貴方の駒になど真っ平御免です

Saeko

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第四章 決別

第2話 決行までのカウントダウン 2

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今朝来た伯父様と先生の指示に従うため、私は羽田さんの車に乗り込んだ、

「お嬢様。今朝、私の所に大旦那様より連絡が入りました。」

「そうでしたか。そういう事ですので、宜しくお願いします、羽田さん。」

かしこまりました。では、さしあたって必要のない衣類や日用品を入れる為のダンボールを本日中にご用意致します。アノ方達がいらっしゃらないお時間を狙って、時子さんと大貫さんに荷造りを手伝って貰ってください。卒業式は来週の金曜日でしたね?」

「はい。」

「でしたら、来週木曜日に一気に運び出してしまい、土曜日の朝、アノ方々が先にお屋敷を出られた後、粗大ゴミ回収者に廃棄物を処理させる為、時子さんと大貫さんにそれ等をお任せし、私はお嬢様をマンションまでお送り致します。」

流石お爺様。っていうより、この指示の出し方は伯父様ね。

「分かりました。ありがとうございます、羽田さん。」

「お礼は大旦那様になさって下さい。私は、指示に従って動いているだけですから。」

「今朝、時子さんと大貫さんにお話しましたが、とても喜んでくれました。」

「そうでしょうとも。彼等もアノ方の麗羅様や百合香お嬢様への仕打ちには、いつも腹を立てておりましたからね。」

「お2人は、私が屋敷を出たその日に、書斎に置き手紙をして、お爺様の所へ帰るそうです。」

「そうですか。では、私もそう致しましょう。百合香お嬢様がいらっしゃらないアノ屋敷に私がいる意味はございませんし、私はお嬢様の専属運転手ですから。」

「私達全員が居なくなった時のお父様の顔を見てみたい気もするけど、仕掛けておいた盗聴器や隠しカメラも前日の朝には回収してしまう予定なの。残念だわ。」

「そうですね。私も残念に思いますよ。ですが、容易に想像出来ますがね。」

お父様達の慌てる顔や怒りで真っ赤になる顔を想像しているのか?ルームミラーに映る羽田さんの顔がとても楽しそうなのを見て、

「本当、見なくても分かりそうですね。」

と言って笑った。

明日から毎日少しづつ
秘密裏に行動する

決行まで一週間
あと少しの我慢だ

お母様、あと少しです
見ていて下さいね

その後私は、マンションで執筆活動を行なったり、大貫さんが作って下さったレシピ本を片手に、ワンプレートランチを作って食べたりして、また羽田さんの車で屋敷に帰ったのだった。

部屋には大量のダンボールが届いていたのには驚いたけどね。
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