。
「あ~、うん。どうせみんなに知れ渡ってるから言うけど。由希は、Ωにフェロモンレイプされたんだよ。それで番ちゃって」
「げ。でもそしたら唐澤先輩はそのΩを捨てる権利ありますよね。法律で認められてますもんね」
「うん。でも由希はどうでも良かったんだろうな」
いやいや、世を捨てすぎだろ。
「相手が九条様じゃなければな。そしたら俺は由希を応援できたのにな。レイプしたやつが幸せになるって許せなくない?由希は有望だったし、みんなが番になりたがっていたけれど、そんな卑怯な手に出る者はいなかった。由希の番がさ、『私は行動した。行動しなかった者に文句を言われる筋合いはない。もっとも、由希はもう誰のフェロモンでもラットにはならない。最初に動いた私の勝ちなのよ』って非難したΩに言い放ってたよ。」
………Ω、こえぇ。俺は同じ目にあわないように注意するぞ。
「なんで訴えなかったんだって聞いたんだよ、そしたら、項を差し出された時に抵抗しなかったからって。本気で抵抗すればラッドでも何とか噛まずには済んだのかもしれないってけど、もう、面倒臭くなっちゃったんだって。由希が言ってた」
番契約はΩにとって重要な事だが、αにだってとても重要なことなのだ。
Ωは他の人とセックス出来なくなる。αは他のΩの誘惑フェロモンを感じなくなるのだ。
この先、もしかしたら、惹かれるΩがでできたかもしれないのに。反応する術を奪い取られて。
……唐澤は諦めたんだ。秋葉より惹かれる存在が現れる可能性を。
……ホントに、上位αって、難儀なもんだな。
「んで、由希にぃはなんで山下ゼミに?」
……秋葉、そもそも、どういう知り合い?
α嫌いなお前が名前呼び
「……智則、由希にぃはやめて。僕も君の事は秋葉君て呼ぶから」
何で、上位αは番?相手には『僕』なんだろうな。
「………なんで?怒ってるから?」
いや、お前のシャツに九条様のヨダレがベッタリと付いてるからな。最上位αにマーキングされてるヤツに呼ばれるのは心臓に悪いだろ。
「どうしたら許してもらえる?由希にぃを転校させてしまったこと、ずっとずっと謝りたかった」
唐澤が天を仰いだ。
「智則は悪くないよ。僕が……幼くて弱かったからだよ。だから、気にしなくていい。」
……何か、意味深だな、この二人。
「……じゃあ、由希にぃでもいい?」
いや、それはやめとけ。秋葉自身の安全のためにも。九条様は同じミスはしないぞ。もう、お前が投げるなんて出来ないはずだぞ。
「秋葉君は山下ゼミにくるんだろ。先輩後輩。他の人の目もあるから、由希にぃはダメだよ」
岡田が唐澤をフォローする。
「そっか……わかった」
……めちゃくちゃ寂しそうだな、秋葉。
唐澤が揺れるからやめてやれ。無自覚はタチが悪いな。
「秋葉君、コイツの志望動機聞くんじゃなかったの?わけわからんよ~」
岡田が話題を変えた。
「そうですね。先輩は何故?」
秋葉の譲歩は先輩、か。唐澤先輩は嫌なんだな。
「……禅 の世界だから」
なんだ、そりゃ。
意味がわからなくて秋葉をみたら、目をひん剥いていた。
「『全てのものは経済に繋がる。自分の絶望ですらも。人生に無駄な物などない』……由希にぃ」
そう言いながら、秋葉は唐澤に抱きついた。も、知らねぇ。
「由希にぃも哀しみを味わったんだね」
………秋葉、涙声?
つか、唐澤も泣いてる。。ナニコレ?
二人で抱き締めあって泣いて?
カオス
岡田を見ると、肩を竦められた。
結局、由希先輩と智則君に落ち着いたらしい。
九条様はどこまで譲歩してくれるのやら。
その由希先輩もとい、唐澤先輩と秋葉が先を歩いている。
殿山は岡田と歩きながら疑問を口にした
「唐澤先輩って番いますよね。でもって唐澤先輩って露骨に上位αですよね」
秋葉を忘れて番になりたい相手と出会えるものなのか?いや、忘れてはないな、あの様子だと。
「あ~、うん。どうせみんなに知れ渡ってるから言うけど。由希は、Ωにフェロモンレイプされたんだよ。それで番ちゃって」
「げ。でもそしたら唐澤先輩はそのΩを捨てる権利ありますよね。法律で認められてますもんね」
「うん。でも由希はどうでも良かったんだろうな」
いやいや、世を捨てすぎだろ。
「相手が九条様じゃなければな。そしたら俺は由希を応援できたのにな。レイプしたやつが幸せになるって許せなくない?由希は有望だったし、みんなが番になりたがっていたけれど、そんな卑怯な手に出る者はいなかった。由希の番がさ、『私は行動した。行動しなかった者に文句を言われる筋合いはない。もっとも、由希はもう誰のフェロモンでもラットにはならない。最初に動いた私の勝ちなのよ』って非難したΩに言い放ってたよ。」
………Ω、こえぇ。俺は同じ目にあわないように注意するぞ。
「なんで訴えなかったんだって聞いたんだよ、そしたら、項を差し出された時に抵抗しなかったからって。本気で抵抗すればラッドでも何とか噛まずには済んだのかもしれないってけど、もう、面倒臭くなっちゃったんだって。由希が言ってた」
番契約はΩにとって重要な事だが、αにだってとても重要なことなのだ。
Ωは他の人とセックス出来なくなる。αは他のΩの誘惑フェロモンを感じなくなるのだ。
この先、もしかしたら、惹かれるΩがでできたかもしれないのに。反応する術を奪い取られて。
……唐澤は諦めたんだ。秋葉より惹かれる存在が現れる可能性を。
……ホントに、上位αって、難儀なもんだな。
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