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一章
三話
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ルベルトがルブロスティン公爵家の屋敷に着くと、待ち構えていたイグナートに腕を捕まれた。
剣を握り慣れた無骨な手だ。ルベルトは筋肉質ではあるが、イグナートよりは全体的に細い、
引っ張られるがまま、たどたどしく足を走らせる。
「い、イグ……」
「イグ? そんな呼び方許した覚えはない。薄汚い下民風情が気安く話し掛けるな」
かつて親友と呼び合ったイグナートはもういない。彼から見れば、ルベルトは母親を殺した仇の息子だ。
直接手を下していなくとも同罪なのだ。イグナートにとっては。
「もっ申し訳ありません」
「そうだ。お前は下民だからな」
公爵家の屋敷は何度も遊びに来た事があった。屋敷内は自分の家の様に詳しい。
だからイグナートが向かっている先がどこかもすぐに分かる。
(イグの部屋に向かってる?)
思った通り、イグナートはルベルトを自室に入れた。
「感謝しろ。下民はどう足掻いたって俺の部屋には入れないんだ」
「有難く思います」
「まさかお前、公爵家の息子になれたとでも思ってたんじゃないだろうな?」
「めっ、滅相もございません。私のような身分の者が恐れ多い事です」
「きちんと弁えているようだな。お父様はお前を息子のように迎え入れると言ったが、そんなのは嘘だ。
俺がお前を玩具にしたいって言ったんだ。そしたらお父様も賛成してくれた。
さて、今後お前の事は下民と呼ぶ。お前は俺の物だ。俺の命令には絶対に従え」
理不尽な物言いだが、ルベルトは当然の事だと頷く。母親の罪は自分の罪でもあると認めてしまっている。
「勿論でございます」
「まずは服を脱げ。お前に服なんて贅沢過ぎる。
後で下民専用の服を与えるから、それを着るんだな」
「はぁ……」
後で、という言葉が引っかかった。まるで今服を脱いでもらうが、すぐに服は渡さないとでも言っているように聞こえた。
ルベルトの気のない返事にイグナートは怒りを爆発させた。
平手がルベルトの頬を打った。
「この下民! お前が話していい言葉は、『はい』のみなんだよ!!
俺の命令は絶対だ! 早く服を脱げ!」
「はいっ」
ルベルトは焦って来ている服を脱いだ。短パンのような白い下着のみが下半身を隠しており、ルベルトは身を縮こませる。
「貧相な身体してんな。そりゃあ剣術が上手いわけないよな。弱っちぃ身体なんだから」
イグナートが無遠慮にルベルトの身体を見回すと、右手でルベルトの肩をどついた。
その反動で床に倒れ込んでしまった。それをチャンスと思ったのかイグナートが最後に残された下着を破くように脱がせてきた。
全裸となったルベルトは身を丸めて自分を守る。
「何逃げようとしてんだよ。犯罪者の息子の癖に。母親は殺人、父親は姦通。お前もまだ見つかってねぇだけで本当は犯罪者なんじゃねぇの?」
「誓ってそのような事はありません」
「どうだかな。俺はお前の両親のせいで深く傷付いた。落とし前はお前がつけろ」
「……はい」
泣きそうになった。だが、一番辛いのはイグナートなのだから泣いてはいけないと唇を噛む。
(俺が罪を償わないと)
「お前は犯罪者の息子だし、下民だし、ベッドの上は贅沢過ぎるよな。
俺の部屋ってだけで、お前にとっては十分なご褒美だろ」
「……はい」
言っている意味は分からないが頷いた。聞き返して怒らせないようにと。
「分かってんなら早く四つん這いになれよ」
わけも分からないまま、言われた通り四つん這いになった。後ろから見ればアナルもペニスも丸見えだ。
羞恥心に顔を染めるが、ここではイグナートが神のような存在だ。羞恥心より命令を優先させる。
「ふーん、意外と綺麗じゃねーか。
父親と同じようにヤリまくってると思ったわ」
「……」
ルベルトの顔がかぁっと真っ赤になる。淫らな行為をしていない事は、長い時間共にしたイグナートが一番分かっている筈なのだが。
貶めるような言い方をされながら、恥部を見られる屈辱に必死に耐えた。
歯を食いしばっていると、アナルをヌルっとした感触が襲う。
