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第二章 決断と静養
第14話 翔太と未奈の戯れ言 2
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"副社長の婚約者は、私とは比べ物にならないくらいとても綺麗な人”
そんな事、翔太なんかに言われなくても、竜也先輩の婚約者の方が美人で素敵な女性だって事は重々知っている。
だって先輩の婚約者である橋本梨依紗さんも私と同じ大学出身なのだから。
梨依紗先輩は、竜也先輩の二つ年下の学年で、私の一つ上の先輩でもある。
先輩は『Ms キャンパス』を4年連続で手にした綺麗な女性だ。
その上優しくて頭が良くて。
梨依紗先輩は、天は二物どころか三物も与えたという、まさに才色兼備を絵に描いた様な素晴らしい女性なんだ。
そして私は、在学中から現在に至るまで、梨依紗先輩から「准ちゃん」と呼んで貰って、プライベートでもよくお会いしているし、可愛い後輩としてとても可愛がって貰ってもいる。
そんな風によくしてもらっている梨依紗先輩を裏切って、竜也先輩の愛人になるだなんて……そんな事有り得るわけがないし、第一、竜也先輩が梨依紗先輩以外を受け入れるわけが無いのだ。
それなのに翔太の頭の中では、"恋人に振られた腹いせに、上司を誘惑し、愛人の座に収まって、元カレに嫌がらせをする女”という図式が成り立っているらしい。
どうしてそんな図式に至ったのか皆目見当もつかないが、自分が本社から地方へ移動になった事が気に入らない!ただその鬱憤を私に当てる事で解消したかったのだろう。
そういう結論に達した私だったが、どうやら兄と竜也先輩は違う様だ。
「さっきから黙って聞いていれば!お前は何様だ?うちの准が安東の愛人だと?そんなわけあるか!馬鹿も休みやすみ言え!」
と兄が怒声を上げた。
その声にたじろいだのか翔太の戸惑う様な声が聞こえた。
「えっ?安東?あんた……副社長を呼び捨てにするとか……。誰だよ。」
「俺か?俺は山下准子の兄で、安東竜也の高校時代の先輩だよ!てか、よくもうちの准を!お前なんて地方に飛ばされて当たり前だろうが!このストーカー野郎がっ!!」
と言い放つ兄 悠介。
「え?ストーカー?翔太くんストーカーなの?え?ホント?」
「い、いや……、それは違くて……。俺はただ……その……。」
兄が放った"ストーカー野郎”という言葉に未奈さんが翔太に詰め寄っている様だ。(様だと敢えて言ったのは、私からは二人の姿は見えないからだ。だって兄も竜也先輩も背が高いんだもの。)
「そうか…キミはストーカー行為を行なっていたんですね。……非常に残念です、沢木君。キミには失望しました。」
「え?ふ、副社長?」
「キミが、今回キミの故郷にある支店に異動になったのは、キミが我が社の面接時に、『いつか故郷に錦を飾りたい。』と言ったからなのですが……。」
「え?マジ…ですか?」
「マジもマジ。大マジですよ。あの面接、俺もその場に居ましたから。で、この耳でちゃんと聞いたんです。キミがキミの口でそう言ったのをね。それともあれは嘘だったと?我が社に受かりたい為だけの口からでまかせだった、というのですか?」
と言う竜也先輩の声にも怒りが含まれている。
翔太の故郷に錦は、竜也先輩の仰るとおり、"口からでまかせ”に違いないと思う。
翔太は前から見栄っ張りだから。
どうやら兄と先輩に言い負かされてしまったらしい翔太は、何も言えずにいるようだ。
だが彼女は違った。
「でもっ!翔太くんは希望したかもですけど、未奈は全然希望なんてしてないです!だから未奈の地方行きは取り下げてくれませんか?」
と先輩にくってかかったのだ。
