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第7章 天下分け目の大決戦編
32.炸裂
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大筒に装填された地獄式爆弾が、信常の手によってついに発射された。
大筒からは大きな火を吹き、地獄式爆弾は桐丘城を目掛けて一直線に飛んで行った。
地獄式爆弾は海を越え、あっという間に桐丘城の上空に入った。
発射時の速度も衰える事なく猛烈な速度で次第に距離を詰めて行く。
そうしてやがて地獄式爆弾が桐丘城天守へと直撃した。
地獄式爆弾は、凄まじい轟音とともに爆発を開始。
まず、強烈な閃光が桐丘城下を包み込んだ。
真夜中の闇が真昼のような明るさほどの光を発した。
桐丘城は、一瞬にして地獄式爆弾の発する爆風と熱線によって大きな音を立てて崩れ去っていった。
そして辺りでは火災旋風が巻き起こり、城壁や瓦などが塵のごとく空へと舞い上がり始めていた。
さらに爆心地では太陽のような火の玉が発生し、次第に城下町をも飲み込んでいった。
城下町もまた火災旋風があちこちで発生し、町のありとあらゆる物が破壊されて塵となり上空へと舞い上がっていた。
その凄まじい様子は、遠く離れた信常のいる場所でもはっきりと確認できたという。
信常
「どうやら作戦通りに桐丘城で地獄式爆弾が爆発したようじゃな…」
信常は、その場に立ち尽くしてそう呟いていた。
すると守常が震えながらも口を開いた。
守常
「地獄式爆弾が…かような恐ろしき兵器とは…拙者は思ってもおりませんでした…」
信常
「うむ、真に想像を遥かに越えるほどの威力じゃな…」
地獄式爆弾は発明の過程で爆発実験を行わなかった為、その威力は未知数であった。
それ故に、発明者である信常が独自で計算して威力を想定するしか方法が無かったのである。
当初の計算のうえでは桐丘城は跡形も無く完全に破壊されるが、その城下町に関しては城の延焼によって徐々に炎に包まれていくであろうと想定。
その間に城下町の領民たちは逃げる余裕が少なからず生じるはず。
それ故に、多少の犠牲で済むであろうと考えられていた。
しかしそれはあくまでも机上の空論に過ぎず、必ずしも信用出来る物では無かったようである。
そして実際に地獄式爆弾を使用したところ、想定を遥かに上回るほどの威力である事を知った信常は、非常に驚いた様子であった。
信常
「儂は…儂は何という恐ろしき物を作ったというのじゃ…泰平の世を目指す天下統一の為とは言えど、余りにも犠牲が大き過ぎるのでは無いか…」
この惨劇を見た信常は、地獄式爆弾を発明すべきであったのかと言う根本的な疑問を感じ始めていた。
守常
「父上、古くは創武大神様の時代もかような大きな犠牲が生じたとお聞きしています。武をもって征す…それが今再び起きたということでございましょう…」
守常は信常に対してそう諭すように言った。
同時に、守常自身にも今回の作戦を正当化するかのように言い聞かせているような様子でもあった。
信常
「我らは正義を貫き通したと申すわけじゃな。今はそうであると信じるしかござらんな…」
信常は守常の言葉を耳にし、複雑な心境であった。
一方その頃、三浦宮御所でも桐丘城での異変に気付いていた。
継晴は桐丘城で発生した爆音と共に飛び起き、驚いた様子であった。
継晴
「い、今の物凄い音は何じゃ?!何が起きたというのじゃ?!」
継晴の家臣は状況を直ちに確認し、慌てながら継晴に報告した。
家臣
「はっ、申し上げます。どうやら何者かが桐丘城を爆破した模様にございます。恐らく、志太家の者が仕掛けたかと…」
継晴
「何じゃと?!それでは、先日の祐宗殿の言葉は脅しでは無かったと申すのか…」
家臣
「どうやらそのようにございます…そして残念ながらあの様子では桐丘城の軍勢は全軍が壊滅されたかと…」
