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第八章 勉強会

勉強会(15)

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 ベッドの上で森美樹の茶色い髪の毛が広がっている。
 その髪は明莉のものよりちょっと長くて、少しだけ癖っ毛だった。

「――キス、しちゃったね」
「――初めてじゃないけれどね」
「そうだけど。……昨日のやつとかは事故みたいなものだったし」
「事故?」
「だって、慰めてくれたんでしょ? あーしがどうしようもなかったから」

 そうだろうか? 僕は彼女を慰めようとしていたのだろうか?
 自分が何を考えていたのか、僕は必ずしもよく覚えていない。

 ただ、その時の感触はよく覚えていた、
 彼女の唇も、背中も、臀部も――その感触を全て。

 僕は頭を落として、彼女の唇をもう一度軽く啄んだ。

「……あん」

 少女が小さく甘い声を漏らす。

「――秋翔くん、なんか甘えたさんみたい」
「早速の名前呼び、だね」
「だって秋翔くん、さっきそれでイイって言ったじゃん?」
「言ったよ――美樹?」

 頬を赤らめた彼女の唇にもう一度唇を落とす。
 顔を離してその表情を伺う。少女の瞳は随分と潤んでいた。

「――秋翔くんも、名前呼びだぁ」
「――そう決めたんでしょ?」
「――うん」

 上半身だけをベッドの上に横たえた彼女。
 僕は自分の体をベッドの上に動かすと、彼女の臀部を左手で抱えた。
 彼女の太腿を持ち上げて、その全てをベッドの上へ移動させた。

「――秋翔くん?」
「なんだい? 美樹」

 ピンク色の掛け布団に全身を横たえて、彼女は僕を不安気に見上げた。
 その髪をそっと撫でた。
 ウェーブが少し掛かって、くるりと毛先が踊る彼女の髪。
 ――明莉のものとは、また違う雰囲気の髪を。

「ううん。なんでもない。……今日は来てくれてありがとうね。昨日も家まで送ってくれて。日曜日も駆けつけてくれて――」

 水臭いことを言う彼女の頬に両手を添える。
 挟まれた彼女が唇を尖らせた。

「あんまりそういうこと言うなよ。僕は美樹の親友だろ? 親友が親友のことを大切にするのは当たり前じゃん?」
「――そうだよね。うん、親友だもんね? あーしたち」

 僕は彼女の隣に寄り添うように体を横たえる。体を密着させるように。
 体の下に右腕を滑り込ませて、彼女をベッドの上で抱き寄せた。
 左手で彼女の後頭部を撫で、その手を背中へとゆっくり下ろしていく。

「そうだよ。親友だよ。だから美樹が悲しんだときは駆けつけたくなるし、不安になるときは抱きしめたくなるんだ」
「――秋翔くん、マジ優しいよね」

 背中を這う左手はやがて彼女の腰まわりのくびれを経て、臀部へと到る。
 香奈恵さんに比べると小振りだけど、女の子らしい柔らかな膨らみ。
 お尻を優しく撫でると、彼女はビクリと体を震わせた。

「今日何回目だろ? 『優しいね』って」
「……わかんない。でも、どうしてだか安心するの。――秋翔くんといると」
「僕も美樹といると安心するよ?」
「本当? ――嬉しい」

 彼女はそう言うと彼女の方から僕の背中へと腕を回した。
 向かい合ってベッドの上で僕らは抱き合う。
 彼女の小さな胸が僕の肋骨に当たって崩れた。

「美樹って、華奢だよね」

 体の下から回した右手も美樹の身体に沿って徐々に下ろしていく。

「――え、華奢? 痩せてるってこと? 肉づきが悪くて、女の子っぽくないってこと?」
「そうじゃないよ。美樹は十分に女の子らしいよ。――可愛いよ」

 僕は素直にそう言う。美樹は上目遣いで照れくさそうに僕を見上げた。
 両手のひらが臀部に達した。
 彼女をお尻から持ち上げて、その顔を僕の目線に近づけた。

「――ひゃっ」

 彼女の可愛らしいお尻を撫でる。最初は優しく、少しずつ乱暴に。

 白いフレアスカートの手触りを楽しむ。
 布地越しに彼女のショーツのラインさえ分かる。

 ジーンズやスキニーパンツの上から触るのともまた違う柔らかさ。
 そして手を動かせば柔軟に変形するその無防備な衣服。

 僕の支配欲は、より一層掻き立てられた。

「あーしのお尻……触っていて楽しい? 秋翔くん?」
「うん、楽しいよ? ――めっちゃ楽しいよ。美樹に触れたくてたまらない。それに美樹のこと――もっと知りたいって……めっちゃ思うんだ」
「本当? ――なんだかうれしいかも。……よくわかんないけど」
「――わからなくても、いいんじゃないかな?」