これには流石に副社長に対して失礼だと思った私は、未奈さんに一言物申そうと一歩足を踏み出そうとしたのだが、竜也先輩に手で制されてしまったのだ。
そんな事、翔太なんかに言われなくても、竜也先輩の婚約者の方が美人で素敵な女性だって事は重々知っている。
だって先輩の婚約者である橋本梨依紗さんも私と同じ大学出身なのだから。
梨依紗先輩は、竜也先輩の二つ年下の学年で、私の一つ上の先輩でもある。
先輩は『Ms キャンパス』を4年連続で手にした綺麗な女性だ。
その上優しくて頭が良くて。
梨依紗先輩は、天は二物どころか三物も与えたという、まさに才色兼備を絵に描いた様な素晴らしい女性なんだ。
そして私は、在学中から現在に至るまで、梨依紗先輩から「准ちゃん」と呼んで貰って、プライベートでもよくお会いしているし、可愛い後輩としてとても可愛がって貰ってもいる。
そんな風によくしてもらっている梨依紗先輩を裏切って、竜也先輩の愛人になるだなんて……そんな事有り得るわけがないし、第一、竜也先輩が梨依紗先輩以外を受け入れるわけが無いのだ。
それなのに翔太の頭の中では、"恋人に振られた腹いせに、上司を誘惑し、愛人の座に収まって、元カレに嫌がらせをする女”という図式が成り立っているらしい。
どうしてそんな図式に至ったのか皆目見当もつかないが、自分が本社から地方へ移動になった事が気に入らない!ただその鬱憤を私に当てる事で解消したかったのだろう。
そういう結論に達した私だったが、どうやら兄と竜也先輩は違う様だ。
「さっきから黙って聞いていれば!お前は何様だ?うちの准が安東の愛人だと?そんなわけあるか!馬鹿も休みやすみ言え!」
と兄が怒声を上げた。
その声にたじろいだのか翔太の戸惑う様な声が聞こえた。
「えっ?安東?あんた……副社長を呼び捨てにするとか……。誰だよ。」
「俺か?俺は山下准子の兄で、安東竜也の高校時代の先輩だよ!てか、よくもうちの准を!お前なんて地方に飛ばされて当たり前だろうが!このストーカー野郎がっ!!」
と言い放つ兄 悠介。
「え?ストーカー?翔太くんストーカーなの?え?ホント?」
「い、いや……、それは違くて……。俺はただ……その……。」
兄が放った"ストーカー野郎”という言葉に未奈さんが翔太に詰め寄っている様だ。(様だと敢えて言ったのは、私からは二人の姿は見えないからだ。だって兄も竜也先輩も背が高いんだもの。)
「そうか…キミはストーカー行為を行なっていたんですね。……非常に残念です、沢木君。キミには失望しました。」
「え?ふ、副社長?」
「キミが、今回キミの故郷にある支店に異動になったのは、キミが我が社の面接時に、『いつか故郷に錦を飾りたい。』と言ったからなのですが……。」
「え?マジ…ですか?」
「マジもマジ。大マジですよ。あの面接、俺もその場に居ましたから。で、この耳でちゃんと聞いたんです。キミがキミの口でそう言ったのをね。それともあれは嘘だったと?我が社に受かりたい為だけの口からでまかせだった、というのですか?」
と言う竜也先輩の声にも怒りが含まれている。
翔太の故郷に錦は、竜也先輩の仰るとおり、"口からでまかせ”に違いないと思う。
翔太は前から見栄っ張りだから。
どうやら兄と先輩に言い負かされてしまったらしい翔太は、何も言えずにいるようだ。
だが彼女は違った。
「でもっ!翔太くんは希望したかもですけど、未奈は全然希望なんてしてないです!だから未奈の地方行きは取り下げてくれませんか?」
と先輩にくってかかったのだ。
これには流石に副社長に対して失礼だと思った私は、未奈さんに一言物申そうと一歩足を踏み出そうとしたのだが、竜也先輩に手で制されてしまったのだ。
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