「ひっ!」
「黙れ! お前の悲鳴なんか聞きたくねぇ」
「申し訳ありません」
「今日からお前は俺の自慰行為の道具にしてやるよ。戦場じゃ華奢な男がこの穴で戦士達を労ったそうだぜ。
お前なんかが戦場に行ったらすぐに慰み者だなぁ?」
「……」
「何とか言えよ! 嬉しいか? なぁ、嬉しいかよ?」
「はい。イグナート様のお役に立てて嬉しいです」
それは本心だ。復讐をして少しでも気が晴れるのなら、いくらでも身体を差し出す覚悟は出来ている。
イグナートは手にオイルを塗ったのだろう。ヌルヌルした手で、ルベルトのアナルをゆっくりと広げながら中指を中に埋めていく。
「……っ……う、うぅ」
気持ち悪さに呻き声が漏れる。イグナートは構わず中へと指を押し進めた。
「クソ、全然行かねぇ。おい、力抜け」
「すみません」
「謝んな、力抜け」
「力の抜き方が分からなくて……」
尻の中だけ力を抜く方法が分からないのだ。力を入れる方なら出来るのだが。
「面倒くせぇなぁ。もう入れちまうか」
穴から指が引き抜かれると、指よりも太い熱を持ったものが押し当てられた。
「ちょっ……」
「るせぇ! 下民は黙ってろ」
ググっと無理矢理広げられるアナル。ルベルトは思わず叫んだ。
「ああぁっ」
「使用人達にはルベルトが泣き叫んでも部屋に入るなって言ってあるからな。助けを求めても無駄だ」
「ううっ」
助けを求めるつもりはない。これも自分がするべき事なのだと再度歯を食いしばる。
(イグナートの苦しみに比べたら、こんな痛みなんか……)
無理矢理広げられたせいで穴が裂けた。そしてイグナートが肉棒を自分勝手に動かしたせいで内壁は傷付く。
イグナートは自身の肉棒が血塗れになっても構わず腰を動かし続け、ルベルトは痛みに耐えて行為が終わるのを待った。
「どうだ? お前はこれからこうやって生きていくんだ。
役に立っている間は生かしてやる。この穴が使い物にならなくなったら犯罪者達が横行するスラムに捨ててやるから覚悟しておけ」
「はいっ、イグナート様っ」
ルベルトは叫んだ。それは痛みを紛らわすようでもあり、心からイグナートに忠誠を誓うようでもあった。
ただ、この時イグナートを恨む気持ちは一切なかった。本気で心配していたし、本気で償うつもりでいた。
剣を握り慣れた無骨な手だ。ルベルトは筋肉質ではあるが、イグナートよりは全体的に細い、
引っ張られるがまま、たどたどしく足を走らせる。
「い、イグ……」
「イグ? そんな呼び方許した覚えはない。薄汚い下民風情が気安く話し掛けるな」
かつて親友と呼び合ったイグナートはもういない。彼から見れば、ルベルトは母親を殺した仇の息子だ。
直接手を下していなくとも同罪なのだ。イグナートにとっては。
「もっ申し訳ありません」
「そうだ。お前は下民だからな」
公爵家の屋敷は何度も遊びに来た事があった。屋敷内は自分の家の様に詳しい。
だからイグナートが向かっている先がどこかもすぐに分かる。
(イグの部屋に向かってる?)
思った通り、イグナートはルベルトを自室に入れた。
「感謝しろ。下民はどう足掻いたって俺の部屋には入れないんだ」
「有難く思います」
「まさかお前、公爵家の息子になれたとでも思ってたんじゃないだろうな?」
「めっ、滅相もございません。私のような身分の者が恐れ多い事です」
「きちんと弁えているようだな。お父様はお前を息子のように迎え入れると言ったが、そんなのは嘘だ。
俺がお前を玩具にしたいって言ったんだ。そしたらお父様も賛成してくれた。
さて、今後お前の事は下民と呼ぶ。お前は俺の物だ。俺の命令には絶対に従え」
理不尽な物言いだが、ルベルトは当然の事だと頷く。母親の罪は自分の罪でもあると認めてしまっている。
「勿論でございます」
「まずは服を脱げ。お前に服なんて贅沢過ぎる。
後で下民専用の服を与えるから、それを着るんだな」
「はぁ……」
後で、という言葉が引っかかった。まるで今服を脱いでもらうが、すぐに服は渡さないとでも言っているように聞こえた。
ルベルトの気のない返事にイグナートは怒りを爆発させた。
平手がルベルトの頬を打った。
「この下民! お前が話していい言葉は、『はい』のみなんだよ!!
