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第四章 決別
第1話 決行までのカウントダウン 3
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卒業式を一週間後に控えた日の夜
私は父に呼ばれ書斎にいた。
「桃花とお前の卒業式の翌日、そこにある物を着て11時にいつものホテルに来い。話は以上だ。下がっていい。」
私は無言で、父が言うソレを持ち書斎をあとにした。
自室に戻りソレ(袋)を開けると、中には地味な色のスーツが入っていた。
スーツを取り出し針金のハンガーにかけたまま体にあててみる。
私にとってそれは、大きすぎるものだった。
どうせ父の事だから、私の体型が分からず、桃花の体型に合わせて買ったのだろう。
桃花は、高等部の頃より徐々に太り始め、大学部卒業を控えた今は、初対面のほっそりした体型は見る影もなくなり、ぽっちゃり体型になっていた。
一方私は体型は殆ど変わらない状態で、ただ身長が中等部の頃から比べると、約20cm伸び168cmになった。
因みに桃花の身長は……詳しい数値は知らないが、私が桃花と話す時は、目線を落として話すことから、多分155cm前後だろう。
彼女の体型に合わせて用意されたスーツを私の体型に合わせリフォームとなるとざっくり一週間はかかるだろう。下手をすると当日に間に合わない可能性がある。だったら同じ物をサイズ違いで購入し直した方が手っ取り早い。
だが私は、初めからこのスーツを着てホテルへ行くつもりなどさらさら無かったから、放置する事に決めた。
「そのホテルの会場で、貴方がしようとしている事はお見通しよ?お父様。」
私はスーツを壁にかけると、すぐさま連城先生と柊伯父様にメールを送った。
『計画の決行が、予定通り一週間後になりました。宜しくお願い致します。百合香』
翌朝
先生と伯父様からの返信を確認した。
それを確認後、屋敷から父達3人が出ていったのを見計らい、時子さんと大貫さんの2人をリビング集め話をした。
「以前お話した事を実行に移す事にしました。実行日は今日から一週間後です。」
「いよいよなんですね、お嬢様。時子は嬉しゅうございます。」
「麗羅様がお亡くなりになって12年。本懐を遂げる時が…。私は何度百合香様のお父様を包丁で刺し殺す夢を見たことか。お嬢様、本当にお疲れ様でした。」
大貫さん……物騒だから。でもそれくらいの思いでいてくれたんですね。有難うございます。
「今まで本当にありがとうございました。2人がずっとこの屋敷に居てくれたから、生きて来れました。でも、私にとってこれが終わりではなく、始まりでもあるので……」
「そうです。そうですよ、お嬢様。お嬢様がお屋敷から出ていかれたら、時子もお暇を貰って兼近様のお屋敷に一度戻らせて頂きます。兼近様の事ですから、きっとお嬢様の傍に引き続きいるようにと仰ると思いますがね。」
「私も時子さんと一緒にお父様の書斎に辞表を置き、兼近様の元へ帰ります。」
2人とも、元々お母様のお嫁入りの際お爺様から言われて白金家から来てもらっていたし、お給料は櫻井の方から出ているわけだから、『櫻井の血』を引く人間が屋敷から居なくなれば、ここに留まる必要はないとお爺様から言われていたのだろう。
「分かりました。後の事は、お爺様から指示を仰いでくださいね。」
2人は頷くと、リビングから出ていった。
私は父に呼ばれ書斎にいた。
「桃花とお前の卒業式の翌日、そこにある物を着て11時にいつものホテルに来い。話は以上だ。下がっていい。」
私は無言で、父が言うソレを持ち書斎をあとにした。
自室に戻りソレ(袋)を開けると、中には地味な色のスーツが入っていた。
スーツを取り出し針金のハンガーにかけたまま体にあててみる。
私にとってそれは、大きすぎるものだった。
どうせ父の事だから、私の体型が分からず、桃花の体型に合わせて買ったのだろう。
桃花は、高等部の頃より徐々に太り始め、大学部卒業を控えた今は、初対面のほっそりした体型は見る影もなくなり、ぽっちゃり体型になっていた。
一方私は体型は殆ど変わらない状態で、ただ身長が中等部の頃から比べると、約20cm伸び168cmになった。
因みに桃花の身長は……詳しい数値は知らないが、私が桃花と話す時は、目線を落として話すことから、多分155cm前後だろう。
彼女の体型に合わせて用意されたスーツを私の体型に合わせリフォームとなるとざっくり一週間はかかるだろう。下手をすると当日に間に合わない可能性がある。だったら同じ物をサイズ違いで購入し直した方が手っ取り早い。
だが私は、初めからこのスーツを着てホテルへ行くつもりなどさらさら無かったから、放置する事に決めた。
「そのホテルの会場で、貴方がしようとしている事はお見通しよ?お父様。」
私はスーツを壁にかけると、すぐさま連城先生と柊伯父様にメールを送った。
『計画の決行が、予定通り一週間後になりました。宜しくお願い致します。百合香』
翌朝
先生と伯父様からの返信を確認した。
それを確認後、屋敷から父達3人が出ていったのを見計らい、時子さんと大貫さんの2人をリビング集め話をした。
「以前お話した事を実行に移す事にしました。実行日は今日から一週間後です。」
「いよいよなんですね、お嬢様。時子は嬉しゅうございます。」
「麗羅様がお亡くなりになって12年。本懐を遂げる時が…。私は何度百合香様のお父様を包丁で刺し殺す夢を見たことか。お嬢様、本当にお疲れ様でした。」
大貫さん……物騒だから。でもそれくらいの思いでいてくれたんですね。有難うございます。
「今まで本当にありがとうございました。2人がずっとこの屋敷に居てくれたから、生きて来れました。でも、私にとってこれが終わりではなく、始まりでもあるので……」
「そうです。そうですよ、お嬢様。お嬢様がお屋敷から出ていかれたら、時子もお暇を貰って兼近様のお屋敷に一度戻らせて頂きます。兼近様の事ですから、きっとお嬢様の傍に引き続きいるようにと仰ると思いますがね。」
「私も時子さんと一緒にお父様の書斎に辞表を置き、兼近様の元へ帰ります。」
2人とも、元々お母様のお嫁入りの際お爺様から言われて白金家から来てもらっていたし、お給料は櫻井の方から出ているわけだから、『櫻井の血』を引く人間が屋敷から居なくなれば、ここに留まる必要はないとお爺様から言われていたのだろう。
「分かりました。後の事は、お爺様から指示を仰いでくださいね。」
2人は頷くと、リビングから出ていった。
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