継晴
「何ということじゃ…そ、それでは義成らはもう…」
継晴は絶望の表情であった。
大筒からは大きな火を吹き、地獄式爆弾は桐丘城を目掛けて一直線に飛んで行った。
地獄式爆弾は海を越え、あっという間に桐丘城の上空に入った。
発射時の速度も衰える事なく猛烈な速度で次第に距離を詰めて行く。
そうしてやがて地獄式爆弾が桐丘城天守へと直撃した。
地獄式爆弾は、凄まじい轟音とともに爆発を開始。
まず、強烈な閃光が桐丘城下を包み込んだ。
真夜中の闇が真昼のような明るさほどの光を発した。
桐丘城は、一瞬にして地獄式爆弾の発する爆風と熱線によって大きな音を立てて崩れ去っていった。
そして辺りでは火災旋風が巻き起こり、城壁や瓦などが塵のごとく空へと舞い上がり始めていた。
さらに爆心地では太陽のような火の玉が発生し、次第に城下町をも飲み込んでいった。
城下町もまた火災旋風があちこちで発生し、町のありとあらゆる物が破壊されて塵となり上空へと舞い上がっていた。
その凄まじい様子は、遠く離れた信常のいる場所でもはっきりと確認できたという。
信常
「どうやら作戦通りに桐丘城で地獄式爆弾が爆発したようじゃな…」
信常は、その場に立ち尽くしてそう呟いていた。
すると守常が震えながらも口を開いた。
守常
「地獄式爆弾が…かような恐ろしき兵器とは…拙者は思ってもおりませんでした…」
信常
「うむ、真に想像を遥かに越えるほどの威力じゃな…」
地獄式爆弾は発明の過程で爆発実験を行わなかった為、その威力は未知数であった。
それ故に、発明者である信常が独自で計算して威力を想定するしか方法が無かったのである。
当初の計算のうえでは桐丘城は跡形も無く完全に破壊されるが、その城下町に関しては城の延焼によって徐々に炎に包まれていくであろうと想定。
その間に城下町の領民たちは逃げる余裕が少なからず生じるはず。
それ故に、多少の犠牲で済むであろうと考えられていた。
しかしそれはあくまでも机上の空論に過ぎず、必ずしも信用出来る物では無かったようである。
そして実際に地獄式爆弾を使用したところ、想定を遥かに上回るほどの威力である事を知った信常は、非常に驚いた様子であった。
信常
「儂は…儂は何という恐ろしき物を作ったというのじゃ…泰平の世を目指す天下統一の為とは言えど、余りにも犠牲が大き過ぎるのでは無いか…」
この惨劇を見た信常は、地獄式爆弾を発明すべきであったのかと言う根本的な疑問を感じ始めていた。
守常
「父上、古くは創武大神様の時代もかような大きな犠牲が生じたとお聞きしています。武をもって征す…それが今再び起きたということでございましょう…」
守常は信常に対してそう諭すように言った。
同時に、守常自身にも今回の作戦を正当化するかのように言い聞かせているような様子でもあった。
信常
「我らは正義を貫き通したと申すわけじゃな。今はそうであると信じるしかござらんな…」
信常は守常の言葉を耳にし、複雑な心境であった。
一方その頃、三浦宮御所でも桐丘城での異変に気付いていた。
継晴は桐丘城で発生した爆音と共に飛び起き、驚いた様子であった。
継晴
「い、今の物凄い音は何じゃ?!何が起きたというのじゃ?!」
継晴の家臣は状況を直ちに確認し、慌てながら継晴に報告した。
家臣
「はっ、申し上げます。どうやら何者かが桐丘城を爆破した模様にございます。恐らく、志太家の者が仕掛けたかと…」
継晴
「何じゃと?!それでは、先日の祐宗殿の言葉は脅しでは無かったと申すのか…」
家臣
「どうやらそのようにございます…そして残念ながらあの様子では桐丘城の軍勢は全軍が壊滅されたかと…」
継晴
「何ということじゃ…そ、それでは義成らはもう…」
継晴は絶望の表情であった。
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