 僕は彼女のお尻に両手を当てたまま、少しずつ上体を起こした。

 そして自分の顔を彼女の股間へと近づけていく。
 両手で抱えた彼女の大切な部分と、より真剣に向き合うように。

「――秋翔くん?」

 彼女が僕を見下ろす。
 僕は両手を彼女の白いフレアスカートの下に滑り込ませると、一息にまくりあげた。

「やっ……、やだぁ」

 スカートの下から色白の素足が顕になった。

 その付け根には、ピンク色のボーダー柄のショーツ。
 それは香奈恵さんのショーツより、ちょっと子供っぽいショーツだった。

「今日は下着なんて見せるつもりじゃなかったからぁ。見せるショーツじゃないのぉ~」
「そうなんだ。でも、可愛いよ。女の子っぽくて。なんだか美樹がこういうパンツを穿いているのって……なんか良いなって思うよ?」
「……どういうこと?」
「なんだか純粋で、可愛らしいなって。――美樹の内面を裸にしているみたいだ」
「もうっ!」

 掛け布団を持ち上げて、僕の視界を一時的に塞ごうとする彼女。
 僕はそれを避けるように、上体を屈めた。
 そしてそのボーダー柄の下着に守られた花園へと自分の顔を接近させる。

「……でも、美樹の『見せるショーツ』にも、僕は興味があるな。――後で見せてよ」
「えええ……。うーん、どうしようかな」
「水上には見せているんでしょ?」
「……うん」

 彼女は恥しそうに頷く。
 ――それが無性に僕の中の劣情を掻き立てた。

 下腹部の奥で熱の塊が拍動する。
 熱い液体が腰回りから股間を通り、膀胱と男性器へと染み渡った。

「――水上には見せれても、僕には見せられないんだ?」
「だって、洋平はあーしの彼氏だもん」
「でも僕は親友でしょ?」
「そうだけど――」
「女の子の親友となら下着の見せ合いっことか平気でしょ?」
「そうだけど――、でもそれは女の子同士だし……」
「でも親友だからでしょ? 親友だから見せ合える。――そういうことじゃないかな?」
「そうかも……しれないけれど……」

 彼女は困ったような表情を浮かべる。

 まぁ、他の下着のことは後でいい。
 後でいろいろ見せてもらうし、そして穿いてもらうのだ。――親友として。

「困らせてごめんね。今はこのパンツで十分だよ。美樹のこのパンツ、とても可愛いから」
「……ううう」

 白いフレアスカートをたくし上げられたまま、彼女は恥ずかしそうに腕で両目を隠した。

 僕はその股間に顔を押し当てる。
 そして彼女の臭いを嗅ぐ。鼻先で股間を撫でる。
 両手でパンツに包まれた部分を布地の上から撫でる。
 優しく、柔らかく、彼女のことを――愛でるように。

「――秋翔くん。……恥ずかしいよう」
「大丈夫だよ、美樹。――君は、大丈夫だから」

 彼女の股間へと沈み込ませた鼻先に、僕は湿気を覚える。
 それは彼女の花園にある泉から溢れ出した液体だった。
 その内側から愛を溶かせた水溶液が、少しずつ溢れだしているみたいだ。

 見上げたら彼女は横を向いていて、頬は上気していた。
 だから僕はショーツの両側に手をかける。

「――脱がすよ」

 返事は無かった。でも僕は無言の肯定を敏感に感じ取る。

 僕は彼女の大切な部分を隠す可愛らしい布地を、ゆっくりと引き下ろした。

 そんな僕の動きを追認するみたいに、彼女は微かに腰を浮かべた。

 顕になった彼女の股間。茂みが覆う花園はやっぱり少し濡れていた。
 彼女も興奮しているのだ。親友の僕に。彼氏の友人である僕に。

 ――それがとても嬉しかった。

 彼女を映した青春のポートレート。
 さっき見せた映像はコンテストに向けた練習のつもりで作ったものだ。
 でも出来上がったそれは思っていたよりもずっと良くて、僕にとってもお気に入りの作品となった。

 それはきっと女優が素敵だったから。
 それはきっと僕がその女優のことを好きだったから。

 ――親友として。――女の子として。

 膝までショーツを下ろされた少女は、恥ずかしそうに膝を寄せながら、目を閉じる。

 僕はポケットに手を突っ込むと、スマホを取り出した。
 ロックを解除してカメラアプリを立ち上げると録画開始ボタンを押した。
 青春のワンシーン。
 僕の大切な親友の綺麗な姿を記録に残すために。
 僕と彼女の間に――より確かな絆を結ぶために。

 刹那、情景がフラッシュバックする。
 一週間前の遊園地。二人で乗ったゴンドラ。
 夕暮れ前の空中で、僕は森さんを撮影した。
 そこで僕はレンズ越しの彼女の女優らしい姿にドキリとしたんだ。

 あの日、僕は左手の人差し指を――彼女の上の口の中へと差し入れた。
 そして僕たちは仲良くなって、親友になった。

 今、じんわりと濡れた彼女のつぼみが僕の目の前にある。
 恥しそうに茂みに隠れた花園の中で微かに開く花弁。

 だから僕はあの日と同じ左手の人差し指を、その下の口へと、ゆっくり差し入れた。

「――あっ」

 森美樹は少しだけ腰を浮かせた。
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