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シェリングフォード家の主従
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対するもう一人の問題児は唯我独尊独立独歩型、有無を言わせぬ実力と突拍子もない行動で威圧しつつ、その特異な存在感が放つ引力で周囲を巻き込み魅了するという質の悪さだった。彼が何をしても、ジェイムズだから仕方がないと苦笑しつつも許してしまう天真爛漫さは、天からの贈り物。努力したところで凡人には持ち得ないものだ。
だからといって自分がジェイムズを甘やかす必要はない、と昨日の災厄を思い出しレジナルドは気を引き締める。
純白のクロスが掛けられたテーブルには、コースではなく、レジナルドには懐かしい庶民の家庭料理の皿が次々と並べられていく。レジナルドが持参したクラレットも栓を抜かれ、ワインクーラーに入った白の瓶と共にテーブルの端に置かれ、晩餐の用意は整った。
一通り卓上を調えたエリオットは一言、
「ごゆっくりお楽しみください、マーシャル様」
慇懃に挨拶すると空の盆を脇に抱え、台所に下がった。ワインを注ぐ前の退場は、主人にそう言い付けられていたからだろう。
「堅苦しいコースよりも、こういう方が寛げるんじゃないかと思ってね」
だからといって自分がジェイムズを甘やかす必要はない、と昨日の災厄を思い出しレジナルドは気を引き締める。
純白のクロスが掛けられたテーブルには、コースではなく、レジナルドには懐かしい庶民の家庭料理の皿が次々と並べられていく。レジナルドが持参したクラレットも栓を抜かれ、ワインクーラーに入った白の瓶と共にテーブルの端に置かれ、晩餐の用意は整った。
一通り卓上を調えたエリオットは一言、
「ごゆっくりお楽しみください、マーシャル様」
慇懃に挨拶すると空の盆を脇に抱え、台所に下がった。ワインを注ぐ前の退場は、主人にそう言い付けられていたからだろう。
「堅苦しいコースよりも、こういう方が寛げるんじゃないかと思ってね」
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