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77.ご主人様の女遊び

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「ちょっと、夜遊び行ってくるわ」
そう言って、ご主人さまは不意に出かけることがあります。
夜遊びって女遊びのことだって、あたしだってわかります。
結婚すると女には貞操義務があるのに、男の人にはそんな義務はありません。
でも、結婚しても女遊びするなんて酷い。
前に一度、彼が女遊びに出かけるところを止めたことがあります。
「バチン」
いきなりのビンタ。
「こら!妻が夫に逆らう気か?」
彼に叱られ、あたしは従うしかありません。妻には夫に対して服従義務があるんだもの。
でも、やっぱり酷い。
何で男の人って女遊びが自由なの?
もし、妻のあたしが他の男性と浮気でもしたら大変なことになります。
貞操義務違反の罰として、内股に×印のペナルティーブランドが押されてしまうし、彼の一存で離縁だってできます。
そして、離縁の場合にはお尻にある彼の家紋の焼印を焼き鏝で潰されてしまうんです。
あまりにも男女不平等です。

以前、先輩のミオさんに不満をぶちまけたことを思いだしました。
「まあ、まあ、大目に見てあげなさい。浮気は男の甲斐性っていうでしょう」
なによ!ミオさんまでそんなことを言うなんて。
ミオさんはどうしてるのって聞いたら。
夫を信じて待つのが妻といものよ、なんて言うし。
ちょっとミオさんてば、古すぎ。
でも、夫が他の女に走ってしまうのは、妻が至らないせいとも言うし。
あたしに至らない部分があるのかも。

翌朝になって、彼が帰ってきました。いわゆる朝帰りです。
あたしは床に跪き、三つ指ついて自分の至らなさを詫びました。
「至らないあたしを罰してください。ご主人さま」
彼はあたしを鞭打ったりせず、あたしの頭を優しく撫でてくれました。
「馬鹿だな、ただの女遊びにそんなに心配するなんて。大丈夫、俺が愛しているのは、お前だけだよ」
予想もしていなかった彼の答えに、不意に涙が溢れました。
「グスっ、愛しています。ご主人さまぁ」
あたしは床に涙を垂らしながら、思わず叫びました。

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