俺の命令は絶対だ! 早く服を脱げ!」
「はいっ」
ルベルトは焦って来ている服を脱いだ。短パンのような白い下着のみが下半身を隠しており、ルベルトは身を縮こませる。
「貧相な身体してんな。そりゃあ剣術が上手いわけないよな。弱っちぃ身体なんだから」
イグナートが無遠慮にルベルトの身体を見回すと、右手でルベルトの肩をどついた。
その反動で床に倒れ込んでしまった。それをチャンスと思ったのかイグナートが最後に残された下着を破くように脱がせてきた。
全裸となったルベルトは身を丸めて自分を守る。
「何逃げようとしてんだよ。犯罪者の息子の癖に。母親は殺人、父親は姦通。お前もまだ見つかってねぇだけで本当は犯罪者なんじゃねぇの?」
「誓ってそのような事はありません」
「どうだかな。俺はお前の両親のせいで深く傷付いた。落とし前はお前がつけろ」
「……はい」
泣きそうになった。だが、一番辛いのはイグナートなのだから泣いてはいけないと唇を噛む。
(俺が罪を償わないと)
「お前は犯罪者の息子だし、下民だし、ベッドの上は贅沢過ぎるよな。
俺の部屋ってだけで、お前にとっては十分なご褒美だろ」
「……はい」
言っている意味は分からないが頷いた。聞き返して怒らせないようにと。
「分かってんなら早く四つん這いになれよ」
わけも分からないまま、言われた通り四つん這いになった。後ろから見ればアナルもペニスも丸見えだ。
羞恥心に顔を染めるが、ここではイグナートが神のような存在だ。羞恥心より命令を優先させる。
「ふーん、意外と綺麗じゃねーか。
父親と同じようにヤリまくってると思ったわ」
「……」
ルベルトの顔がかぁっと真っ赤になる。淫らな行為をしていない事は、長い時間共にしたイグナートが一番分かっている筈なのだが。
貶めるような言い方をされながら、恥部を見られる屈辱に必死に耐えた。
歯を食いしばっていると、アナルをヌルっとした感触が襲う。
「ひっ!」
「黙れ! お前の悲鳴なんか聞きたくねぇ」
「申し訳ありません」
「今日からお前は俺の自慰行為の道具にしてやるよ。戦場じゃ華奢な男がこの穴で戦士達を労ったそうだぜ。
お前なんかが戦場に行ったらすぐに慰み者だなぁ?」
「……」
「何とか言えよ! 嬉しいか? なぁ、嬉しいかよ?」
「はい。イグナート様のお役に立てて嬉しいです」
それは本心だ。復讐をして少しでも気が晴れるのなら、いくらでも身体を差し出す覚悟は出来ている。
イグナートは手にオイルを塗ったのだろう。ヌルヌルした手で、ルベルトのアナルをゆっくりと広げながら中指を中に埋めていく。
「……っ……う、うぅ」
気持ち悪さに呻き声が漏れる。イグナートは構わず中へと指を押し進めた。
「クソ、全然行かねぇ。おい、力抜け」
「すみません」
「謝んな、力抜け」
「力の抜き方が分からなくて……」
尻の中だけ力を抜く方法が分からないのだ。力を入れる方なら出来るのだが。
「面倒くせぇなぁ。もう入れちまうか」
穴から指が引き抜かれると、指よりも太い熱を持ったものが押し当てられた。
「ちょっ……」
「るせぇ! 下民は黙ってろ」
ググっと無理矢理広げられるアナル。ルベルトは思わず叫んだ。
「ああぁっ」
「使用人達にはルベルトが泣き叫んでも部屋に入るなって言ってあるからな。助けを求めても無駄だ」
「ううっ」
助けを求めるつもりはない。これも自分がするべき事なのだと再度歯を食いしばる。
(イグナートの苦しみに比べたら、こんな痛みなんか……)
無理矢理広げられたせいで穴が裂けた。そしてイグナートが肉棒を自分勝手に動かしたせいで内壁は傷付く。
イグナートは自身の肉棒が血塗れになっても構わず腰を動かし続け、ルベルトは痛みに耐えて行為が終わるのを待った。
「どうだ? お前はこれからこうやって生きていくんだ。
役に立っている間は生かしてやる。この穴が使い物にならなくなったら犯罪者達が横行するスラムに捨ててやるから覚悟しておけ」
「はいっ、イグナート様っ」
ルベルトは叫んだ。それは痛みを紛らわすようでもあり、心からイグナートに忠誠を誓うようでもあった。
ただ、この時イグナートを恨む気持ちは一切なかった。本気で心配していたし、本気で償うつもりでいた。
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