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第7章 天下分け目の大決戦編
31.発射
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夜も更けた頃、信常と守常が動き始めていた。
そうして二人はやがて志天城の西側に位置する海岸に到着。
既に時刻は丑三つ時の真夜中で辺りは闇に包まれていた。
信常
「よし、この辺りで良いじゃろう。守常よ、早々に準備いたせ。」
守常
「はっ、ただいま。」
守常によって海岸に明かりが灯されていた。
信常
「幸いここは我ら志太家の領地である故、敵からも気付かれぬであろう。」
信常らがいる場所は、志太家の領内に位置する海岸だ。
自家の領内という事もあって敵から狙われる可能性も皆無に等しく、比較的安全に作戦を遂行できるであろう。
信常
「そして今は丑三つ時、幕府の者たちも城下で休んでおろうな。そこを我らが攻撃いたす。」
真夜中の刻に作戦を遂行するには、理由があった。
それは、城主である黒松義成らといった主要家臣たちを確実に仕留める為、彼らが城下で寝静まるであろう刻をあえて狙ったのである。
幕府の主要家臣が全滅する事態に陥れば流石に継晴も恐れをなすであろう。
とにかく、この一撃で幕府としての機能を麻痺させれば志太家にとって有利になる事は間違い無い。
守常
「しかし父上、これほど桐丘島まで離れていて砲撃などできるのでございましょうか。」
守常は不安げな表情をしていた。
信常らが構える場所は、桐丘島から離れた位置であった。
さらに桐丘城は島の北部に位置しており、志天城側から見ても相当離れた場所という事が分かるであろう。
信常
「なぁに、儂の発明を侮るでない。」
そう言うと信常は、後ろに積んでいた荷物を指差していた。
信常
「この大筒に地獄式爆弾を詰めるのじゃ。こいつはただの大筒ではないぞ。」
それは非常に大きな大筒であった。
この大筒は、今回の地獄式爆弾を使用する為に信常が独自で発明した物である。
通常の大筒に比べて装填された弾の飛距離が格段に上昇していたという。
その飛距離は、現代世界における軍事用ミサイル発射装置に匹敵するほどの水準であったとも言われている。
守常
「む、流石は父上にございますな!」
守常はそう声をあげ、尊敬の眼差しで信常を見つめていた。
信常
「守常よ、儂に感心して手を止めておる暇があれば早う準備にかかられよ!」
信常はそんな守常に対して厳しい口調でそう言った。
とにかく、作戦を成功させる事を第一に考えて行動せよ。
今回の作戦は、いかに志太家にとって重要であるかを守常に再確認させているようであった。
やがて砲撃準備が整った守常は、信常に対して言った。
守常
「父上、準備できましたぞ。砲撃はどうか拙者にお任せくだされ。」
しかし、そんな守常に信常は遮るように口を開いた。
信常
「いや、砲撃は儂がいたそう。守常よ、お前は下がって砲撃を見守っておれ。良いな。」
そう言うと信常は、守常を後方まで下がらせた。
間もなく、地獄式爆弾によって大量の犠牲者を生み出す事となる。
そのような非情とも言える作戦に、自身の子である守常にこれ以上関わらせたく無かった。
そして、大勢の人間の命を一瞬にして奪うという大罪で手を汚す役目は、自身が引き受けようと覚悟しての事であった。
こうした信常の親心から、守常に対して砲撃を実行させたく無かった故の今回の行動であったと言えよう。
大筒の前に立った信常は、手にした火種を発射装置に点火した。
すると大筒からは轟音がたちまち鳴り響き、大きな火を吹いて装填された地獄式爆弾が桐丘島を目指して勢い良く飛び出していった。
信常
「発射は成功じゃ。間もなく桐丘島は火の海と化すであろうな…」
信常は複雑な心境にあった。
そうして二人はやがて志天城の西側に位置する海岸に到着。
既に時刻は丑三つ時の真夜中で辺りは闇に包まれていた。
信常
「よし、この辺りで良いじゃろう。守常よ、早々に準備いたせ。」
守常
「はっ、ただいま。」
守常によって海岸に明かりが灯されていた。
信常
「幸いここは我ら志太家の領地である故、敵からも気付かれぬであろう。」
信常らがいる場所は、志太家の領内に位置する海岸だ。
自家の領内という事もあって敵から狙われる可能性も皆無に等しく、比較的安全に作戦を遂行できるであろう。
信常
「そして今は丑三つ時、幕府の者たちも城下で休んでおろうな。そこを我らが攻撃いたす。」
真夜中の刻に作戦を遂行するには、理由があった。
それは、城主である黒松義成らといった主要家臣たちを確実に仕留める為、彼らが城下で寝静まるであろう刻をあえて狙ったのである。
幕府の主要家臣が全滅する事態に陥れば流石に継晴も恐れをなすであろう。
とにかく、この一撃で幕府としての機能を麻痺させれば志太家にとって有利になる事は間違い無い。
守常
「しかし父上、これほど桐丘島まで離れていて砲撃などできるのでございましょうか。」
守常は不安げな表情をしていた。
信常らが構える場所は、桐丘島から離れた位置であった。
さらに桐丘城は島の北部に位置しており、志天城側から見ても相当離れた場所という事が分かるであろう。
信常
「なぁに、儂の発明を侮るでない。」
そう言うと信常は、後ろに積んでいた荷物を指差していた。
信常
「この大筒に地獄式爆弾を詰めるのじゃ。こいつはただの大筒ではないぞ。」
それは非常に大きな大筒であった。
この大筒は、今回の地獄式爆弾を使用する為に信常が独自で発明した物である。
通常の大筒に比べて装填された弾の飛距離が格段に上昇していたという。
その飛距離は、現代世界における軍事用ミサイル発射装置に匹敵するほどの水準であったとも言われている。
守常
「む、流石は父上にございますな!」
守常はそう声をあげ、尊敬の眼差しで信常を見つめていた。
信常
「守常よ、儂に感心して手を止めておる暇があれば早う準備にかかられよ!」
信常はそんな守常に対して厳しい口調でそう言った。
とにかく、作戦を成功させる事を第一に考えて行動せよ。
今回の作戦は、いかに志太家にとって重要であるかを守常に再確認させているようであった。
やがて砲撃準備が整った守常は、信常に対して言った。
守常
「父上、準備できましたぞ。砲撃はどうか拙者にお任せくだされ。」
しかし、そんな守常に信常は遮るように口を開いた。
信常
「いや、砲撃は儂がいたそう。守常よ、お前は下がって砲撃を見守っておれ。良いな。」
そう言うと信常は、守常を後方まで下がらせた。
間もなく、地獄式爆弾によって大量の犠牲者を生み出す事となる。
そのような非情とも言える作戦に、自身の子である守常にこれ以上関わらせたく無かった。
そして、大勢の人間の命を一瞬にして奪うという大罪で手を汚す役目は、自身が引き受けようと覚悟しての事であった。
こうした信常の親心から、守常に対して砲撃を実行させたく無かった故の今回の行動であったと言えよう。
大筒の前に立った信常は、手にした火種を発射装置に点火した。
すると大筒からは轟音がたちまち鳴り響き、大きな火を吹いて装填された地獄式爆弾が桐丘島を目指して勢い良く飛び出していった。
信常
「発射は成功じゃ。間もなく桐丘島は火の海と化すであろうな…」
信常は複雑な心境にあった。
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